以前プレミアムレビューさせていただいたあとは、業務用として活用していたMicrosoft Surface Pro 3がありました。
私の他のモバイルPCと比べても基本性能の高さや携帯性など、非常に満足度は高い製品ではあったのですが、先日タッチパネルの動作不良を起こしてしまい、修理に出しました。
それまでは出荷状態のWindows 8.1 Proに最新の更新を当て続けた状態で使っていたのですが、修理から戻ってきたものはWindows 10化されてしまっていました。
個人的にWindows 10を常用するにはもう少し検証が必要だと思い、検証専用のPC1台だけで使っていたのですが、図らずも常用PCであったSurface Pro 3がWindows 10化してしまいましたので、その使用感をまとめてみたいと思います。
なお、Surface Pro 3に導入されているのはWindows 10 Pro 64bitです。
中途半端な先祖返り
Surface Pro 3のアプリケーション環境は、修理前の環境に極力合わせていて、主な導入アプリは次のものとなります。
・Microsoft Office 2013 Professional Plus
・Justsystems ATOK 2015
・Adobe Photoshop CC 2015
・Cyberlink PowerDVD 12 Standard
・Google Chrome
・Mozilla Firefox
・Kaspersky Internet Security 2015
その他細々としたツール類少々というところです。
Windows 10が発表されたときにもっとも話題を呼んだのは、皮肉な話ですがスタートメニューが復活したことではなかったかと思います。
ですが、Windows 7までに慣れ親しんだそれとはやはり別物というべきでしょう。善し悪しは好みや慣れの問題で一概に言えないのですが、個人的にどうもしっくりこないのは「すべてのアプリ」の表示順がアルファベット順であるという点です。
一見この方が便利なように考えがちなのですが、例えばAdobe Photoshopを探すときに、アプリケーションの登録名が「Adobe Photoshop CC 2015」なのか「Photoshop CC 2105」なのかで探す位置は大きく変わってしまいますし、それはインストールしたアプリケーション全てについて簡単に把握できるものではないでしょう。かといって、全て「検索」で探すというのも何か大げさな気がしてしまいます。むしろ昔のWindowsのように、新規インストールしたものが後ろに並んでいく方が合理的だったのではないでしょうか。
一方で今後の発展に期待を抱かせるのは、WebブラウザーのMicrosoft Edgeです。現状ではまだポテンシャルを十分に発揮できているとは思えませんし、表示互換性などにも大きな課題は抱えていると思うのですが、例えばノート機能などはタブレットデバイスとの親和性も高く、使い方や機能の進歩によって化けるかも知れないと思わせてくれます。もっとも、当面は互換性の方が大事でInternet Explorer 11の方の使用頻度が高くなりそうだと思いますが。
▲Microsoft Edgeのノート機能。ペンは使わず指で書いた例
Windows Updateはあまりにひどい
使い始めてもっとも気になったのは、Windows Updateの使い勝手があまりに悪いことでした。
まずそもそもの問題は、P2Pによる端末間でのファイルのやりとりがデフォルトで有効になっているということです。Microsoftの説明では「ネットワークが従量課金の場合には機能させない」となっているのですが、ネットワークが従量課金であるか否かはそもそもユーザー側が手動で設定してやる必要があります。
実は最初の外出時にはそのことに気付かず、ごく普通にモバイルルーターでSurface Pro 3を使っていたのですが、積算データ量がいつもよりも随分かさんでいることが気になりました。それで情報を調べて上記内容に気付いたというわけです。
慌ててP2Pの無効化と従量課金接続への設定を行いましたが、これに気付かずにパケット消費を増大させてしまうユーザーも少なからず存在するのではないでしょうか。せめて無線接続時にOFFであればまだ許せますが、デフォルトで全て有効はさすがにどうかと思います。
そしてWindows Update自体の使い勝手も大幅に悪化しました。Windows UpdateのポリシーそのものがWindows 10から変わってしまったことによる影響もあるのですが、最も困るのは更新ファイルのファイルサイズ表示がなくなってしまったことです。
今までは内容だけでなくファイルサイズも示されていましたので、例えば外出までの時間を見てアップデートを先に適用するか帰宅後にするか等の判断が出来ていました。
