哲学者ウィトゲンシュタインの中期の思想を記した著作。
著作と言っても彼がケンブリッジ大学で哲学講義をする際に準備しておいたノートであり、彼の死後出版されたものだ。そのノートの表紙が青色だったというので、現在でも『青色本』と呼ばれている。ちなみに、『ウィトゲンシュタイン全集6』ではもう一冊のノート『茶色本』も収録されている。
内容としては、前期の著作である『論理哲学論考』を踏まえたうえで、その中に現れる「写像論理」等の間違いやこれまでの哲学的な問題の誤謬を指摘しつつ、後期の主要な概念「言語ゲーム」や「家族的類似性」を展開するといった内容になっている。
語の意味とは、それが写像する対象ではなく、語の使用方法にあるという後期の思想を見て取ることができるのと、『論理哲学論考』の中で取り扱われた主題についても触れることができる。
そしてなにより、講義用のノートなだけあって意味深な箴言めいた言葉でなく、平易な文章で読むことができるというものもウレシイ。ウィトゲンシュタインの入門書と言ってもいいんじゃないか。『論理哲学論考』や『哲学探究』ではこうもいかないから。
そして、個人的には彼がここで独我論の問題について自問自答を繰り返し、迷いながらそれでも語ろうとする姿勢が見て取れるのはアツいと思う。
言語の向こうに行こうとする思想はいつだって面白い。
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購入金額
972円
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購入日
2015年06月20日
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購入場所
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