レビューメディア「ジグソー」

この”じゃじゃ馬”を扱いこなせるか!?

 

コンシューマ向けハイエンドCPUの最高峰である「i7-5960X」に手を出してしまった。

 

通販ショップ「OVERCLOCK WORKS」で、CPU・M/B・メモリの出荷前動作確認テストを

受けて、「Rampage V Extreme」という高級なM/Bに乗って、うちにやってきた。

一見すると良家で育った、品の良い箱入り娘さんのようだが・・・。

 

他の所有者のレビューなどを見てもわかるが、とにかく安定して動かすのに一苦労も

二苦労も掛かる。挙句の果てにはM/Bやメモリなどの相性や、CPU自体の個体差によって

思い通りの結果にならない、という事例もあるようで。実はとんだ”じゃじゃ馬”なのだ。

 

正直、一から組む楽しさを捨ててでも、事前の相性チェックはしておきたかったので、

「OVERCLOCK WORKS」でのサービスは、今が繁忙期の私にはとてもありがたかった。

おかげで、一番怖いと思っていた組むことにはなんら問題なく、無事にOSも起動できた。

 

さて、メインストリームで最強の「i7-4790k」とはどの程度違うのだろうか。

カタログスペックをざっくり比較してみると・・・

  • コア数が2倍(4C8T ⇒ 8C16T)
  • 定格クロック周波数は低下(4GHz ⇒ 3GHz)
  • GPUレーンが大幅に増加(16レーン ⇒ 40レーン)
  • 内蔵グラフィックは非搭載(GPU必須)
  • TDPが大幅に増加(88W ⇒ 140W)

メリットもデメリットも、それなりにあるという感じだろうか。

 

■i7-5960X定格(TB:3.5GHz)

 

■i7-5960XOC(TB:無し)

どうやら、DDR4-2666のメモリだとBus Speedが125MHz動作になるようだ。

サクッとUEFIで倍率変更をして、とりあえず33倍でのOCも達成した。

 

前回までの、マシン構成は下のレビューで記載している。

 

 

そして、今回はこちら。

 

■マシン構成

ケース:クーラーマスター CM690 III

M/B:エイスース Rampage V Extreme ※今回交換

CPU:インテル i7-5960X@3.0GHz(定格) ※今回交換

CPUファン:コルセア H100i ※今回交換

メモリ:32GB(DDR4-2666, 8GB*4枚) ※今回交換

GPU1:エイスース STRIX-GTX980-DC2OC-4GD5

GPU2:エイスース STRIX-GTX980-DC2OC-4GD5

電源:コルセア RM850

SSD:システム用1台(Intel SSD 730 240GB)

HDD:データ用1台(2TB)

光学ドライブ:外付けUSB DVDマルチ

OS:Windows8.1 Pro 64bit

 

メインのパーツが一新され、もはや別物のパソコンになってしまった。

 

というのも、Z97からX99に乗り換えるには、M/B・CPU・メモリの交換が必須。

しかもこの3つが揃いに揃って高額ときている。(円安の影響もあって更に高くついた)

今回は、それにあわせてCPUファンもスペースの問題が出てきたので、

空冷の虎徹から、簡易水冷のH100iに変更した。結構な出費となってしまった。

 

価格差からすると2~3倍はするこのパソコンで、いったい何をしたいのか。

私は普段からメインマシンはゲーミング用と言い切っているのだが、

 

  • PCゲーム(主にFPS)
  • 動画エンコード(プレイ動画)
  • RAW現像(5DMK3用)
  • 常用でのOCに挑戦、時には限界も目指す

さすがに、これくらいは手を広げても良いのかなと思っている。

 

あとは、それ以外をサクサクこなすサブマシンを導入してもいいのかもしれない。

現在、アイドル時の消費電力が100Wを越えてしまっていて、さすがに

動画をタラタラ観たりするのにはあまり適さないと感じてきている。

 

さて、お次はパフォーマンス測定のお時間だ。

ゲーミングにおけるこのCPUの威力を確認する。

  • i7-5960X@3GHz定格(TB:3.5GHz)
  • i7-5960X@4.1GHzOC(TB無し)
  • i7-4790k@4GHz定格(TB:4.4GHz)

この3種類でのベンチマークを取ってみた。

 

・ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編

■i7-5960X@4.1GHzOC(TB無し) 消費電力は400~537W(平均は約500W)

■i7-5960X@3GHz定格(TB:3.5GHz) 消費電力は370~537W(平均は約480W)

■i7-4790k@4GHz定格(TB:4.4GHz) 消費電力は350~500W(平均は約450W)

Copyright (C) 2010 - 2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 

GPU依存が高いためなのか定格同士での戦いは五分五分といったところ。

ワットパフォーマンスで見れば「i7-4790k」に分があるが、OCさせた「i7-5960X」では

10000の大台をこえる、見どころのある結果となった。

 

※2015/4/28 ベンチマーク追加

・ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク編

■i7-5960X@4.1GHzOC(TB無し) 消費電力測定せず

■i7-5960X@3GHz定格(TB:3.5GHz) 消費電力は測定せず

Copyright (C) 2010 - 2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 

OCした時の差が、旧ベンチ(DX9)とあまり変わらない比率であることから、

CPUをOCする事での効果はあるものの、劇的に変わるものではない事がわかる。

 

