EVGA GeForce GTX 980 Superclocked ACX 2.0 のレビューです。
■購入経緯
2年程前からGTX670搭載のグラフィックカードを使ってきたが、最新タイトルを高画質でプレイすると重くなることがあり、性能不足を感じるようになってきたので、買い換えようと思った。
GTX670からの換装対象としては、GTX970が有力な選択肢になるが、購入直前にGTX970の「VRAM 3.5GB問題」が明るみに出たことから、更に上位のGTX980搭載カードに買い換えることにした。
【参考】
グラフィックスメモリを大量に要求するタイトルで,GTX 970の性能が大幅に低下する? 海外で話題の問題についてNVIDIAが見解を公表 - 4Gamer.net
Jen-Hsun On GeForce GTX 970 - NVIDIA
■EVGAとは
今回購入したのは、“EVGA GeForce GTX980 Superclocked ACX 2.0”(以下、GTX980 SC)。
EVGAはマザーボードやグラフィックカードのオーバークロック製品を数多く取り扱っているPCパーツメーカーで、北米に本社がある。
日本では馴染みが薄いが、NVIDIAとは強いパートナーシップを築いており、北米ではグラフィックカードのシェア№1を誇る有力なメーカーである。
サポートには力を入れており、グラフィックカードであれば3年間というように長期保証を付している点が特徴である。それだけ品質には自信があるということなのだろう。
ただ、国内では代理店が限られており、入手しにくいことが難点ではある。
■購入方法
EVGAのGTX980搭載カードを国内で販売している代理店はないので、入手経路は原則として海外通販に限定される。
海外通販の場合、購入店が海外発送に対応していなければ、輸入代行業者を利用しなければならず、余計に費用がかかる。また、海外発送に対応している小売店であったとしても、輸送事故等のトラブルが生じた時の対応に大きな心配がある。大手小売店でもなければ、日本のように懇切丁寧な対応は期待できないと思った方が良い。
今回は、Amazon.com(米アマゾン)にて購入した。Amazon.comであれば、日本への輸送に対応している上にサポートもしっかりしているので安心できる。Amazon.comは、グラフィックカードに限らず、EVGA製品の主な入手先になるだろう。
購入価格は、本体:$559.99、送料:$20.16、輸入税:$24.42で総額:$604.57。
円安基調ではあるが、ドル120円換算で約72,600円。ASUS STRIX-GTX980-DC2OC-4GD5と同一価格帯なので、国内製品と比較してもそれ程高くはない。
長期保証を望むのであれば、EVGAのグラフィックカードは良い選択肢になるだろう。
■スペック
GTX980 SCのスペック
■外観チェック
シンプルなデザイン。EVGAのグラフィックカードは、黒を基調とした直線的なスクウェアデザインのものが多い。
ASUSTek GTX670-DC20G-2GD5とサイズ比較。長さ266.7mm。ハイエンドのグラフィックカードとしては短い方だろう。
ヒートパイプの張り出しもなく、装着時にはケース内でも取り回しやすい。
バックプレートを$19.99で購入して取り付けた。
補助電源は6ピン×2。側面の文字は動作時には光るようになっている。
シンプルなデザインなカードだが、こういうちょっとした拘りが良いアクセントになっている。
入力端子は、DVI-I、DisplayPort×3、HDMI×1。2スロット占有。
■付属品
付属品は以下のとおり。
・ペリフェラル4ピン×2-PCI Express 6ピン変換ケーブル ×2
・DVI-D-Sub変換コネクタ
・ドライバCD、ロゴバッジ
・ユーザガイド
・パンフレット
・ステッカー
・ポスター
■性能検証-テスト環境
各種ベンチマークソフトを用いてGTX980 SCの性能を計測した。比較対象には、ASUSTek GTX670-DC20G-2GD5を使用した。
使用したベンチマークソフトは以下の4本。
■3DMark Anvanced Edition 4.36
ハイスペックなゲーミングPCを対象にした“Fire Strike”、WQHD環境(2560×1440ドット)におけるをゲームプレイを想定した“Fire Strike Extreme”、4K環境(3860×2160ドット)におけるをゲームプレイを想定した“Fire Strike Ultra”の3つのプリセットにてテストを行った。
ExtremeプリセットまでがシングルGPU構成、Ultraプリセットは2way以上のマルチGPU構成を想定したテストになる。
■Heaven Benchmark 4.0
ロシアのデベロッパーUnigineが開発したDirectX 11ベンチマークソフト。
同社のゲームエンジンUnigine Engineを使用しており、ダイナミックテッサレーション、コンピュートシェーダ、そしてシェーダモデル5.0により、非常に細かいディテールとリアリズムを備えた神秘的な雲間の空中に浮かぶ村を探検することができる。
■Valley Benchmark 1.0
Unigineが新たに開発したグラフィックスエンジンを用いたベンチマークソフト。
6,400万平方メートルにも及ぶ広大な自然の中を様々な視点で探検するこのベンチマークでは、植物や山のような地形、マテリアル表現に用いられるテクスチャなどの一部が、内蔵されたアルゴリズムによりプロシージャル生成されてレンダリングされており、非常に高い負荷をかけるテストを行うことができる。
■Unreal Engine 4 Elemental Tech Demo
