SoundBlasterといえば現行の「Z」シリーズ、そしてPCIexpress初対応となり今でも使用者が多い「X-Fi」シリーズが目立つが、その2つの合間に「Recon3D」という世代があった。
これはその上位モデルにあたるが、基盤や性能は全く同じでカバーがつき、マイクやフロントベイアクセサリが付属する。
同じFatal1tyの名を持つX-Fi Titanium Fatal1ty Champion Series SB-XFT-FCSの後継に当たるモデルだろうが、ベイアクセサリは完全使い回しで表記が違うだけ。はっきりいってあまりやる気のなさそうな製品構成だが、実は出荷期間もやる気がなさすぎた。
実質Zの下位互換 フロントベイは流用 一応省電力性は優秀
まずはX-Fi Titanium Fatal1ty Champion Series SB-XFT-FCS(以下X-Fi)と比べながら。
カード自体はX-Fiと同じサイズ。シールドもデザインこそ違うがサイズはほぼ同じだ。
裏返すと実装部品の少なさがよくわかる。
何故かカバーの裏側が汚れていたので清掃するためにカバーをあけたがやっぱりスッキリ
X-Fiでは側面に光るロゴがあったが、こちらは大胆にシールドに窓をつくり、内蔵された赤色LEDで鮮やかに照らす。
こんなに窓でかいとシールドの意味ねえんじゃねえかって?元々デザイン上のものだからいいんだよ!たぶん!!
出力端子はX-Fiと同じかと思いきや、スピーカーとヘッドフォンが別の端子になっている。フロントオーディオ端子を繋がずとも両方裏からさしっぱなしにしておけばソフトウェア側の切替で対応できるので便利だ。
今回使用したケースはマザーを平置きするタイプで側面に窓があるのでカード自体がよくみえるので存在感は抜群で、正直デザイン自体は後継のZより好み。
この存在感を持ちながら消費電力は僅か2~3W。元々18.6Wという低アイドル値をたたきだす最低限の構成に装着して22W弱。この消費電力なら省電力方向のPCでも許せる。
電源ユニット・構成が異なるので参考だが、旧型のX-Fiはカード無しに対して+13W程度、同じチップを搭載するもののハイエンドで部品点数の多いZxRは+8W程度の消費電力だったのでこの低消費電力はSoundblasterとしては武器になる。
それくらいしか褒める点はない。結局後継であるZの下位互換。新品・中古共に弾数が多く中古なら価格も大差ないZを買えばいい話だ。
付属の指向性マイクはZにもついてくる。
一応後継製品にはないオプションとして5インチベイ内蔵フロントベイがあるが先ほど書いたとおり一部のマーキングとシールドのデザインが違うだけでX-Fi時代のものと全く同じ。
サウンドカードのオプションの癖にホワイトノイズが酷いというダメな特徴も同じ。最初ジャンクのX-Fiを買ったからノイズが酷いんだと思っていたがこいつもノイズがするしほかの人のレビューでも言及されているのでそういうモノなのだろう。
またX-Fi時代にあったモード切替(あまり意味がない気がしたが)がなくなったのでスイッチの機能はそれぞれ変わっており、エフェクトのオンオフ、そしてヘッドフォン・スピーカーの出力切替だ。
そして以前と同様ボリューム調整ができる。このボリューム調整はすごく気に入っており、今回はヘッドフォンとスピーカーの切替もできるようになったのでパソコンが手に届く位置にあるのならなかなか便利だ。出力端子は飾りとおもっておけばいい。
また外側のフレームをはずせば3.5インチベイ用になるのも同じ。
カード側の端子も同じ。一部がフロントオーディオピンヘッダを兼ねているのも同じ。
とにかくモノは同じなのでX-Fi互換サウンドカードを搭載しているメインPCの予備パーツにもなる。
実はフロントパネルの予備がほしかったからこれを選んだというのは理由の一つとして否定しない。
10か月もせずカタログ落ち 実質7ヶ月の運命
さて「出荷時期のやる気のなさ」について。
おおよそ6年ほどSoundblasterのメインチップを務めていたX-Fiに替わる「Core3D」チップを搭載した新製品として2011年11月に登場したのがRecon3D。が、ユーザーインターフェイスの改良と入力系は強化されたものの、出力系に関してはCore3Dチップ自体がX-Fiに追いつけず、S/N比のカタログスペックの時点で落ちているという状態だった(なのでX-Fiの一部モデルは平行販売された)
当初発売されたRecon3Dのベーシックモデルから少し遅れて登場したのがこのRecon3D Fatal1ty Champion SB-R3D-FCとなる。日本では2012年1月末頃発売のようだ。
既にRecon3Dベーシックモデルで中途半端な立ち位置ははっきりしていた上に価格は2万円するのだからあまり売れた様子はない。
そしてその年の7月には既定路線だったのか急いで用意したのかは判らないが出力系にDACを搭載するというメスをいれた「Z」「Zx」の発売が発表。更にオーディオ向けとしてがっつりコンデンサを搭載した上位モデルらしい上位モデルの「ZxR」も同時発表。そしてRecon3Dはベーシックモデルのみ下位として値下げの上販売され、Fatal1ty等の上位バリエーションモデルはカタログ落ち。
僅か半年ちょいで後継製品とカタログ落ちが発表され、10月には無事Zシリーズが発売。Recon3Dは1年にも満たない役目を終えてしまった。
但しRecon3Dに搭載されたCore3D自体は出力系にメスを入れてZシリーズに搭載され、現在もハイエンドとして君臨するZxRも基盤は完全に別物だがCore3Dを搭載している。
また2012年頭に発売されたASRockのGameBlasterにも搭載されており、こちらは「Z」より先にフロント専用だが出力系の強化を図った。
その後も一部のマザー(GIGABYTE Gaming G1系など)にオンボード搭載されやはりそちらでも出力系の強化は定番だがハイエンドマザーの武器として扱われているのだからチップ自体の汎用性はよかったのだろう。またZxR含めソフトウェア面のUIは共通になっているので残すものは残している。
しかし僅か7ヶ月で元々少ない存在意義を失ったこのモデルは中古でもなかなか見かけない。最早「黒歴史」に片足つっこんでいる珍しい存在だろう。 新品在庫はフツーに残っているが。
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購入金額
6,784円
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購入日
2016年01月10日
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購入場所
SELLMORE
カーリーさん
2016/01/17
下小川さん
2016/01/17