しかしWindows 10では明示的に適用を遅らせていない限りは、原則としてアップデートは勝手に適用を始めてしまいます。これだと適用終了までの時間が予想できず、適用開始前にシャットダウンしてしまうか、或いは適用完了を待つかという判断が出来ないのです。進捗状況らしきものは表示されますが、このパーセンテージでは全く予想が立ちませんので。
今後の修正は原則として累積パッチの形式になるということですので、詳細情報が記載されないことについてはまだ理解できるのですが、ファイルサイズを敢えて伏せた意味がわかりません。
さらにデフォルトでInsider Previewを受け取る(slow)という設定になっていたのもいかがかと思うのです。あくまでもプレビューに過ぎない更新を、デフォルトで個人ユーザーのPCに更新として入れてしまうのは発想としては危険ではないでしょうか。
実は私のSurface Pro 3では上記のスクリーンショットにも含まれている通り、Build 10565がInsider Preview扱いでインストールされたのですが、その後から正規の製品版であるはずのWindows 10 Proが評価コピーに変わってしまいました。さすがに不気味なので、すぐにBuild 10565は削除してしまいましたが。この更新を削除すると、元通り製品版となります。
この他にも細かい不満は多くありますが、特記するべき事項が発生しましたら本レビューに追記していきます。
可能性は感じるが完成度に難がある
現状のWindows 10を使っていて感じるのは、Windows 8/8.1の不評を反省するあまり、どの方向に進化させるかが定まらないまま出来上がってしまったのではないかということです。
例えばWindows 8/8.1ユーザーへの配慮なのか、タブレットモードを有効にすることで旧ModernUIに近い操作性が提供される一方、Windows 7以前のユーザー向けにスタートメニューは復活させてみた。しかし、どちらのユーザーも、旧OSへの回帰度が中途半端であるため、今までのOSの方が使い勝手が良かったと感じてしまう部分があるのではないでしょうか。
また、「コントロールパネル」を廃して新たに「設定」を設けたわけですが、これも敢えてコントロールパネルを廃したことによって、自分が設定したい項目への直感的な移動を難しくしてしまっているように感じます。かつてのコントロールパネルもカテゴリー別表示は決して便利ではありませんでしたが、アイコン表示にしておけば一覧からストレートにたどり着くことが出来る分直感的といえました。
とはいえ、UIの問題は人間側が慣れることである程度は解決します。現状は確かに褒められたものではありませんが、明確なバージョンアップがない分Buildの更新で改善される可能性も充分にありますし、フィードバックが多ければ何らかの改善はあるでしょう。
新機能については最新のBuildでMicrosoft Edgeが大幅に強化されるなど、時間の経過と共に魅力を増していくのは間違いありません。つまり現状に不満が多くあっても、時間が解決してくれる可能性は高いといえます。その辺りは次期バージョンに期待するしかなかった今までのWindowsよりも期待を持ちつつ待てます。
ただ、現時点で他のPCをWindows 10化すぐにするかといえば、恐らくしないでしょう。今後の進化や改善をSurface Pro 3やテスト機で見つつ、どのタイミングで切り替えていくかを検討したいと思っています。
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購入金額
0円
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購入日
2015年10月15日
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購入場所
CLWさん
2015/11/06
私もメインPCをWindows 10pro 64bitにしましたが、実際は何も変わらずに使えています。
ただ、標準のブラウザは日本語入力がNGだったのでIEに変更しました。(笑)
個人的な感想としては慣れだけの気がします。
jive9821さん
2015/11/06
個人向けとしては慣れと改善で何とかなりそうという気もするのですが、仕事でやっている企業向けの管理に関しては、Windows 10の仕様には本当に困らされます。実際に顧客の企業で、現状ではWindows 10をテスト以外で導入する計画は全く出ていませんからね。
とにかくWindows Update周りの仕様はもう少し何とかして欲しいです。Microsoftの言い分では企業向けのVL版では組織でコントロールできるから問題ないということなのでしょうが、企業ユーザーがVL版だけを使っているわけではありませんからね。