M20は、削りだし加工のメタルハウジングを持つカナル型イヤホン。
Y字型のケーブルは、ミニプラグからハウジングに至るまでフラット形状です。
左側分岐ケーブル途中に、マイクが備わるリモコンユニットが設えられています。
音量調整機能はありませんが、再生・停止のコマンド能力があります。
携帯電話等と接続中は、イヤホンをしたまま会話が出来る仕組みです。
Amazon掲載の商品写真では、イヤチップが濃赤色に見えますが、実物は透過率5%程度の
黒色シリコンゴムです。 ハウジング側に接続する役目のゴムと前述の黒色シリコンゴムとは
2ピース構造になっており、それぞれ固さが異なります。
内耳と接触する役目の「キノコの傘」部分は薄くて柔軟な黒色シリコンゴムですが、
「キノコの芯」に相当するチューブ部分は、固いシリコンゴムです。
そして、その芯は、鮮やかな赤色で成形されています。
その赤が黒色シリコンの向こうに透けて見えるので、全体として濃赤色に見える。
それが事実です。
陽気というより爽やかな音
手持ちのイヤホンと比較する形で試聴を進めました。
公平を期すために、まず10時間以上の鳴らしこみを行っています。
エージングの効果が確認され、より滑らかな音調に変化、向上することが認められました。
比較対象として
SONYのMDR-EX55SL (低音寄り・柔らかな音調が特徴 7年前に購入 3,000円前後)
SONYの523FというICレコーダーの付属品 (レコーダ自体が8,000円程)
旧型iPodに付属していたAppleのイヤホン (バスレフスリット無し 10年選手)
SHUREのSE215se (実売10,000円弱 現在の愛用機)
接続方式が異なりますが、サウンドピーツ社の QY7 ・ Q9 も登場させました。
音源としてPat Methenyの「What’s All About」より2曲めの「Cherish」を選択。
ハーモニックス音から始まるギターの調べですが、指板を滑る指の音の聞こえ具合
スチール弦を弾く時に出る音。 6弦開放から出る低音が、パットのギターから聞こえるのか?
往々にして別録りのベースが鳴っているように聞こえる事があります。
レコーディングルームの広さが感じられるのか? 聴き比べると差が出るんです。
サウンドピーツ社のイヤホンを試すのは、
これで3機種目ですが、明らかにブランドの音が感じられます。
それは、爽やかな音。 狙いは明らかです。
私が好きな音は、まず「明るくて元気が良い音」
高音の伸びは大事だが、「固さ」が声を変えてしまわないようなチューニングが大事だと思う。
ベースは量感より、それが「弾んでいる」事が大事。
イヤホンにも空間表現力の差があるので、場の広さ、高さが判るとうれしい。
解像度は、電子楽器で測るより「英語の子音」「アコギの運指」等で知る。
これらの要求を満たす「私が買える価格の商品」として
SHUREの215が存在するので、それを満点として マイナス点を探ります。
Appleのイヤホンは、嫌な音は出さないがHi-Fi感が薄く、情報量が削られているように感じる。
ユニットに起因する問題ではなく、耳孔になんとなく載せる仕組みである以上、その隙間から失われる音があると感じる。
SONYの55SLは、余りに低域過多。 ギターの他にベースが鳴っているように聞こえる事がある。
SONYのICレコーダー付属のカナル式イヤホンは、望外の出来栄え。 音源によってはSHUREとの
差を感じない。 解像度、音のコクは後退するが、かなり満足できます。
サウンドピーツのM20
SHUREやSONYとは目指す方向が異なる事が判ります。
陽気というより爽やか。 ブルーノートレーベルというよりECMレーベル。
SHUREが秋刀魚をムース包み焼きに仕立てたフレンチだとすると、
サウンドピーツは、七輪で焼いた後にスダチを絞った和食の体ですな。
コクは薄くて、低域の量感も少なめなんですが、きちんと6弦開放の響きが感じられるんです。
この辺りは「なかなかやるな。 チューニングの方向がしっかりしてるな」と感じ入りました。