 

・3DMark FireStrike Extreme

■i7-5960X@4.1GHz(TB:無し) 消費電力は503W~578W

■i7-5960X@3GHz定格(TB:3.5GHz) 消費電力は474W~569W

■i7-4790k@4GHz定格(TB:4.4GHz) 消費電力は480W~537W

 

こちらでは、CPU性能による明確な差が出た。

 

Physics scoreが「i7-5960X定格」では「16648」と、「12649」であった「i7-4790k」の

約1.3倍もスコアが伸び「i7-5960XOC」に至っては「19499」と1.5倍以上の大差を付けた。

CPUの性能の違いが、能力の決定的差であることを教えてくれている。

 

そして、SLI環境におけるGPUレーン使用数、”x16,x16”と”x8,x8”での性能の違いは、

FF14も含め、ベンチマークに影響を及ぼさない事実をも示す結果となった。

 

ただ、この2つだけでゲーミングのすべてを決定づけるわけにもいかないが、

 

「ゲームだけやる分には ”i7-4790k” で大丈夫」

 

と、ぶっちゃけゲーミングの点では言い切ってしまって、いいのではないだろうか。

実際、いくつかのゲームをやってみたが以前と変わらない感じであった。

 

では、このCPUの醍醐味は何であるのか?

 

そう、あとは「OC」と「エンコード(CPU処理)」にかかっていると思われる。

OCに関しては、既に沢山の強者たちが挑んでいるため、データとしては

私の腕でも4GHzは楽勝、4.4GHzくらいはなんとかいけそうな気配ではある。

 

これは、以前レビューして、少々頓挫気味で停滞中の下記レビューにあるような、

 

こちらのOCでの結果とは違い、やりがいのある内容になりそうだからだ。

 

「i7-4790k」では、定格4GHz → 常用4.4GHz、限界4.6GHz(空冷)という結果で、

OCが出来るといっても伸びしろが1割程度という微々たる結果だったのに対し、

「i7-5960X」はUEFIの設定であっさりと定格3GHz → 常用4.1GHzが出来る時点で、

既に3割強という恐ろしい伸びしろを持っている。

 

4.1GHzのOCによる、エンコード性能については、下記の動画をエンコードした結果、

43.78fpsでのエンコードを行っていた。

 

ちなみに、あやふやで申し訳ないが、i7-4790k@定格で32fps程度、

i7-5960X@定格で39fps程度だったので、明らかに処理速度はコア数や

クロック周波数で大きく変わるため、このCPUでやる意義はあるだろう。

 

 

OCについては更に設定を細かく煮詰める事で、もっと頂点を目指せる楽しみも残されている。

パソコンというものを骨の髄までしゃぶりたい、そんなフリークには美味しいCPUである。

 

CPUの限界を引き上げる為には、M/Bの機能でじっくりやっていくしかない。

「Rampage V Extreme」のレビューも引き続き書いていくつもりなので、

細かなOCの挑戦については、そちらで行っていきたいと思う。

 

まずは、このCPUの実力をとくと見させてもらった。今後の挑戦が楽しみである。

更新: 2015/03/12
使用感

未知の領域に踏み込む感じがたまらない

「最近の自作パソコンは、プラモを組むように簡単だ」

 

なんて勝手なイメージが、ここ数年の自分にはあった。

実際、買ってきたパーツはあっけなく取り付けられ、期待通りの働きをしてくれる。

昔みたいなパーツ間の相性問題もさほど見受けられない。

取り付けるたびに、うまくいくだろうか、問題は出ないだろうか。

ドキドキしながら組むことがなくなりつつあった。

 

しかしLGA2011-v3は、良く言えばこのドキドキ感が残っているプラットフォームであるし、

悪く言えば、まだ完全には成熟しきれてないため、個体差も激しく定番の設定というのがない。

まるでクルマのメカニックのように、電圧を0.01V単位で調整、ベストな設定を探っていく。

UEFIの設定も細かくチェックし一つ一つ検証していくのは、とても地道な作業だ。

 

こんな手間の掛かる作業を日ごろやるだなんて、パソコン所有者でも滅多に居ないだろう。

私もそんな「物好き」の一人なのかもしれない。

更新: 2015/03/14
満足度

手を掛ければ掛けただけ、とことん尽くしてくれる

パソコンとは道具である。

そう、道具として使っているだけであれば、ここまでのCPUは全く必要がない。

 

ただ、普段からパソコンを趣味として、パソコンの事をとことん時間とお金を掛けて

楽しんでいる人には、このCPUは充分に応えてくれるであろう。

なにしろ、ゲーム・エンコード・OCと何をしてもやりがいのある結果を出してくれるのだから。

 

恥ずかしながら、このCPUにしてからというもの、仕事が終わって家に帰ると

パソコンを触りたくて仕方なくなる。まるで、ペットを飼い始めたかのように、

このパソコン(CPU)に夢中になっている自分に気づく。

 

久々にこんなことを考えてしまうほど、使っているだけで楽しいパソコンに

仕上がった事を嬉しく思っている。

 

様奥に怒られない程度にしておかないといけないな。

  • 購入金額

    128,000円

  • 購入日

    2015年03月05日

  • 購入場所

    Overclock Works

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