茅場晶彦の言葉を思い出すかの如く、久しぶりのインパクトだった。
初めに断っておくが、レビューの内容は絶賛だ。
次に断っておくが、既にこれを空けて書いてるレビューの内容はへろへろだ。
そして最後に、酔っ払いほど面倒なモノはない。
お酒を飲めない人にはゴメンナサイだけど、
これはお酒のレビューです。
お酒は好きだけど日本酒が嫌いな人にはゴメンナサイだけど、
これは日本酒のレビューです。
とにもかくにも日本酒が大好きな人にはゴメンナサイだけど、
こいつは日本酒じゃねぇ(マテ。
元々満寿泉自体は飲んだことがないのだけれど(オイ
酒屋の店主がこんな酒は今まで飲んだことがないというのを真に受けて買ってしまった。
如何せん、そもそも最初は日本酒だと思わなかったのだ。
木箱に寝かせておいてあるし、雰囲気からして白ワインだ。
店主曰く。
寝かせるために作られた酒であり、
樽と共に成熟するように作られている。
個人的にはウィスキーが大好きなのだけれど
(残念ながら一番好きなのはブラックニッカだ。舌が安いから安酒が好きなのだ)
もちろん日本酒だって好きだ。
学生時代に3人で樽を空けるという暴挙に出たが
(当然その後の惨事は推して量るべしである)
その程度には好きだ。
そして店主曰く。
それは日本酒で有って日本酒ではない。
それはまるでウィスキーのようだ、と。
元々こういった謳い文句には弱い。
ドクターペッパーは好きだし、ペプシのチャレンジ精神は尊敬に値すると思っている。
学生時代に購買に蒸しパンコーラ味とラムネ味が入荷された時の喜び様は、
どん引き間違いなし街中でやったらママ何あの人しっ見ちゃダメよな流れが
間違いなしの○違いっぷりだった。
喜々として購入し、ラフな格好に着替え、机の上につまみを並べ、
栓の部分のカバーを開けた瞬間から、俺はもう動けなくなっていた。
コルク栓なんて聞いてねーし!!
そう、コルク栓で、ワインオープナーやらコルク抜きやらを持っていなかったのである。
つまみ達が冷めてゆくのに目もくれず、
俺は(盗んでない防犯登録済みの)チャリンコに跨がって走り出した。
バッカヤロー!!
近くのスーパーの雑貨売り場でコルク抜きを買って全力ダッシュで戻ってきた俺は
40秒もかからずソッコーで酒飲みモードの支度をすると、コルクを抜きに掛かった。
まぁ語るほどのモノではないが、
結構抜くのに手間取った。
なぜ語るほどのモノではないかというと、コルク抜きを持っていない時点で察してくれ、
というところだ。
チキンなのでスポンという小気味良い音と共にではなく、
ニュポという風情のカケラもない音と共にコルクが抜けた。
ワインであれば、ここでコルクの匂いをかぐところかも知れなが(ぇ、違う?
香りをめ一杯楽しむためにグラスに注ぐ。
日本酒であれば猪口だし、ワインならワイングラス。
ウィスキーならショットグラスというところだが、チョイスは中途半端なグラス。
なんだったら梅酒ロックグラスと言っても過言ではないかも知れない。
色は薄い琥珀色。
とりあえず、日本酒の色ではない。
そして○○○○の色とか言ってはいけない。
コップの中の水をこぼさないように豆腐を運ぶ応用で、
グラスの中で液体を揺すり、香りを楽しむ。
ふむ。
ますますコイツは日本酒じゃねぇ(爆。
が、百聞は一見にしかず。
飲んでみるに優ることはない。
もとい、もうお預けは勘弁だ。
飲んだ瞬間広がる香り。
漂う木の香り。しかしそれは爽やかな森じゃない。
湿度に満ちた、落ち着きと静寂の空間。
そして思うことはただひとつ。
やっぱりコイツは日本酒じゃねぇ(核爆。
ぃや、それぐらいのインパクトなのだ。
なんでコイツがもっとメジャーじゃないのか不思議なくらい、
強烈な出会いだった。
だが、口に広がる香りと、舌で楽しむ味とは裏腹に、
喉越しで得られるキレと、最後に残りじんわり広がる味は紛れもなく日本酒なのだ。
マジでなんなのコイツ!?