他機種比較で、0.5~1dB程度能率が低く感じられましたので、音量は揃えて試聴してます(為念)
使用感 その2
ビクターやソニーが落語の高座を高音質収録したCDをリリースしていますので、その中から
春風亭一之輔師匠の「笠碁」を聴き比べしました。
この音源では、サウンドピーツの「爽やか傾向」の音作りが「人の声」に悪影響を及ぼしていない事が確認できました。
自然です。 会場の広さも伝わり、客席の様子も感じられます。
M20のユニットはJBL社への供給元から入手されているとか。
JBLといえば、昭和のオーディオマニア憧憬のSPブランド。 西海岸サウンドの雄です。
サウンドピーツの明るい音調は、JBL社血脈のモノと思い込めば、所有欲の助けになりそうです。
価格なり なり〜
アマゾンレビューを拝見すると、同一価格帯他銘柄製品より明らかに高音質であると評価されている
方もおられますが、流石にそこまでとは思いません。
iPhoneやiPod標準付属のイヤホンをリプレイスされる場合は、2000円投資の値打ちは十分感じることが出来ると思いますが、WALKMAN付属のイヤホンのリプレイスなら、他の商品を探されることを
お勧めします。
もちろん、このはっきりとした個性あるサウンドピーツサウンドが気に入られた場合はその限りではありません。
そうゆうと、SONYのそれと対立軸にある「固い・高音重視・の特徴があるオーディオ・テクニカ」社のイヤホン達と比べると、高音の伸び感を維持したまま「人の声の帯域」が固くならないサウンドピーツという特徴は、「それにハマるユーザー」を増やすかもしれません。
(あくまで個人の好み・感想です)
室内で使用するのが無難 タッチノイズのみならず風切音まで発生する始末
M20は実測重量14g Appleは12g SONYは13gに対して SHUREは26gでした。
ケーブルの形状はM20だけがきしめんタイプのフラットケーブル。
やはり絡みづらさ、解けやすさでは フラットケーブルの圧勝です。
しか~し、M20の軽量フラットケーブルには 思わぬ欠点が見つかりました。
タッチノイズに敏感過ぎます。
DAP接続中にポーズを押し無音状態にし、ケーブルを指で弾きます。
流石に重量級のSHUREは、全くと行ってよいほどノイズが出ません。
指で弾いた振動が、ユニットから聞こえる形で変換されてしまうのはM20。
ダントツでした。
これは歩行中に音楽再生している時にも顕著な差として聞こえてしまうレベルです。
また、10キロを超える速度で走ると、意外にもケーブルが風切音を産んでしまいます。
これには驚きました。
ケーブルの形状に関わらず、もう少し皮膜を分厚く成形するとか、素材を変更するなどの工夫が望まれます。
サウンドピーツのM20は、カナル式イヤホンなので、電車などで隣に座る方に「音漏れ」迷惑をお掛けする心配は限りなくゼロに近いと思われます。
また電車内で使用している時にはタッチノイズの心配も少なくなります。
自然な人の声・爽やかなサウンド・正しく広がる音場感・適度な解像度が担保されているM20は
ウォーキング・ランニング・ジム内等での使用より、屋内でじっくりと音楽を楽しむ用途に向いていると感じました。
ほぼ同価格でサウンドピーツ社からはBluetooth接続のスポーツヘッドセットが販売されているのですから、それこそ用途に応じて使い分けるのが良いでしょう。
中でも QY7は、デザイン・音質共におすすめできる商品 でした。
実売2000円にしてロジウムメッキプラグは残念
再生周波数帯域:20-20KHz
おそらく5k~10k辺りに少し強調感あり 人の声の帯域はフラットな印象
感度:98dB 使用感では標準的なカナル式イヤホンとして 少し低めに感じました
インピーダンス: 16Ω±20% at 1KHz
定電流:3mW
最大入力:5mW
重さ:13.5±2g 実測14g(大イヤチップ使用時)
入力プラグ:3.5mm ロジウムメッキ仕上げ
部品を集めるだけじゃ良い製品が出来ない
2010年に中国は深セン市で創業されたばかりの新興ブランドであるサウンドピーツ。
