所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。バラード。ノリの良い曲はリズム感や滑舌が良ければ程度ごまかせるが、バラードの多くはバックがうるさくなく、長音も多いため、そのシンガーの実力がわかってしまいます。そんななか広い音域と長く続く声、確かな音程と表情豊かな声で「バラードの女王」ともいわれるアーティストの初バラードも言える作品をご紹介します。
MISIA。この項でも何度も取り上げている現代J-POPにあって歌のうまさと人気とが両立しているシンガー。もともとソウル/ブラック系J-POPがフィールドで、その中にはダンサブルな曲やビートの効いた曲、スクラッチやサンプリングを多用したデジタルな曲も多いのだが、なんといってもその声を堪能できるのはバラード曲。
その確かな音程と長音が持続する声量、上から下まで広い音域と表情豊かなヴォイス/ブレスコントロールですっかり「バラードの女王」という感じになってきているMISIAだが、最初っからバラード一辺倒ではなかった。デビューシングルは出だしの高音で魅了する派手目アレンジのダンスチューン「つつみ込むように…」、
つづく「陽のあたる場所」はミディアムテンポながら踊りやすいハネめのソウル、3rdシングルの「BELIEVE」はハネるゴスペル系の薫り強い楽曲、と、当初シングルではバラードは出されなかった。
まぁ、売出し中のときには派手目でビートが効いた楽曲の方が人々の印象に残るのでそうしたのだろうけれど、満を持して?「ど」バラードをいわゆるA面に持ってきたのが4枚目のシングルである本作「忘れない日々」。
まさに「バラードの女王」の称号をえる第一歩が味わえる。
その「忘れない日々」 。のちのライヴでは永く故青山純+種子田健の盤石リズム隊でドラマチックに演奏されることが多かったので、オリジナルを聴きかえして意外だったのが、打ち込みリズム。それも生っぽいサンプリング音を使ったものではなくて、シンドラ+シンベの見るからに(聴くからに?)合成音然としたもの。ただその分無機質なバックとの対比で「生」のMISIAの声が浮き立ってくるような感じ。また現在は(年齢を重ねて?)声に深みが出たせいか(上が出なくなっているのか)バラードでは超高音まで使うことはほとんどなくなっているけれど、本作品はサビがほぼ全面高周波wという感じの高音域。そしてそれがまたきれいに出ている!この高音は必聴かも。
「One!」は一転して元気系のハッピーな曲。現在でもコンサートのラスト付近に配されることが多いこの曲、♪You're my love, the only one!♪というサビに入るところのフレーズが♪You~~♪と伸ばされるのだが、1番⇒2番⇒3番と曲を追うにつれて伸ばすのが長くなり(長音の小節がはさまれる)、彼女の声の息の長さと復帰した時のリズミカルな歌唱との落差が楽しめるアレンジ。ライヴ映像ではみんな手を振って楽しそうな曲。
ラストの「愛しい人」はライヴテイク。同時発売の5枚目シングル“sweetness”のカップリング曲がオリジナルであり、クロスしている(逆に“sweetness”には「忘れない日々」のリミックス版が入る)。生ギターとパーカッションのみのシンプルなバックで始まり、一番盛り上がった部分でもエレピしか加わらないので、MISIAのライヴでもアラが出ない声が聴ける。スタジオ盤はテイクが重ねられるし、音響効果や補正も入れられるので、ソコソコの歌い手ならば結構「歌」になるが、ライヴだとばれちゃう(か、口パクにするかw)。でもMISIAに関してはそんな心配は無用。
この曲のヒット(オリコン4位)でビート効いた系のほかにバラード系も彼女の重要な一ジャンルになっていく。その後「Everything」、「果てなく続くストーリー」、「眠れぬ夜は君のせい」とバラード路線で立て続けに大ヒットを飛ばし、すっかり「バラードの女王」のような立ち位置に(それより従前路線で同時発売の“sweetness”より本作がチャート上位に行ったからこの分野に力を入れることにしたのかもしれないが)。特に最近は声に深みが出で、バラードでは一般的に低めの音で推移することが多い「Aメロでも十分聴かせる」上手さも出てきた彼女。でもそのバラード路線の第一歩は本作、“忘れない日々”。
まだ若いMISIAの突き抜ける高音が味わえる...いやその高音でハートを射抜かれるようなバラードです。
Amazonのジャケット写真が不明瞭なのではありません。元々こういうタッチの写真。
【収録曲】
1. 忘れない日々
2. One!
3. 愛しい人 (MISIA 1999 LIVE VERSION)
「忘れない日々」
バラードなのに超音波w
MISIAの初期シングルであり、最近の深い声ではなく、成層圏まで突き抜けるような高音が味わえる。バラード系で超高音を使っているのは珍しい。
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購入金額
1,260円
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購入日
1999年頃
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購入場所
れいんさん
2015/01/08
⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾
cybercatさん
2015/01/08