スガシカオ。何度かご紹介しているが、かなり特異な位置にいるアーティスト。曲調としてはファンキィでちょっと古めの音造りで懐かしい感じのものから、彼独特の「フォークファンク」というようなアコースティックなものまで。しかし詞は一貫して、人の欲望や昏いところ心の闇というところをさらけ出させるような曲が多い。ただ、その曲調と詩の解決の方向がポジティヴなものが多く、聴いたあとどんよりしてしまうようなことはない。
そんな彼もメジャーデビュー後約15年で一度インディーズに潜る。最近またメジャーに復帰したが、インディーズ時代は手弁当でアコースティックライヴなどを各地で行い、自分の音楽性を見つめ直したようだ。そんな彼の第二期インディーズ時代にでた唯一の物理CD(配信リリースは何曲かある)。
これはメジャーでは出せないかもしれない....
3曲入りだがどの曲も詞が、濃い。
ひとの心の奥にある昏い闇の深淵をのぞき込み、何かが周りと違う自分を鼓舞し、エロい衝動を激しく肯定する..
スガの3つの全く違う世界が詰め込まれている。
「アイタイ」。こ・れ・は...!狂おしい情念。強い(こわい)情が唄われる。♪アイタイ/あなた以外/誰一人/心に直接/キスできた人なんていない/アイタイ/あなたがもし/去っていく日は/心ごと全部/冷たく凍結してほしいの♪「心に直接キス」というスガ独特の表現。そして、♪キスキライ/体触れる瞬間キライ/自分の性器/すごくキライ/あなたに血が付きそうで/自分みたい/じっとしてる蜘蛛/大キライ/五月蠅い虫も/好きじゃない/ねぇ/世界って/どうしてこう残酷なの?♪怖くなるほどの愛を歌う。スガの初期を支えたバンマス、森俊之の構築された音世界で、狂気に堕ちていくような詩が詠われる。このシングルにはDVDが付くが(初回盤のみ:通常盤はCD-Extra仕様でPVのみ収録)その画像も良い。2人の女性とスガが相対しながら進む劇調のもの。薄暗い洋館のような場所でソファに座ったスガの前で2人が身悶える。白いシンプルな衣装の田中瑠愛と妖艶なボンデージチックな衣装の安達祐実。似ていない2人だが少女時代と成長後、という設定なのか?ただ瑠愛がいつになく「濃いメイク」で祐実は元々童顔なので歳があまり離れているような印象を受けず(実際には20歳も!違うのだが)、思春期からオトナにかけての暗闇に堕ちいてくオンナのイメージで曲に良くマッチングしている。このPVは見るべきだな。2曲目の「ぼくは 浮かない」は近年のスガ王道のポップファンク。メンツは近年のツアーバンド、FUNK FIREのメンメンで気心知れた仲。ミュート気味のギターの刻み中心でシンプルなAメロのワンコード風の進行から、サビの明るい展開の落差、ベースの刻みとシンセの装飾音が盛り上げる。ライヴではもっといいンだろうな。歌詞はちょっと不条理?♪ぼくは/浮かない/泳げないんじゃない/体が浮かないだけ~現実は猛スピードで/ぼくを飲み込んで/毒薬のプール/今日も/また/溺れてしまう/時のウォータースライダーで/明日へ飛び込むしか/もうない・・・・♪
ラストの「したくてたまらない」は、古のファンク!歌詞としてはほとんど繰り返しなのだが、セリフが面白いwギターソロも切れてるし、カッティングもイイ。オルガンの音色も「らしい」なー。♪ヘイ!ヘイ!したくて、したくて/ヘイ!ヘイ!たまらない/ヘイ!ヘイ!今すぐしたくて/ヘイ!ヘイ!たまらない/「したいやつはお前か?お前か?もっと声に出してみろ!もっと!」♪と意味深だがw後半は♪ヘイ!ヘイ!くさくて、くさくて/ヘイ!ヘイ!たまらない/ヘイ!ヘイ!とにかくくさくて/ヘイ!ヘイ!たまらない/「ファンクのニオイがプンプンするぞ!おまえのアソコからファンクのニオイが!」♪という言葉遊び歌だけどファンキィ!!(歌詞は書かれていないので、cybercatによる書き起こし)ウキウキ(←死語)という感じ。確かプログで読んだんだけど10秒ほどで作ったらしいwww
スガはインディーズに行ったときに聴覚障害になるほどストレスを受けたらしい。それでも自由を選んだ、というのがまた彼らしい。そんな時期の彼の心の叫びが、そして心の余裕が歌われた曲達です。
【収録曲】
<CD>
1. アイタイ
2. ぼくは 浮かない
3. したくてたまらない
<DVD>
1. アイタイ (PV)
2. Re:you (Live at Zepp DiverCity (TOKYO) 2012.11.6)
3. FESTIVAL (Live at Zepp DiverCity (TOKYO) 2012.11.6)
「アイタイ(PV / Short ver.)」
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購入金額
1,890円
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購入日
2013年頃
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購入場所
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