今年に入って、使い続けてきたPRODIGYが自然崩壊するという残念な事態が起こり、新しいPCケースへの変更を余儀なくされました。いくつかの条件を検討し、選択したケースにも問題があったりして、対策を検討したり、何かが降りてきたりした結果、ただ単に面白い気分になってきて最終的に選んだのがThermaltakeのCore X1です。
「本当にコレでよかったのか?」と自問自答を繰り返してはおりますが、なぜか後悔だけは一度もしていない。そんなおかしなPCケースです。
冷却特化と呼ぶのに相応しい
いつの間にかどんどん増えていくThermaltake製PCケース。よくよく考えれば、足元にDokkerとか置いてました。音が五月蝿くて気にしまくりのくせに、結局のところメッシュでスカスカなケースが好みのようです。Core X1も4面メッシュでスカスカ風味です。内部のスカスカ具合はそれ以上ですがね^^
本格水冷対応のPCケース
Thermaltakeは近年PCケースのMODや水冷対応に力を入れています。Coreシリーズは、その水冷対応を目指したシリーズのひとつで「Tt LCS」認証されたケースです。Coreシリーズには、ATX、Micro-ATX、Mini-ITXにそれぞれ対応したX9、X2、X1といった製品で展開しています。今回選んだケースは、Mini-ITX対応のCore X1というわけです。
水冷にMOD化など、対応の幅が広いのが特徴です。
さらにPCケースをふたつ上下にスタック可能という、CoolerMasterのパクリみたいな機能も特徴的です。まぁ、パクリだったとしても、あちらは日本で未発売。こちらは堂々と全シリーズ発売済み。特に、この全シリーズで2段スタック可能というあたりに凄みを感じますし、「アホなんじゃないか?」と言わざるを得ないあたりがまた素敵です。
覚悟完了!
メインPCが熱くて排熱が追いつかない。
その対処方法として考えたのが、
1:CPUクーラーの交換
2:より低発熱なCPUへの交換
3:冷却性性能の高いPCケースへの交換
の3つでした。
どの手段を選ぶか悩んだものの決めきれず、とりあえず秋葉原を巡って検討することに。秋葉原中をぐるぐる回りながら考えるのは、3つの対策案のすべてが手持ちのパーツだけでまかなえるという大問題。
どうする?
大分悩んだりはしたものの、Core X1が展示処分品でめちゃくちゃ安くなっていたので、一番賢くない手段を選ぶことにしました。
だってしかたがない。Core X1の存在感はそれだけ大きかったのですよ。
というわけで、
で、でででで、で、でた~~~~~~~~!
3秒で揺らぐ覚悟
ITX Cube Caseの文字が実におかしい^^;
それは一体どんな自信の現れなんだ?
というわけで開封しつつ、いったいどんなケースなのか確認してみましょう。
フロントは完全メッシュ。5インチベイがふたつ。200mmファン、140mmファン×2、120mmファン×3と3種類から吸気は選べます。ファンを2個以上つけると5インチベイと排他になるのが少し残念。というか、5インチベイがすっごい半端な位置にあってカッコ悪いですね。一応付けたが、使わないことが前提なのかもしれません。
右サイドパネルは完全メッシュ。
サイドパネル裏面にはメッシュシートがマグネットで貼り付けてあります。ホコリ対策は万全といえますが、掃除は若干手間が掛かりそうです。
左サイドパネルは口の大きなアクリルパネル仕様。グラボ側がアクリルパネルでどうするんだ?
て気分ですが、サイドパネルは左右共用なので、反対側に取り付けることができます。
バックパネル。
マザーボードは水平置きするタイプ。スロットは3スロット仕様。マザーボード下には電源、マザーボード上の排気ファンは標準で120mmを搭載していますが140mmに付け替えも可能です。
全面メッシュ仕様で、エアフローは良好。ケースの構造は、若干縦に長いことを除けばよくあるキューブ型ケースといった感じです。両サイドパネルに、トップパネル。そして、ボトムとすべてのパネルが開放できる仕様は、最近のキューブ型ケースの流行りみたいなものでしょうか? 内部空間に制限のあるMini-ITXケースの場合は、いろいろ捗るのでありがたい仕組みです。
Mini-ITXケースなのに、拡張スロットが3スロットとか、見るからにサイズが大きいPCケースですが、どれくらい大きいのか?
サイズ表記は、426mm × 280mm × 471mmなので大きいことはわかります。
キューブ型のMini-ITXケースは、ちょっとMini-ITXというフォームファクターの存在意義を考えさせるのに十分な大きさのケースが多いものですが、Core X1は格が違います。
というわけで、タワー型のPCケースと並べてみます。
左から一般的なサイズと拡張性を持つがフルタワーほどは大きくないATX対応のThermaltake Dokker、「メンテナンス性と拡張性を備えたコンパクトな」とメーカーがうたうMicro-ATX対応のCorsair 350D、「拡張性に優れる水冷対応キューブ型PCケース(by ASK)」なMini-ITX対応のThermaltake Core X1。
さすがDokkerはATX対応ということで、一番奥行きが長く、一番サイズが大きい……、
ということはなく……、
明らかにCore X1がデカイ!
