mink(李 美瓊(イ・ミンク))。イラストレーターのenaのモノトーンのイラストをイメージキャラクターとして2005年から作品をリリースしはじめ、その後約5年間活動し現在は消息が不明な韓国籍の歌姫。おりからのDIVAブームに乗れなかった...と言えば身もふたもないが、「彼女の終わり方」はちょっと唐突で、プログに「人生の中でもっとも大きな選択」をしようとしていると書き込んだあとその結果も明かされることなく消息不明となっている。
彼女の声はいわゆる「美声」ではない。かなりハスキーで、特にアタック部分に擦過音が多い。しかし、高域の長音の美しい伸びとそのビブラート!いわゆるノドで出している速いビブラートに長音では声音の緩い周期的な変動が加わり、その複合的な揺れがとても気持ちが良い。
本作は3作目のシングルで、ここまでが彼女の「前期」と言う感じだ(厳密には半年後に本作も含むミニアルバム“Shalom”がでるが、集大成のミニベスト盤的意味合いが強い)。後期はその特徴のある声をバラードに傾けていくが、本作まではまだアップテンポ曲も聴ける。
...そうは言っても1曲目はその後の王道路線となった「ど」バラード、「Hold on to a dream」で幕を開ける。これはminkの声に酔える。ハスキーなAメロから入るがサビに向かっていくうちに歌のボルテージの上昇とともに掠れが晴れ、ブリッジの朗々とした歌い方が真っ直ぐ心に届く。♪守るもの/捨てるもの/心に耳を澄ませばいい/いつまでも/見つめたい/でもあなたは/まぶし過ぎて/and your world starts to change...♪構成も2ndコーラスのサビではメインメロはコーラスにまかせて、早々に自分はフェイクフレーズに入ってしまうという珍しいもの。
「Secret Garden (Under the Stars mix)」は2ndシングル“4 Love”
から。そのリミックスは打ち込みのリズムと生ギターをフィーチャリングした内容になっており、無機質なシーケンスのベースとハンドクラップ調のリズム音が4つ打ちで入るクラブ調の曲。初期はこの手の踊れる曲も少なくなかったなー。
「Rescue Me」は初回盤のみのボーナストラックで、ミニアルバム“e+motion”
に収録されたものの英詞ヴァージョン。実は彼女の曲は外国人作が多く、元詞の多くは英語。それを日本語・韓国語のみならず英語も流ちょうに使いこなす彼女がそのまま歌ったオリジナル版。これもバラードだが、元詞ならではの収まりの良さで聴かせる。彼女にとって初の映像作品ともいえる初回特典のDVDはかなりレア。ダイジェストだが2006年4月17日にSHIBUYA CLUB QUATTROで行われたライヴの様子が収められる。録りが本格的でないため音的にはBootleg風だが、それにより逆に彼女の歌が補正などなしのホンモノと分かる。インタビューもあって、当初顔出しなしで活動していた彼女の素顔が窺える(顔、という意味でもありのままの姿という意味でも)。動物が好きで、キムチチゲとソースがかかった食べ物が好きで...といままでほとんど表に出てこなかったminkのキャラクターが本人の口からほぼ訛りのない日本語で語られる。
そんなに大々的に「売れた」ワケではないけれど、いまでもインターネットの書き込みで彼女の作品に触れたものが更新される。作品もシングル6枚、ミニアルバム2枚、フルアルバム2枚、ベストアルバム1枚と決して多くはないのだけれど、彼女の癒やしの歌声は、我々に忘れがたい「何か」を残したのだと思う。またその歌声を聴いてみたい、でも聴くことが叶わない、そんな失われた歌姫です。
【収録曲】
<CD>
1. Hold on to a dream
2. Let’s start from here (original)
3. Secret Garden (Under the Stars mix)
4. Rescue Me (original)(bonus track)
<DVD>
1. Hold on to a dream(Video Clip)
2. Rescue Me~おまじない~Bring it on (Interviw & spring live 2006 “Landscape”)
3. Glory of Life (Interviw & spring live 2006 “Landscape”)
4. Like There is No Tomorrow (Interviw & spring live 2006 “Landscape”)
「Hold on to a dream」
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購入金額
1,575円
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購入日
2006年頃
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購入場所
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