アメリカのゲーム開発会社Epic Gamesが、ゲームエンジン“Unreal Engine 4”のデモ用に制作した3DCGアニメーション。
Unreal Engine 4は、今までのゲームエンジンでは実現することが難しかった、グローバル・イルミネーションを表現できるようになっており、リアルな光表現を実現している。
このソフト自体にはベンチマーク機能はないが、Frapsを使ってFPSを計測した。なお、デフォルトの解像度は1600×900だが、1920x1080に設定変更してテストを行った。
■ファイナルファンタジーXIV : 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
実際のマップとキャラクターを表示して、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」Windows版及び「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」Windows版を動作させた場合の指標となるスコアを確認することができる。「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」のDirectX 9モードに加えて、新たにDirectX 11に対応したモードが提供されている。
テストは、グラフィック設定プリセット「最高品質」、DirectX 11、解像度1920x1080にて行った。
なお、テスト実施時におけるシステム環境は以下のとおりである。
【CASE】Fractal Design NODE804
【OS】Windows 7 Professional 64bit
【M/B】MSI Z97I GAMING AC
【CPU】Core i7-4790K
【PSU】Thermaltake Evo Blue 750W
【MEM】CORSAIR VENGEANCE PRO CMY16GX3M2A2400C11R 8GB×2
■性能検証-グラフィック性能
■Fire Strike(Bacis、Extreme、Ultra)
■Heaven Benchmark 4.0
■Valley Benchmark 1.0
■Unreal Engine 4 Elemental Tech Demo
■ファイナルファンタジーXIV : 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
ベンチマーク結果を全体的に見ると、GTX980 SCのグラフィック性能は、ASUSTek GTX670-DC20G-2GD5の1.5~2倍程度あるようだ。
Fire Strike Extremeの計測結果から推測するに、GTX980 SCであればWQHD環境(2560×1440ドット)でもゲームプレイすることができるが、快適にプレイしようと思えば、2wayが必須と思われる。4K環境(3860×2160ドット)となると、GTX980 SCの2wayであっても快適なプレイは難しいだろう。
■性能検証-冷却力
Fire Strike実行時に“EVGA GeForce GTX980 Superclocked ACX 2.0”のGPU温度、ファン速度をGPU-Z(ver 0.82)にて計測した。
GPU最大温度は71℃、この時の回転速度は20%(904RPM)であった。
ファン回転速度が低速である割には冷えているという印象である。
デフォルトではファン回転速度が絞り気味で静音性が重視されているようだが、70℃台であればデフォルト設定のままでも良さそうだ。
公式サイトによると、
「最適化されたスイープファンブレード、ダブルボールベアリング、超低消費電力モーターで、EVGA ACX 2.0 はより少ない電力でより多くのエアフローを実現し、GPU にさらなるパワーを提供します。」とのこと。高冷却力、静音、低消費電力、長寿命ということのようだ。
ACX 2.0の紹介動画
“EVGA GeForce GTX980 Superclocked ACX 2.0”のファンは、低負荷時には回転を停止するセミファンレス仕様であり、インターネットや動画再生程度の作業であれば、ファンが停止した無音で動作する。
負荷が掛かり、GPU温度が63℃に達するとファンが回転を開始し、52℃になると停止する。
高負荷時にケースの蓋を開けてファンの回転音を聞いてみたが、周囲のファンノイズに紛れてしまい、至近まで耳を近づけてやっと聞き取れるくらいの回転音しかしない。
次の動画は、ファン回転音を撮影したものである。動画開始してから50秒後にファンが回転し始める。チーッという音が聞き取れるだろうか。
■性能検証-消費電力
システム全体の消費電力をアイドル時、フルロード時で計測した。
計測にはワットモニター TAP-TST5を使用。フルロード時の数値はFire Strike実行時の最大数値を採用した。
GTX980とGTX670のTDPはほぼ同じなのだが、フルロード時の消費電力では2割の差がついた。
ただ、グラフィック性能差を考慮すれば、十分に納得いく結果といえる。
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購入金額
72,600円
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購入日
2015年03月16日
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購入場所
Amazon.com
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