デカいデカいとは思っていたし、わかっていたことだけど、並べてみてひっくり返った。Core X1が一番デカい!!
Mini-ITXなんだし、容積的にはATX対応のタワー型よりほんの少しくらいは容積が小さいんじゃないかと勝手に期待していましたが、計算する必要もないくらいデカい。
「デカいけどMini-ITXケースだから」という、摩訶不思議なバイアスがかかっていたようです。得てして現実は残酷です。突きつけられた事実に絶句する以外ありません。
自分、何かを間違えたのだろうか……?
心の平穏を求めよう
3つのケースを並べてみるまで、自分がなんだかヤバイ領域に手を出したんじゃないかという事実に気がついていませんでしたが、現物が目の前にある以上は受け入れるしかありません。
内部でも見てCore X1の「サイズ以外」の良い所を探してみましょう。
フロントパネルを外して気がついたのが、5インチベイは3つありました。シャドウベイとしてなら5インチベイは3段使えるようです。
スイッチ類は標準だと左側ですが、右側に付け直すことも可能です。前のケースは左側固定だったので、これは助かります。机の左側に置くケースなので、USB類も使いやすくなりますね。
5インチベイにドライブを取り付けてみる。ツールレス構造なのど、差しこむだけなのは便利です。
しかし、この孤独感……。
フロントパネルを付けてみたら、やたらと隙間ができます。これ、本当に端から5インチベイ使うことが視野に入ってないんじゃ……。
気を取り直して、
圧倒的に広大なスペース。
「Mini-ITXは狭くて組みづらい」という台詞が絶対出てこない、組みやすさでは右に出るものはない絶対的なMini-ITXケース。間違いない。
ちなみに、5インチベイは取り外せるので、写真右側には本当に広大なスペースを確保できます。
トップパネルを外すと、ファン用のブラケットが4つ。ここに、最大36mmのラジエーターや200mmファンをふたつなど、しこたまファンを搭載できます。ちょっとブラケットが大きすぎてエアフローを阻害しないか不安ですが、試してみたところ意外と問題なさそうです。
マザーボードベースには、CPUメンテナンスホールがあります。そして、そこには……、
2.5インチ用ドライブベイがありました。広いスペースよりも、狭いスペースの方を有効活用する欲張りな仕様。
電源の横には、3.5インチドライブベイが3つあります。
これだけ大きなPCケースですが、搭載できるHDDは3台まで。スペースはたくさんありますが、基本的なところではこじんまりとしています。
基本的に、ケース内のパーツはすべて取り外し可能なので、マザーボードベースも取り外せます。一般的思考で捉えると、電源を載せたままバックパネル付のCPUクーラーの付け替えが可能ですね。
フルモジュラー方式を採用しているため、実はケース内のパーツ配置は自由度が高いです。ドライブベイを移動したり、増設したり、かなり過密な使い方も可能だとは思います。それようのオプションがあるのかどうかは知りません。ただ、ケース内部を見ていくと、使いやすさ、組みやすさといった機能性の高さは感じます。
まぁ、ATXケースよりでかいんだから当たり前ですがね。
パーツの対応を確認
Core X1のサイズを活かしたパーツ選択はどうすればいいのか? 内部の広さも確認しましょう。
まずはCPUクーラー。
公式の対応CPUクーラーは、全高200mmまで。マザーボードベースから高さを測ると約230mmなので、ほぼ公称値通りでしょう。全高200mmとかいわれても、ハイエンドキ○ガイレベルのスサノヲでもファンを載せて全高185mmですから、十分な余裕があります。
次にグラフィックカード。
公称値は400mm、実測値は420mm。
3スロット40cmの化け物カードでも搭載できますね。そんなものないと思いますが。
電源もいけるところまでいけます。
40cmとかいう電源が発売されても対処可能。
まぁ、現実的なラインだと20cmでしょう。ちょうどマザーボードベースと同じ長さになるので、20cm以下に抑えると使いやすそうです。
気になったので……
さすがにこれだけ大きなケースですから、どれくらいパーツが入るか気になります。
なので、各種パーツを合わせてみました。
まずは、ATXマザーボード!
使えるかどうかはともかく、余裕ですね。
マザーボードベースを工夫すれば、このままいけそうです。ぶっちゃけ、グラボを挿しても使えそうな気がしてくるから怖いです。
Mini-ITXケースなのに!
じゃぁ、Mini-ITXマザーボードを搭載ですね。
Mini-ITXを2枚!
コレもなんか余裕です。
ひとつのPCケース2システムいけそうな気がしてきました。気のせいかもしれませんが……。
そして、気になってたのがMicro-ATX。
いけるじゃないですか!
