スガシカオは詞がいい。時にエロく、時に残酷に。昏く、深く、人の心をえぐる。そんな詞が多い。最近はそれをポップな曲に乗せてサラッと歌う事も多くなったが、この曲は曲の造りも凝っていた。
3rdシングル「ドキドキしちゃう」。オンナノコがつぶやくとかわいらしく聞こえるようなその字面が実は、強い(こわい)。
その「ドキドキしちゃう」。ドラムを先日惜しくも亡くなった元ORIGINAL LOVEの宮田繁男が叩く以外は、すべてスガの多重録音。オケヒットの様なオドカシの音にフルートをサンプリングしたような音がオブリガードをとる緊張感溢れるAメロと一転して明るいサビ。♪ぼくが確かに/今いい大人になったからって/全ての事を/許したとでも思っているのかい/あの時のイタミ/あの言葉の意味/今でも/ドキドキしちゃう/君のそばで/今笑顔をつくって話してるからって/全てを/水に流したとでも思っているのかい/あのころの日々/そして笑顔の意味/思い出してドキドキしちゃう♪この「ドキドキしちゃう」は楽しかった昔の恋の想い出でときめいているのではない。マゾヒスティックな自虐的な愛と、現在その時の関係を相手に想い出させることによるサディスティックな悦び。この詞が彼の構築された熱い演奏で彩られる。
「うきぶくろをもって」は一転して片チャンにドラムが押し込められた定位を持つ、ちょっと懐かし目の音作り。♪うきぶくろを持って/海にいこう♪という主題とストリングスが強い長閑な音作りにも関わらず♪水平線のかなたに一そう/船が浮かんでるのは/遠い国の密入国者の船かな♪といったところや♪海岸線の岬にじっと/誰かが立ってるのは/ぼくの街に/嫌気がさした自殺者かな/こちらをじっと見つめたまんま/いつしか消えている♪と言うアタリのブラックさがスガワールドか。
最後の「ドキドキしちゃう(Backing track)」は単なるカラオケなんだけれど、右chから聴こえるスガのアコギの力強いカッティングが良く聞こえてイイ。マイナー7th(m7)の連続という抑揚のないAメロが良くドライブしてる。
3枚目のシングルとしてサビはポップにしたけれど、あとはやりたいようにやった..という感じの突き抜け方。ジャケットのちょっとパラノイアっぽい感じの撮り方とポーズも含めて「濃い」作品。最近のスガはポップすぎて...そういう旧来のファンの心情が判るような、詞とプレイです。心から血が流れて止まらないときに・・・・
【収録曲】
1. ドキドキしちゃう
2. うきぶくろをもって
3. ドキドキしちゃう(Backing track)
「ドキドキしちゃう」
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購入金額
290円
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購入日
2012年09月30日
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購入場所
Yahoo!オークション
れいんさん
2014/10/25
ぐっへっへ
cybercatさん
2014/10/25