テンヨー・メタリック・ナノパズルの新シリーズ、”プレミアム”の記念すべき一作目。

従来のシリーズでも人気があった、海賊船ブラックパール号を”プレミアムにアップグレード”した製品だ。

パッケージからして、なんかプレミアムな感じである。
従来品より大きく、厚い。

煽り文句もプレミアム。
従来品じゃ物足りないという猛者でも、大満足の組み応えと完成度を保障してくれる。

中身のシートは2枚構成。
このへんは従来品の上級者向けと同様（姫路城だけ3枚）だ。

ただ、シート自体は倍面積。
上のシートはファルコン号の部品を抜いた残骸だが、ほぼきっかり倍の大きさである。

しかも、この倍面積であるにも関わらず、板の厚みはほぼ同じ。
部品の大型化に伴い、細い部分は歪みやすくなっているので注意が必要。

そういうわけで、こちらが完成品。
今まではだいたい一日で組めたが、こいつは三日かかった。

理由は、その難易度。
従来品より、べらぼうに難しいのである。
ただでさえ微妙な局面が多い帆船なのに、部品が大型なので丸みをつける範囲が広く、しかも接合に必要なタブの数が多いため、丁寧に組み立てて行かないと歪みの蓄積で破綻し易いのだ。

スケールが上がっているので、今まで一体化されていた部分がディテールを増やすため別パーツ化され、しかも帆船という「桁とか線が多い」部分へ情報量を増やすよう設計されており、結果として「強度が低いところに、接合部が増大」している。

そのため、船体の前後、帆桁やマスト周りの難易度が鬼畜レベルに達しており、作り慣れていても結構な苦戦を伴う。

船首回りの金具のカーブは、上手く調整出来ず歪んでしまった。
一度伸ばしたり、丸ペンチで修正したりしたのだが、それでもよーく見ると歪んでいる。

側面からると判るのだが、この帆は全て「帆桁と帆」に分割されており、しかも索具（張線）の隙間を真横から通し（余裕はほぼ無い）て、メインマストにあるタブ穴へ通し、固定するという、非常にドギツい手法で組み立てる必要がある。

また、側面のネット部分も船体からマスト中央に伸びているやつはともかく、マスト中央部からトップにかけて付いている方は、脆弱なマストに左右から挟む形で固定していく必要があるので、取り付け時に妙な方向へ力をかければ、あっさり歪んでしまう。

斜め後ろから見ると、その接合部近辺の脆弱さが見える。
これでも歪みは最小限にとどめたのだが、拡大するとダメなところが見えてくる。

ネットのカーブとかが、結構歪んでるのだが「固定するだけで、精一杯」なのだ。

船長室近辺のアップ。
ちなみに、帆船の船長室が艦尾にあったのは、こっちが風上（帆船だから、尻は常に風上）になるので「船員たちの悪臭が充満しづらい」からだとか。

この伝統、帆走が無くなった時代でも健在で、日本海海戦の旗艦であった三笠や、艦尾延長改装前の金剛型なども、艦尾に司令長官室と暴露デッキがあったりする。

しかし、これ本気で難し過ぎである。
組んでる途中から、Ａ４用紙一面に草が生やすレベルで、笑い泣き状態で組んでた。
全体に渡って「簡単に組める部分が全くない」ので、従来品の難易度に満足出来ない人は、確実に満足感が得られるだろう。

完成したときの充実感も凄いものがあるが、取りあえず私は二度と御免蒙る（笑）