SuperTalent FTM32G225H は2010年前後に発売された同社Ultra Drive GX2シリーズに属する容量32GBの2.5インチSSDだ。
発売時期を前後と書いているのは、SuperTalentのホームページでも該当製品の情報が見当たらないからだ。わずか5年前の情報が既に開発元のデータにも残っていない事からも、この分野の進化の早さが伺える。
筆者はこの時期から今に至るまで、PCを日常的に使う上での最大のボトルネックはHDDにあると考えていた。
仕事で用いるデータも肥大する一方で、PCに搭載できるメモリの上限も現在ほど大容量で無く、オンメモリ時は快適であっても、納品が近づくにつれてメモリからあふれ出す様になり、データをテンポラリ領域に書き出すHDDの動作音が精神的な圧迫感を伴っていた。
この問題を解決する為に高回転型のHDDを導入してみたり、HDDの先頭セクタ付近のみにデータを書き込んでみたりと、あれこれと手を打った事を良く覚えている。
本製品の様なSSDと呼ばれる製品が一般化する前から、物理的に動作しない記憶装置はいくつか存在したが、そのいずれもが導入に当たるハードルが高く、一般ユーザーには現実的で無い状態が続いていた。
だが、携帯電話やデジタルカメラの高度化でその記憶装置として使われていたNAND型記憶装置が大容量化、高速化し、これらNAND型メモリを使用した記憶装置としてSSD(Solid State Drive)が出現し始める。
この時期の小容量SSDは今では全く聞く事の無くなった「プチフリ」という現象(ドライブに対するアクセス頻度が高まった時、一時的にPCの動作が止まった様な状態に陥る現象、プチフリーズを略したものと思われる)が発生する事で新製品に敏感なアーリーアダプタの間で話題になっていた。
64GB品や128GB品を用いれば症状は劇的に改善されるとの情報はネットのあちこちからも聞こえてきていたが、登場間もない製品群と言う事もあり、今現在よりも容量単価が高く気軽に手を出しやすい状態とは言えない状況であった。
そんな折り筆者は秋葉原に店舗を構えていたUser's Side(品質を重視したPCショップ、残念な事に既に同店は既に閉店している)で、店員から小容量SSDでもRAID0構成を取ることでプチフリ回避が可能である事を聞く。
SSDは登場した当初からHDDに対する読み書き性能にアドバンテージがある事は知られていたが、RAID0構成を取る事で更に高速化が可能であり、その上プチフリ回避まで出来るとあって導入に踏み切った。
SSD導入に当たって使用したRAIDカード、予備PCに搭載され今現在も現役である。
筆者は本SSDを4発導入し、RAID0構成とした。 その結果は見事な物で、HDDとは比べものにならない高速性を発揮した。
残念ながらベンチマークを取ったスクリーンショットは残っていないが、シーケンシャルリードで400MB/s弱のスピードが出ていたと記憶している。
最新世代のSSDやM2、SATA Expressに対応したドライブとは比べるべくも無い速度だが、当時としては十分以上の体感速度と快適さをもたらしてくれた。
あれから早5年、SSDは順調に容量単価を下げ導入に対するハードルも低くなっている。
また、物理的に動作する部分が無い事から耐衝撃、省電力であるアドバンテージを生かしノートPCに初期導入されるケースも増えた。
先にも述べた通り、この分野の進化はすさまじく既にシーケンシャルリードの速度は、SATAの転送速度上限に張り付いたままだ。
今後5年で、どんなストレージインターフェイスが生まれ、高速化が進むのか筆者には想像する事も出来ない。
それほどまでに劇的な進化を続けているデバイスの初期を彩った本製品は、筆者にSSDの魅力を伝えると同時に、システムドライブにHDDを選択しない(出来ないと言うべきか)という所まで考え方に変化をもたらした転換期にふさわしい製品だ。
単体での使用には注意が必要だった
だが、プチフリの欠点もRAID運用でカバー出来た。
単体での実用性にマイナスポイントがあるので、それを差し引いてこの点数としたい。
当時としては破格に安かった
同一容量でも5桁にとどくか、あるいは超えていた時代に比較的手の出しやすい価格で、ショップの特価商品となる事も多かった。
コストパフォーマンスについては満足のいくものであった。
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購入金額
6,500円
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購入日
2015年03月20日
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購入場所
ツクモパソコン本店
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