所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。長い人生様々な理由で「休養」が必要な場合があります。ただその期間が単なる停滞...いや一部の職種の人々にとっては「とどまることは後退」と言う場合もあります。そんななか、3年もの沈黙期間がありながら見事に復活した、いやより表現力を増して戻ってきたアーティストの復帰後初シングルをご紹介します。
絢香は何度かご紹介している女性ヴォーカリストだが、活動期としては大きく2分される。前期は
家入レオやYUIを輩出した音楽塾ヴォイスを主宰するプロデューサー西尾芳彦の元での凝縮した活動(2006~2009年)。病気療養を挟んで、自主レーベルでの活動再開
の後期(2012年以降)。この作品は後期の活動期のもの。
療養からの復帰作で行動を共にした松浦晃久カラーの活動再開後初シングルは両A面の扱い(CDには片面しか収録されていないのに、未だにこの呼び方があるのは面白いな)。ただ両曲の風合いはかなり違う。
「beautiful」の方はダイナミックでどこか荘厳。ゴスペル調にも感じるコーラスと伸びやかでファルセットを多用した絢香の声、江口信夫のダイナミックなドラミングと中間部のストリングス、ブレイク部分のオルガンで荘厳な感じ。♪大人になる程/臆病になるけれど/信じてくれる/あなたがいるから/歩ける/失って/乗り越え/また抱きしめ/願うのは幸せ/あなたが笑うだけでこんなに/世界が輝く♪と実体験?という様な感謝の唄。添付のDVDでは服に虹を映しながら歌うベリィショートの絢香が観られる。自作の詞によるこの曲が彼女の休養の成果ならば、アリ、だなと思わせる。
「ちいさな足跡」はCFのための書き下ろしだが、一転して行進曲風のスネアドラムがトトロっぽい?カワイイ感じの楽曲。これもストリングス入りだが、「beautiful」のように編成が大きい感じはせず、小編成の小さい部屋で録っているような雰囲気。何となくThe Beatlesを想い出させるサウンドだ。
この2曲、曲想も録り方も参加ミュージシャンの多くも異なるのに統一感があるのは、絢香の声の存在感か、アレンジャーの松浦晃久の上手さか、両曲共通で参加するベーシスト大神田智彦のよく動く雄弁なベースライン故か。
この2曲とそのインスト以外で収録されるのは、休養あけの再始動アルバムのトップに収められた「はじまりのとき」の英語版。静かな曲想ながらパーカッションなどのバックがあったアルバム収録の日本語版と異なり、松浦のピアノのみがバックを支える。英詞も絢香が書いたようだ。
ジャケットはどこか精神界を/内面を表しているようなとらえがたいものだが、なんか歌う彼女の伸びやかな声から感じる吹っ切れた感と、より情感が深まったような表現力は彼女の内面が充実している証。彼女の持病はノドにはあまり良くないものではあるけれど、これからも彼女の声が聴けるというのは望外の幸せだ。さらにそれがより表現力を増したものとあったは、なおさら。
Welcome back, Ayaka.
これからもムリしない程度に、その歌声を届けて欲しいな。
【収録曲】
<CD>
1. beautiful
2. ちいさな足跡
3. はじまりのとき (English ver.)
4. beautiful (inst)
5. ちいさな足跡 (inst)
<DVD>
1. beautiful (Music Video)
2. ちいさな足跡 (Music Video)
「beautiful」
順調な時以上に表現力が深くなった声が届く
表現力を高めるために不幸を経験しろ、とは言わないが、何らかの問題があったときに、そこから「なにか」を持ち帰る人はいる。
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購入金額
1,890円
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購入日
2013年頃
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購入場所
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