ワイヤレス・ケーブル方式を問わずヘッドセット・イヤホン・ヘッドホンを中心に据えた商品展開。
デジタル時代に置いても、振動を扱う「スピーカー(含むイヤホン)」「マイク」「ピックアップ」は各社のチューニングが生きる分野だと思います。
そこで生き残る、伸びる為には、価格も重要でしょうが、やはりブレない社風が大事だと思います。
この5年で構築なさった「爽やかな音調」をベースに、普及帯商品からハイエンド機まで、太い信念を貫かれることを希望します。
なによりチューニング部隊に置かれては、実際に使用してみることで「タッチノイズ」や「風切音」などの問題を解決なさることを希望します。
SHUREイヤホンのケーブルなんて実直そのものです。 見た目は決して褒められたものではありませんが部品交換まで想定された優れた設計だと思います。
ただJBLからユニットを仕入れるだけじゃダメですよ。
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購入金額
1,999円
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購入日
2015年08月07日
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購入場所
Amazon
退会したユーザーさん
2015/11/12
よく売れてるのですが、この価格を出すなら別のものを買うだろうと思っています。アマゾンのレビューも厳し目に改定したほうが良いかも知れないですね。ちょっと考えておきます。
退会したユーザーさん
2015/11/12
フェレンギさん
2015/11/12
使っているうちに相対評価の基準点も変化しますし、新しい地平を知ることにより、それまで気づかなかった着眼点が自分の中の順位を変動させることもあるでしょう。
雑誌のベストバイはもちろんですが、カーオブザイヤーなども、票を持っている専門家と業者がつくり上げるプライズだと思います。
私たちは、商品を提供されるだけで義理を感じたり、評価を甘くしてしまいがちです。
他にも、「自分で買った商品のことを悪く思いたくない・自分が所属する組織を悪く言いたくない」という方も珍しく無いと思います。
少なくともZIGSOW内で、私たちは「客観性と主観性のバランスを保ちながら、公平な内容であること」を順守する中で、その主観を述べています。
様々なご意見がお有りだろうと思います。
話が少しそれますが、自動車評論家の中に記名記事を書かれる何人かの「好きな」「信頼している」人がいます。
その方と私が同じクルマに乗っていた時期があるのですが、彼は音が良くて力の強いV6モデルを選び、私は鼻先が軽い直4モデルを選んでいました。
私は試乗したうえで、絶対にV6は無いわ〜と感じた後の直4選択です。
ことによると口(くち)プロレスに発展する見解の相違があるのですが、その評論家を嫌いになったり、疎んじたりすることには繋がりません。
もちろん一方通行の感情なんですが、彼の書く記事への信頼は失われません。
そこにある好みの違いを理解し、文字情報に自分なりの係数を掛けて読み解けば良いだけの話です。
ZIGSOW 内のレビュアーさんの何人かの方とは親しくさせていただいておりますが、面識はありません。
その方々が書かれる日記や記事を元に、お人なりや好みを知り、そこから上がる情報を生かしてゆくには時間がかかると思います。
私は、実生活でも同じように心がけているのですが、「フェレンギの云うことならある程度信頼できる・参考になる・奴へ聞いてみよう」 と思われる為に 自らの所属や義理に振り回された挙句の嘘はつかない。
そうすべき時には口をつぐむ。 そうしています。
ただ過去の放言を忘れてしまい、放置している事は多々あるかもしれません。
長々と書きましたが、頂戴したコメントへのお返事として、また自分の覚悟として書きました。
もしお気に触るようでしたら ごめんなさい。
退会したユーザーさん
2015/11/12