3スロットだったので、いけるんじゃないかと思っていましたが大丈夫そうです。
拡張スロットの使い方次第という条件はあるでしょうが、問題なさそうです。というか、収まりがいいんですが?
1スロットの拡張カードなら普通に3枚いけそうな気がします。
今後どうなるか、どうするかはわかりませんが、Micro-ATXが使えそうなのは好材料です。
なんでも受け入れられるほど懐が深い(物理的に)
Micro-ATXが使えそうということで、Micro-ATXでシステムを構築します。と言いたいところですが、元々使っていたMini-ITXのメインマシンから中身だけの移行なので、Mini-ITXで構築します。
だって、Mini-ITXケースだしね!
というわけで、移行完了。きちゃない……。
唯一Blu-rayドライブを追加しようかと思ったのですが、あの隙間が気になるので後で取り外そうと思っています。
なんか、グラボを搭載しているとは思えないほど余裕を感じます。
取り外したリアファンは、HDD前に設置してたりします。ほんのり少しだけHDDが冷えるようになった気がします。
Mini-ITXケースに搭載するにはイロイロ問題の合ったAntec KUHLER H2O 950ですが、Core X1にしたことでなんなく搭載できます。タワー型よりも余裕を感じますよ^^
組み立ててから気がついたのですが、電源の上にはやたらと広いスペースがありますね。下吸気にしてありますが、上吸気にしても問題なさそうなほどの隙間です。
もっとも、隙間があるのなら適当にしたままの電源ケーブルを押し込むんだほうが、隙間を有効活用できそうな気がします。
今回は、ケーブルそのままですが……。
それにしても、やはり組み込みは楽ですね。物理的に広大なスペースがあるので、かえってケーブルの処理が悪いと酷い絵面になるということ以外で問題を感じる場面がありません。
この世界はどこまで行くのだろうか
私がMini-ITXというフォームファクターを使っていたのは、メインPCでも机の上に置いて邪魔にならないサイズにしたかったからです。しかし、それだとPCの性能は限界が低く、メインマシンとして使うには少し問題がある。そこで、チョイスできるパーツの幅が広いPRODIGYを使っていたわけです。
コレがいけなかったんでしょうね。
PRODIGYを2年も使っているうちに、私の意識はMini-ITXならこれくらいのサイズは当たり前。むしろキューブ型は扱いやすくて良い。という認識になってきてました。そのため、後継のPCケース選びは当たり前のようにキューブ型を並べて比較していましたし、「少しくらい大きくても問題ない」と思っていました。
それがまさかココまで大きくなるとは……。
机の上のスペースを節約するためのMini-ITXというフォームファクターで、ATXより大きなケースを机の上に置くことになるとは思いませんでしたよ。
本当にどこで間違えたのやら……。
とはいえ、常時50℃を超えていたHDDの温度も40℃台まで下がり、CPUクーラーもラクラク取り付けられるようになったのは収穫です。良い所もあったのですよ。物理的スペース以外はね。
元々、Core X1はカスタマイズ前提のケースです。ケースファンは付属しますが最低限のものですし、メーカーとしても「このケースで本格水冷を楽しんでくれ! ドヤァ」という気持ちで製品化したPCケースだと思います。普通に組んで、そのまま使うケースではないというわけです。つまり、私の使い方が間違っているのだから文句をいう筋合いはないのでしょう。
でもね。
デカいわ。
本当に、デカい。
2段スタックできる? これをふたつ? 重ねる? ありえんわ~。
非常に趣味性が高く、ターゲット層の幅がものすごく狭いPCケースですが、この異様な存在は実に自作PCだなぁと思わせてくれるPCケースです。
最後になんとなく思い立って、ふたつのMini-ITXケースを並べてみました。
うん。おかしい。
どちらもMini-ITXケースとかおかしい。JONSBO U1だってキューブ型のMini-ITXケースですから、それなりに大柄なケースなんですよ。なのに比べるべくもないサイズの違い。やはりおかしい。
Core X1を眺めながら思うことは、
このケースを企画した人、企画を通した人、このケース買っちゃった人、何もかもがおかしいよ!?
本当に、これからどうなってしまうのやら……。
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購入金額
4,980円
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購入日
2015年08月07日
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購入場所
カーリーさん
2015/08/09
GPUの吸気側がアクリルパネルであっちっちなのがまさしくPRODIGYの青なのでそこだけちょっと心配ねー
Kvartさん
2015/08/09
このシリーズは、アクリルパネルとメッシュパネルを入れ替えられるので、GPU側をメッシュパネルにできますよ。ただ、3スロットあるので、GPU側にも結構隙間があるんですよ。フロント、もしくはボトムからの吸気を強化すればGPU側がアクリルパネルでも問題ないように思えます。
れいんさん
2015/08/09
そんな設計が漢らしいわね!
Kvartさん
2015/08/09
ぜひおススメしたいですね。