家入レオ。高校在学中にデビューし、その確かな歌唱力と声音の表現力でレコード大賞の最優秀新人賞を獲る。ここのところ数々の女性シンガー(YUI、絢香、玉城千春(Kiroro)ら)を輩出している、音楽プロデューサー西尾芳彦の主宰するヴォーカルトレーニングスクール“音楽塾ヴォイス”出身だが、他のシンガーと異なるのは、強い芯を感じるところ。その伝え聞く育ちや、歌手になるために勘当同然で上京したというひたむきさ、そしてときどき歌詞に現れる心の昏い部分..もちろん年齢なりの明るさやパワーなどもあるので、全体としてダークなイメージでは全然ないのだが、デビュー時点から幅が広い歌を歌ってきた。
「真剣に生きている」というのが彼女のブログでも伝わってくるが、どちらかというと自分の心情を叩きつけた、という感じの1stアルバム
に対して、先日バレンタインデー前に出されたシングルは
オンナノコらしい心情が歌われていて、さらに幅が広がったな、と感じた。
そのシングルを含む彼女の約1年半ぶりの2ndアルバム。
高校を卒業して、歌に本腰を入れた彼女の成長が見える作品。特にもともと彼女の特徴である、曲の内容によって歌い方や声音に表情が入るのがさらに磨きがかかっている。
「Too many」。マイナーなAメロのポツポツとした歌い方、少し希望が見える様なBメロのやさしい歌声、そして♪Too many, uneasy/失くした物は/Too many, uneasy/大切なもの♪と声を張り上げるサビの振幅の大きさが魅力の曲。編曲を手がける佐藤希久生のアコギがレオの声に寄り添う。
三輪コウダイのファンキィなギターのカッティングとドスの効いたレオの声がハードな「Papa & Mama」。2/4が部分的に入れられ、緊張感があるワルっぽい?曲。この作品は3人の編曲者がそれぞれ自分の編曲した曲に対して「Guitars, Bass & Other Instruments」と一人でバックを担当していることになっているが、この曲に関してはドラムはかなり生っぽくハードなフレーズ。打ち込みだとしたらかなり上手いな。レオの歌い方もハードで、1stアルバムの「Fake Love」の様な雰囲気もある。
ラストの「君に届け」は歌詞がイイ。リアルではなくヴァーチャル空間とのつながりを支えに生きる現代のヒトたちを歌う。♪ログアウトした世界は/上手く呼吸も出来なくて/明日が見えない/増え続けるフォロワー/心救われた夜に/1人/泣いた♪と震える声で歌う。ネットの世界が現実の世界同様大事なつながりとなっている現在、リアルとの折り合いをつけていこうとするテーマがタイムリー。ところどころモジュレーションがかかったような電話口の声のようなエフェクトがヴォーカルに乗るところがあるが、詞の内容にあっていて浮遊感がある。
付属のDVDはPV2曲(1曲はマルチアングルの特典映像つき)と、映像ソフト化されなかった2ndワンマンライヴのセレクションが入るが(1stと3rdは独立した映像ソフト化がされている)、出色は手塚プロダクション描き下ろしアニメーションと家入レオ実写の合成で「ジャングル大帝」のような世界が描き出される「a boy」のPV。この劇仕立てのPVに合うよう声の表現をフレーズフレーズで変えているレオのヴォーカルに成長が見える。レコ大新人賞受賞の余勢をかって高校卒業後に一気に来るか?と思ったが意外に1年間散発的なシングル発売のみだった。ただそれが本作への「タメ」であったなら、それは成功している。
より歌に気持ちが入るようになり、リスナーが入り込める世界を紡ぎだせるようになった彼女の成長が見える作品です。
【収録曲】
<CD>
1. Lay it down
2. 太陽の女神
3. a boy
4. Too many
5. Message
6. Time after Time
7. チョコレート (Album ver.)
8. Free
9. イジワルな神様
10. Kiss Me
11. カーニバル
12. 希望の地球
13. Papa & Mama
14. 君に届け
<DVD>
1. 君に届け (Music Video)
2. a boy (Music Video)
3. Selections from 2nd ワンマン Tour ~Kimi ni Todoke~
映像特典:君に届け (Music Video) ≪マルチアングル≫
「君に届け」
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購入金額
3,570円
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購入日
2014年03月31日
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購入場所
フタバ図書
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