というのが偽らざる感想だが、それを押して余る魅力だった。
とにかく酒!という状況であればオススメはしない。
ぶっちゃけビールの喉越しの方が遙かに爽快感がある。
そして何より安い。
だけどコイツは、明確に酒を楽しむ気持ちがないと楽しめないと思う。
スッキリしたいならビールを、ただアルコールを摂取したいならスピリタスでも飲めばいい。
もちろん熟成が足りないのか、味にはまだトゲがあるし、
樽の香りも馴染みきってはいない。
お酒の評論家からすれば、まだなってないとか、
角が立ちすぎている、もう少し寝かせるべきとかあるかもしれないが、
ウィスキーも日本酒もOKな酒好きとしては、普通に美味い。
万寿みたいな完成度ではなく、蔵元として、
言い方を変えれば日本酒としてチャレンジをしているように感じられるし、
この独特の風味は他の人にも楽しんでもらいたいと思う。
繰り返しになってしまうかもしれないが、万人受けする味ではない。
当たり外れがあるのはわかっているけど、
このクセもまた、引きつけられる味のひとつだと思う。
もし近くに満寿泉を取り扱っている酒屋があれば是非コイツを取り寄せて、
一度ご賞味頂きたいモノである。
美味しいと感じるにしろまずいと感じるにしろ、
日本酒について新たな扉を指し示してくれることは間違いないだろうから。
ラベル
日本酒とは思えない
口に含んだ瞬間は香りにのまれてしまうが、
喉越しと共に残滓のように広がる味は紛れもなく日本酒である。
まるでウィスキー
ワイン樽という触れ込みだが、仕上がりはワインとはほど遠い。
ブランデーほど自己主張が激しくなく、ウィスキーのようだと表現しても過言ではない。
SAKEの技術で生まれ変わる
いや、もともとは日本酒なのだが、
ウィスキーをSAKEとして洗練するとこうなるのか、という見本のよう。
ウォッカのような力強さに向くのではなく、
ただただ、味と風味を研ぎ澄ますように、禅の心に従うとこうなるのか、
というイメージ。
プライスレス
決して安酒ではない。
しかし、得られる知見と開かれる扉は、それ以上の価値がある。
お酒が好きなら、一度は飲むべきだ
ウィスキーが好きだ。
日本酒も好きだ。
もしそうであれば一度はこれを飲むべきだ。
ウィスキーが好きだ。
日本酒が嫌いだ。
もしそうであれば一度はこれを飲むべきだ。
日本酒が好きだ。
ウィスキーが嫌いだ。
もしそうであれば一度はこれを飲むべきだ。
細かいことは知らないが、酒は好きだ。
もしそうであれば一度はこれを飲むべきだ。
ようは下戸じゃないのなら一度は飲んでみるべきだ。
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購入金額
2,260円
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購入日
2015年02月19日
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購入場所
嶋屋本店
CONSONANCEさん
2015/02/20
yosh.さん
2015/02/20
満足感の部分を参考に、呑んでみたいですね。
バックラベルがS"U"PECIALになってますけど、誤記でしょうか。
酔いどれ感のある素晴らしいレビューですね。
来人さん
2015/02/21
そうなんですよね。
定番は定番で安定した旨さがあるんですけど、こう発見する喜びもありますよね。
来人さん
2015/02/21
私のレビューから気にして頂いてありがとうございます。
えと、残念ながら酔いの回り方は完全に日本酒です(>_<)
ゆっくり楽しんでいただければと思います。
ラベルの表記は英語ではなく、フランス語だからそうですよ。
もう酔いどれ"感"というか、完全にただの酔っ払いでした(笑。