たまたま処分品を見つけて、自分のイメージから最も遠いブランドの製品を買ってしまいました。
Bang & Olufsen(バング&オルフセン、以下B&Oと表記)といえば、オーディオ界において独創的なデザインと、それを実現するための独創的な技術開発で知られる高級ブランドです。
そんなB&Oが、彼ららしい製品作りをしつつも、よりカジュアルな価格と使い勝手を実現したブランドとして、「B&O PLAY」というサブブランドを2012年に立ち上げます。
B&O PLAY開始以前からあったイヤフォン、その名も「EARPHONE」なども現在はB&O PLAYブランドとして販売されるようになっていますが、そのB&O PLAYから初めて発売されたアラウンドイヤーヘッドフォンが、このBeoPlay H6となります。
このBeoPlay H6のデザインは、現在B&Oの主要製品を数多くデザインしているJacob Wagner氏の手によるものであり、Bluetooth接続等でより高価格帯に投入されるBeoPlay H9/H8/H7等のデザインの大本となっているものです。
こう言っては何ですが、B&Oにしてはデザイン面での独創性はあまりないような気がします。単純にデザイン面だけで独創性を評価するのであれば、シリーズの最下位に用意されているFORM 2iの方が圧倒的に上でしょう。FORM 2iは独創的なデザインに反して、意外な程まともな音が出ていますので、一度試していただきたい製品です。
付属品はキャリングポーチ、航空機アダプター、MFi認証済みリモコンケーブルとなります。リモコンが無いケーブルが付いていない辺りは少し残念です。
これは右側に当たるドライバー部ですが、ここにケーブル接続用の3.5mmのミニプラグが見えていることがおわかりいただけるでしょうか。実はこの端子は左側のドライバー部にも用意されていて、どちらの端子にケーブルを挿しても同じように音が出るように設計されています。
この両側の端子によって少し変わった機能も提供されています。使っていない方の端子に、他のBeoPlay H6のケーブルを挿すことで、デイジチェーンにより2台同時に音楽を楽しむことが出来るというのです。実用性が何処にあるのかは謎ですが、独創的といえばそうなのかも知れません。もっとも、2台BeoPlay H6を用意する人がどの程度いるのかは謎です。
左右の表示はハウジングでは無く、装着されたイヤーパッドに極めてわかりやすい形で印刷されています。外観の落ち着いたデザインとは何か整合性に欠ける気もしますが…。
良い意味でiPodを思い出す
それでは音質の方についても書いておきましょう。あまりこの製品の使い方には似つかわしくないかも知れませんが、試聴はいつも通りFOSTEX HP-A8に接続して行います。
私のリファレンスヘッドフォンである、SENNHEISER HD650の音と比べつつ試聴してみます。
まず、基本的な傾向としては少しだけドンシャリ感はあるものの、特定の帯域が突出したり埋もれたりすることが無いという聴きやすいサウンドです。大多数の人が聞き取れる帯域の中を充実させ、その端の方を少し持ち上げてわかりやすく明瞭に音楽を鳴らします。
HD650と比べると単純な低域の量は同等かやや多めですが、周波数的にはHD650の方が低いところをきちんと出していると感じられます。ベースラインやバスドラムはクリアで軽快ですが、力強さはあまり感じられません。高域方向も恐らく2~6KHz辺りを軽く持ち上げているのでしょう。少しだけ派手さを感じます。ただ、その割に高域の質はクリアさを保ちつつも鋭さは感じさせず、あくまで聴きやすい音といえます。ハイハットの音は結構はっきりと出ているのですが、刺さりは感じられず耳当たりの良さが印象的です。
弦楽器の音は割合明瞭で軽やかさがありますが、そこに付いているエコー成分が少し強調されるのでしょうか。何となくライブ感が演出されます。一方でヴォーカルはやや細身で、さらりと流して歌っているような印象です。
ソースでいえば、
この辺りのアメリカンロックは聴いていてとても心地の良い鳴り方です。
David Garrettのヴァイオリンも悪くは無いのですが、音色が少し派手目に感じられます。響きの部分が少し強調されるので、この音色が好きという人も結構いるかも知れませんが。
こちらは少しヴォーカルが硬質になり、ベースラインも弾いている感じは良く出るものの重さがやや足りないという印象で、やや苦手な部類でしょうか。
部分的に見ればそれなりに弱点もあるのですが、面白いことに殆どのソースでこれだけを聴いていればとても心地良く音楽を楽しめるのです。この辺りはかつてのSONY WALKMANとApple iPodの違いに近いものがあります。WALKMANの方がHi-Fiサウンドで、iPodの方には必ず固有のキャラクターが乗ってしまうのですが、何故かiPodで聴いている方が音楽を楽しめるという時代がありましたが、特に仕様やクラスが近いSONY MDR-1RとこのBeoPlay H6を比較すると、同じような印象を受けてしまいました。
先に述べた弱点も、あくまでHD650との比較で感じるだけのものですから、多くのユーザーはこれだけを聴いてしまえば素直に納得できそうです。
デザインに独創性はそれほど感じられませんが、それでもセンス良くまとめられていることは確かですし、ヘッドバンドやイヤーパッドの仕上げはさすがと思わせるだけの完成度で、これが第一号機ということを考えればさすがB&Oということになりそうです。
個人的にはHD650をメインから外すことは考えられませんが、普段モニター型のヘッドフォンを使っている人が、純粋に音楽をリラックスして聴きたいというのであれば、その用途には最適な一台といえる製品です。
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購入金額
16,800円
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購入日
2017年11月05日
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購入場所
イオンスタイル幕張新都心店
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