スガシカオ。何度もご紹介しているアーティストだが、日本人としてアコースティック系ファンクができる希有な人物で、ギターも結構上手いのでギターフィーチャリングのファンクが美味しい。また、とびきりポップな一面もあり、親しみやすいJ-POPも書く。SMAP(「ココニイルコト」や「リンゴジュース」)嵐(「アオゾラペダル」)、森高千里(「まひるの星」)らにも曲を提供している(スガの作品として有名な「夜空ノムコウ」は詞のみ)。一方で、かなり内向的な、もしくは叙情的な歌詞にアコースティックなバックをつけた曲も最初期から続く彼の重要なカラー。
そんな彼の3面がちりばめられているのが、本作“NOBODY KNOWS”。
トップの「NOBODY KNOWS」はファンキィでエレクトリック(といっても生ギターが結構大きく聞こえるが)。ベースを含むギター類がスガ、キーボードとプログラミングが森俊之で、ドラムが元くるりの森信行。時計のねじを巻くような?不思議な音で始まって、躍動的な生ギターがかき鳴らされる中で、パーカッシヴなオルガンとワウギターが合いの手を入れる。彼にはこのアタリの古新しいアレンジが合う感じ。符割りが面白く、日本語を記号的に使ってるね。♪さらば/昨日までの口づけよ/さらば/いとおしき胸の痛みよ/まぁ/それはそれとしてだ/何とか今日も生きています♪ を♪さらば昨日|までの口づけよ|さらばいと|おしき胸の痛みよ|まぁそれはそれとしてだ|何とか今日も生きています♪と曲の波に乗せて歌う。
「1/3000ピース」はポップなJ-POP。「アオゾラペダル」系の爽やかな曲。この曲、サラっと聴くと流れてしまうほどポップなのだが、リズム隊がすごくて、ちょっと本腰入れて聴くとグイグイ引っぱられる。ベースは亀田誠治にドラムが河村“カースケ”智康というノリノリコンビ。スガもイイ感じにノセてる。
最後の「コンビニ」は詞を聴かせる曲。アコースティックギター+ベースとドラム、パーカッションのシンプルなセット。♪おととい気付いたんだ/なんか違和感がして/灯りがついていない/閉じてるパーキング/夜の中で/気まずい顔で/ねむっている看板~街のはずれ/灯りがひとつ消えました/店のおじさんは/夜逃げしたりしたのかな…/バス停の名前はどうするんだろう?/街がひとつ年老いた気がした♪淡々と歌うスガの声が沁みる。
DVDは相変わらずの
ゴージャス版。本作リリース前年のツアー「FUNK FIRE TOUR '07」最終日が1時間4分にもわたって収められている。ちょうどバンドがThe Family SugarからFUNK FIREに変わったアタリで、特に「奇跡」のアレンジがイイ!“天才”ギタリスト田中義人の上手くディレイを使ってループするキラキラしたフレーズは初出時のソリッドな音とまた違って独特の世界。一枚で3度オイシイ作品。しかし下手にやると統一性がなく、とっちらかった感じになってしまうと思うが、きちんとスガカラーになっているのはさすが。
ノリの良いライヴ映像と合わせて、スガワールドに浸りたいなら最適の作品です。【収録曲】
<CD>
1. NOBODY KNOWS
2. 1/3000ピース
3. コンビニ
<DVD>
1. バクダン・ジュース
2. 性的敗北
3. フォノスコープ
4. リンゴ・ジュース
5. いいなり
6. 奇跡
7. ひとりぼっち
8. あだゆめ
9. 19才
10. 午後のパレード
11. 春夏秋冬
「NOBODY KNOWS」
...しかし映像がすべてアテ、というのはどーなんだろ。楽曲では重要なポジションを占めるアコースティックギターは画面にないし、CDは森信行のドラム以外は前バックバンドThe Family Sugarのバンマス、森俊之とスガの多重録音だけど、PVは現在のバックバンドFUNK FIREのメンバー(坂本竜太、田中義人、岸田容男、林田 “pochi” 裕一)だね。
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購入金額
500円
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購入日
2013年頃
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購入場所
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