所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。シングルの売り方は以前のアナログ盤時代とは少し変わってきました。以前は本当に「裏」面でレコード盤をひっくり返さなければならなかったので、「B」面はそのアーティストにとって新規性のある曲や、やや華やかな訴求性に乏しい曲などが当てられていました。しかし、CDの時代となり「裏返す」事が無くなり、収録時間も8cmCDですら4倍程度に増えたため、最近では表題曲と組み合わせる曲に華がある曲が来ることもあります。そんな作品をご紹介します。
絢香。一度セールスのピークで休養して復帰した歌姫。元々音楽塾ヴォイスの西尾芳彦に学び、多くの曲を共作して怒濤のリリース攻勢を見せていたが、結婚と病気療養を理由にほぼ2年間休養する。その後は西尾の元も離れ、ほとんどの曲を自分ひとりで創る体制に移行、復帰後は以前の様な押しまくるプロモーションではなく、家庭生活を営みながらの音楽活動に移っている。
そんな彼女の復帰後2作目となる12thシングル、“number one”。冬季オリンピックとのタイアップで一時期街に良く流れた。
その「number one」。宇多田ヒカルの中期を支えたアレンジャー&キーボーディストの河野圭がサウンドプロデュースする、エネルギー感を感じる曲。決して激した曲ではないのだが、Aメロの静かな感じが「タメ」、広がるサビの感じが「力と心の開放感」を感じる。リズムパターンにタム回しまで使う玉田豊夢の華麗なドラミングに耳が奪われるが、この「静かなる力」というイメージのこの曲を支えるグルーヴは種子田健のベースかも知れん。絢香の声は力強い。♪number one/空を舞って/誰よりも高く/涙が奇跡に変わる/輝くステージに/舞い降りる君は/誰よりも美しい♪
つづく「Through the ages」が素晴らしい。夫君水嶋ヒロの復帰作“黒執事”で彼女が提供した主題歌だが、映画ではGabrielle Aplinが歌った。それを日本語詞でセルフカバーしたもの。これが素晴らしく良い。ストリングスとピアノ、ファゴットにわずかなパーカッション。特に塩谷哲
のリリカルかつダイナミックなプレイが沁みる。♪最後の日には君のために/笑っていたい/目を閉じるまで/偽りのないこの想いが/この世に生きた証になる♪の部分のラインどりが素晴らしい旋律を絢香が力強く空に放つ。
CDラストは復帰作“The beginning”
のトップを飾った「はじまりのとき」のライヴテイク。♪辛い時/あなたの存在が/こんなに大切だと知った/悲しみも喜びも/本当は/隣り合わせにいるんだね♪と歌う彼女がこの数年間の心境を感じさせるが、心のひだまで感じられるようなスタジオ盤と比べてこちらはこちらで感情の波がうねりが大きく、ライヴならではの良さが感じられる。
DVDは表題曲のMVとそのメイキング。MVは冬季五輪のタイアップソングらしく雪山と雪景色の街で撮られている。メイキングではそのロケ地がスイスであったことがあかされる(オリンピック自体はロシア=ソチだったのだが)。メイキングを見ていると完成品のMVを仕上げるまでの職人の技が感じられてそれはそれで面白い。
表題曲はパワー感あふれる、秘めた闘志、ヤルぞー!系の曲なのだが、実は初見時にはメチャ惹かれたワケではなかった。しかしまぁコンプリーターとしては逝かねばならまいと入手したところ、カップリングの2曲がそれぞれ素晴らしく、つい最近までオリジナルアルバムにも入っていなかったのでよく聴いていた。
昔のA面B面であれば少なくともどちらか1曲しか入らなかったわけで、そういう意味ではCD時代の尺の延長と、単なるカラオケなんかでお茶を濁さなかった絢香に感謝。
力をもらえる曲達です。
【収録曲】
<CD>
1. number one
2. Through the ages (セルフカバーver.)
3. はじまりのとき (2013/11/19 日本武道館Live ver.)
<DVD>
1. number one [MUSIC VIDEO]
2. number one [MAKING VIDEO]
「number one」
「Through the ages (セルフカバーver.)」
これは「盤」を買ったヒトが勝ち
カップリングの方が気に入っているディスクというのは結構あるが、これは5本の指に入るか..
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購入金額
1,890円
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購入日
2014年03月31日
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購入場所
フタバ図書
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