L2さんが好きな漫画は、中々の割合で、
「○○の勇気が世界を救うと信じて」とか、
「俺たちの戦いはこれからだ」とか、
「まだまだ、登り始めたばかりだぜ、この男坂という坂道をな」みたいな展開になります。
重大なネタバレですが、この漫画もそうです。
冷静に分析すると、アイデアの大きさに、構成力がどうしても追いつかないというデビュー当初の作家に多い躍動感が好きなのかもしれません。
構成力がアイデアを上回る、という場合、上手にまとまったアイデアにサイズダウンしている事があるような気がします。(もちろん、そんなことは無い、まさに天才と呼べる方も数多くいらっしゃいますし、そういった作品も大好きではあります)
はい、横道に逸れすぎました。
秘拳伝キラ。
L2さんの大好物な作品です。
タイトルの通り、歴史の陰に埋もれていた、或いは闇の中に潜んでいた流派の業を用いる闘士の物語です。(政治的中心地から離れた地での最強格闘技の継承、というと修羅の門にも通じるかな)
普段は気弱な性格の降りをしていて、実は、のギャップものでもあります。
格闘アクションや、ストーリー自体は、題材の琉球唐手の隠し流派以外では、それほど目新しいものでは無いかもしれません。
しかし、アクションシーンの描写や、攻撃の重さを描く所など、私は好きな描写です。
キャラの造形として、肩や、こぶし、足首から先などが、少し誇張気味に描かれていて、アクションフィギュアを上手く動かしているような感じに思える(L2さんの個人的感想です)のも◎。
ここからシリーズ通してのネタバレ含みますので、ご注意くださいませ。
沖縄の格闘家の間で、「三つ目のキジムナー」と呼ばれる謎の格闘家に負け続けるという事件が起きる。
それは、主人公の少年キラがフェイスペイントをして正体を隠しつつ修行をする為の仕合であった。
しかも、キジムナーの伝説は、過去にも存在しており、その再来として腕に覚えのある格闘家の中ではキジムナー退治がにわかに流行する。
普段は気弱で争いが嫌いな振りをしているキラであるが、とある目的の為に強くなる事を志し、
「三つ目のキジムナー」として喧嘩を売り歩いていた。
空手のみならず、格闘家に一目置かれる大家と出会い、己を鍛えるべく戦いを繰り広げるキラ。
しかし、その噂が大きくなるにつれて、闇に蠢くものの暗躍が起きる。
それは、キラの義理の兄と実の父親であった。
最強の格闘流派として格闘界を牛耳ろうとする父親、誰よりも強く、そして、流派の掟を頑なに守ろうとする最強の格闘家である義兄。
その二人に対抗する力を付ける為にキラは、キジムナーとして戦う。
最強の格闘家は俺だ、と嘯きつつも、対戦を通して成長したり、或いは、ある大家には弟子入り志願してみたりと、強くありたいと願うキラ。
そんな流れで、キラが苦戦しつつも勝利し続けていくのですが、対戦相手が、キラとの対戦後、謎の死を遂げ始めます。
その死は義兄による制裁。技を見たものは、死なねばならないという掟を守るための行動。
キラは対抗するべく、腕に覚えのある者と一気に対戦できる裏格闘大会を協力者と共に開催します。
その中で更に成長するのですが。
そこに現れる義兄。なんと、顔の筋肉を動かして別人に成りすましているという規格外の人間。
三つ目の、と呼ばれる妖怪?の正体は、義兄のように体中の筋肉骨格を自在に操るという流派の奥義の姿でした。
歩くだけながらも、究極のバランスを維持してあらゆる攻撃に対応できる歩法とか、L2さんの大好物な設定です。ハァハァ。
キラの体も筋肉骨格を操る力があり、感情爆発で発動するも幼馴染の声で理性を取り戻します。
勝ち目の無さそうなところですが、弟子入りした合気道の大家の遺した技を使って互角に持ち込みます。
そして、その戦いの描写をもって、「俺たちの戦いはこれからだ」エンディングです。
全6巻、その結末に至るまでの展開など面白くて、今でも読み返したりしますが、出来る事ならばキラが想いを遂げる所まで描いて欲しかったなあ、と思います。
人気による打ち切りか、それとも、広げた風呂敷を畳む力が今は無いと判断したのか、いずれにしても、続きを希望したい、そんな作品です。
そういう事情で、なんとも人に勧め難いのですが、大好きなシリーズです。
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購入金額
419円
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購入日
不明
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購入場所
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