レビューメディア「ジグソー」

今の彼がいる、より熟した曲がある

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。「ライヴアルバム」というものは難しい作品です。MCまで含めた完全収録盤でもその場の雰囲気/場の共有は再現されませんし、曲の凝り方としてはどうしてもスタジオ盤にはかないません。しかし、ライヴで演奏を重ねることによってオリジナルから進化していく曲もあります。ライヴアルバムの形式をとりながらも、そのベストテイクをセレクトし、ベストアルバムでもある作品をご紹介します。

森広隆。以前から何度かご紹介している

J-POP界にあってかなりファンキィ、かつソウルフルな作品を創るアーティスト。タワーレコード系のインディーズで出て、その後ワーナーからシングル3枚とアルバム2枚(1枚はミニアルバム)をリリースしたあとふたたびインディーズに居を移す。

その後もう2枚アルバムを出しているが、(後期)インディーズ3枚目のアルバムはライヴアルバム。ただ、あるライヴを一発録りして出したものではない。2005年から2013年までの足かけ9年にわたるライヴの中からいいものを抜き出したベストアルバムの一面を持つ作品。

そういった造りなので、音響的には結構バラツキがあるし、構成的にも次の曲に続きそうなのにフェードアウトしてしまうものもある。そういった意味では、コンサートの写しである「ライヴ」アルバムと捉えるよりは今(=ライヴ)を表したベストアルバムとして捉える方がよいのかもしれない。事実いくつかの曲は元とかなり変わっている。

退屈病」はライヴ!ライヴのエネルギー感がよく出ている。嵐のような河内肇のオルガングリス、紺野光広の良く動くベース、そしてこれでもかとバスドラを連打する饒舌な村石雅行のドラムスにダーティな?音の森本人のギターソロ。音の分離はややよくないがエネルギーの塊を感じる、これぞまさにライヴ!

サックスの西澤寿実とヴァイオリンのKATEIが入った「悪魔の提言」は最もオリジナルと違うかもしれない。他のメンツは村石+紺野+河内の気心の知れたメンツなのだが、ギターのカッティングが目立つファンキィな元曲と趣を異にするハードジャズ風のアレンジがいい!紺野の超ハイスピードランニングベースといい、全編フィルインかというくらい叩きまくっている村石のドラムいい、指にターボが付いているかのごとく弾きまくっている河内のピアノといい、なにかにとりつかれているようなw怒濤のプレイ。ハイハットオープンとシンクロした決めフレーズがきまってる!

ゼロ地点」は(前期)インディーズ盤、メジャー盤とスタジオ録音も2度された森の代表曲ともいえるものだが、今回のがライヴながら一番音の造りはいいかもしんない。特にメジャー盤がちょっとコンプレスされたようなごちゃっとした音造りだったのだけれど、今回はスネアの音も気持ちよく抜けている。紺野と村石の短い掛け合いソロのあとは河内の潰れた音のオルガン系音ソロ、森のソロに続いて森が楽曲プロデュースを手がけたギターデュオDEPAPEPEの三浦拓也のソロ。さわやかなアコースティックギターのインストデュオの片割れも、「ストレスの解消法はエレキでハードロックをガンガン弾く」というだけあって?ここでストレス発散w

やや現在入手が難しくなっている前期インディーズ時代の作品やメジャー時代の作品から人気の高いものが集められている。そしてそれらが創られてから今まで流れた時の醸し出す熟成も感じられる作品。こうして聴くと最近のポップなのもよいけど、昔の尖ってた曲も捨てがたいなー。

実は本品、村上"PONTA"秀一のジャズバンド、PONTABOXを核とするスペシャルバンドにゲストとして森が加わったライヴで入手。(2014年11月)現在のところ本品は通販がなく、ライヴ会場でしか売られないため、twitterで確認して売ってもらうことにw

いわゆる歌詞カードには歌詞はなく手書き風のコード譜が付く
いわゆる歌詞カードには歌詞はなく手書き風のコード譜が付く
 

....そんでサインまでしてもらったりして(^^ゞ

【収録曲】“”内収録スタジオ盤・・・再録音・再収録があるものは初出を優先
1.Fuzz Master “ゼロ地点(インディーズ盤)”
2.退屈病 “並立概念”
3.エレンディラ “ただ時が経っただけで”
4.密室 “ゼロ地点(メジャー盤)”
5.黒い実 “Pebama”
6.並立概念 “並立概念”
7.雨は止まない “ゼロ地点(インディーズ盤)”
8.不思議な模様 “並立概念”
9.Pebama “Pebama”
10.悪魔の提言 “CYCLONE”
11.Trash “ゼロ地点(メジャー盤)”
12.ただ時が経っただけで “ゼロ地点(インディーズ盤)”
13.ゼロ地点 “ゼロ地点(インディーズ盤)”
14.CYCLONE “CYCLONE”
15.交差点(Studio Live)

「ただ時が経っただけで~ゼロ地点~CYCLONE (LIVE) 」(本CD収録のものではありません)

更新: 2020/01/13
必聴度

「ただ時が経っただけで」は変わらない

時の経過を曲の熟成に充てる森クンの思い入れが、曲を変える

  • 購入金額

    4,000円

  • 購入日

    2014年11月12日

  • 購入場所

    森広隆さん本人 at TOKAI SPECIAL LIVE

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