レビューメディア「ジグソー」

オリジナルを超え始めた曲も...

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメントです。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な想いです。○○すぎる××というのはある意味人を小馬鹿にしたような言い方であまり好きにはなれないのですが、歌手で歌が「上手すぎる」ということは果たしてメリットなのか、そんなことを感じた作品をご紹介します。

女性ヴォーカリスト、May J.。「関ジャニの仕分け∞」の超絶カラオケ女王として有名となったが、完璧なヴォイスコントロールと音程、声量も豊かで確かに文句のつけようがない。もともとオリジナルソングのシンガーであり、TVでのカラオケはプロモーションに過ぎなかったらしいのだが、そのテクニックで数々の高得点記録を叩き出し、すっかり「カラオケの女王」の様な立ち位置に。

その彼女が手がけたカバーアルバムが、“Summer Ballad Covers ”。

スピッツや宇多田ヒカル、JITTERIN'JINNに井上陽水...とチョイ懐メロをちりばめて、でも単なるカラオケで終わらないようにアレンジに工夫を凝らした名曲達。耳になじんだ曲が、オリジナルシンガーよりもあるいは上手いと思わせる美声で聞かされるため、ヒットした作品。ただシロウトが言うべき台詞かどうかはアレだが、どこかのBGMとして聴くには完璧な出来も、ガッツリ向き合って「入る」には彼女の完璧さがジャマをしている、と感じた作品。

次に聴いたオリジナル

はcybercat的には遙かに良くて、「やっぱり借り物とは違うのかな」と感じた次第。でも懲りずにカバー2作目も買ってみた。何曲か試聴して、とくに後半の流れが良かったので...前回は“Summer Ballad Covers”と夏向けの「バラード」にフォーカスした内容だったが、今回は“Heartful Song Covers”と心沁みる曲達であって、必ずしも「バラード」ではない。

前回に比べるとやや新しめの曲、話題曲も含まれたこの作品、彼女はどう料理したのだろうか?

小粋に山本拓夫のフルートと西村浩二のフリューゲルホルンの音色で軽やかに始まるのは映画“魔女の宅急便”のエンディングにも流れた荒井由実の「やさしさに包まれたなら」。ハネる種子田健のベースと合わせるのは意外にも?ヘヴィ系の山木秀夫、というのが面白い。吹き抜ける風のようにさわやかに歌うMay J.はイイナ。あんまり「上手さ」を前に出すよりも力を抜いた感じのアプローチの方が良いのかもしれない。それにしても種子田、間奏の最後の方の複数弦弾きなど小技が多いなw

「Let It Go ~ありのままで~ [Heartful ver.]」はこの春世間を席巻した曲。すこしテンポを上げてJay Stixxのドラマチックなドラミングに合わせて歌うMay J.は軽やかだが、これは松たか子の「勝ち」か?♪少しも寒くないわ♪(特に1番のラスト)の色っぽさが違う?

ゴスペラーズの「永遠に」はオリジナル

のアレンジより好きかもしれないな。カタイ感じのオリジナルの打ち込みに対して、ゲントウキの田中潤によるエレピとMay J.の多重録音によるコーラス中心に形成されるこの曲の方が沁みる。

DVDはPV(前カバーアルバムの「LIFE」含む)とライヴ、インタビュー。ライヴではJITTERIN'JINN

の「夏祭り」を生ギターとドラムのスリーピースで歌う場面があるが、上手いね!
アンプラグドな構成だと上手い/下手が明確
アンプラグドな構成だと上手い/下手が明確
前のアルバムと比べると「超えはじめたかな」と感じる曲もあり、だいぶ「入ってくる」。単なる「歌の上手い美人お姉さん」を超えるには、あとほんのちょっとのスパイス。
インタビューを聞くといろんなコトを考えながら歌っている。そこを抜けて感性だけで歌えるようになれば、クルか?
インタビューを聞くといろんなコトを考えながら歌っている。そこを抜けて感性だけで歌えるようになれば、クルか?
それは人生経験、というドロクサいモノなのかも、しれません。

【収録曲】
<CD> ( )内オリジナル・アーティスト
1. 手紙~拝啓 十五の君へ~(アンジェラ・アキ)
2. BELIEVE (合唱曲)
3. キラキラ(小田和正)
4. 元気を出して(竹内まりや)
5. Story(AI)
6. 花 ~すべての人の心に花を~(喜納昌吉 & チャンプルーズ)
7. 生きてこそ(Kiroro)
8. やさしさに包まれたなら(荒井由実)
9. Let It Go ~ありのままで~ [Heartful ver.](「アナと雪の女王」主題歌)
10. 永遠に (ゴスペラーズ)
11. I Believe [Japanese Version] feat. V.I (from BIGBANG)(「猟奇的な彼女」主題歌)
12. 遠く遠く(槇原敬之)
13. Amazing Grace(讃美歌)

<DVD> Live=May J. Autumn Tour 2013 ~Best & Covers~ 2013.11.8 Zepp Tokyo
1. BELIEVE (PV)
2. 元気を出して (PV)
3. 生きてこそ (PV)
4. I Believe [Japanese Version] feat. V.I (from BIGBANG) (PV)
5. LIFE (PV)
6. 渚 (Live)
7. 夏祭り (Live)
8. secret base ~君がくれたもの~ (Live)
9. I DREAMED A DREAM (Live)
10. 1st Cover Album『Summer Ballad Covers』発売記念インタビュー (特典映像)

「やさしさに包まれたなら」

「Let It Go ~ありのままで~ [Heartful ver.]」

「永遠に」

  • 購入金額

    3,780円

  • 購入日

    2014年04月13日

  • 購入場所

    フタバ図書

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