K3003は,ハイエンドイヤフォンの代名詞でもあり,ハイブリッド型の成功例で,バランスドアーマチュア(BA)型2基とダイナミック型1基を搭載しています.
AKGでは,3Way ハイブリッド テクノロジーと呼んでいて,高域/中域にそれぞれBAユニットを用意,低域のダイナミックユニットと合わせて,3Wayのハイブリッドを構成しています.
この3Wayのハイブリッド構成と同じなのが,今回のDUNU DN-1000です.
中高域の解像度と伸び/抜けの良さは,得意のBA型任せ,低域のパワフル感をダイナミック型に分担させることで,両者のいいとこ取りを狙ったものです.
BAの良さは,オーテクのATH-CK90PROMK2やパイオニアのSE-CLX7でその威力が発揮されていいますが,低域の力強さが不足し,硬い無機質の音に感じます.
一方,ダイナミック型では,オーテクのATH-CKS90やAKGのK324P等で迫力あるサウンドや艶っぽい音色を聴かせてくれますが,解像度はもう一歩.
そんな両者を併せれば,鬼に金棒になる!と誰しも考えます.
ただ,タイプの異なるユニット構成でハイブリット型を実現させると,不自然な音になったり,一体感が無くなったりします.そうした失敗例も実際にあります.
そこで登場したのがAKGのハイエンドイヤフォンK3003で,見事にハイブリッド型を成功させたと言われています.ハイブリッド型なのに,自然な音で,いいとこ取りの完成形!
そのAKGのK3003の成功例と同じユニット構成で,低価格を実現させたのがDUNU DN-1000です.しかも,外観も音質も同傾向という噂.さすがに音質まではコピーできないはずなので,技術力は高いのだと思います.
残念ながら,と言うか,当たり前ですが,K3003なんてとても買えませんので,DN-1000でハイエンドの世界を聴いてみます.
DUNU DN-1000の国内紹介ページはこちら.
Sound Earth
AKG K3003の音がわからないので,K3003相当とか,K3003並の音質かどうかはわかりませんが,DUNU DN-1000を聴いた印象は,”すごい”の一言.気になる部分がありません.解像度が高く,綺麗に伸びた中高域,迫力のある低域.音量によらず,リニアリティーも十分.モニターヘッドフォンより,少し味付けが感じられますが,嫌みはありません.
いろいろな曲を聴いてみると,定位はしっかりしていますが,音場が狭い気がします.ただ,閉塞感はないので,長く聴いていられます.
DUNU DN-1000だけ聴いているとわからなくなりますので,他のイヤフォンと聞き比べてみます.
①AKGのK324P
このK324Pも音場が狭いのですが,定位がしっかりしていて,Voが非常に近くに感じられます.
傾向は同じ感じですが,レベルが1段も2段もDN-1000の方が上です.K324P⇒DN-1000にすると,聞こえなかった音が聞こえます.
②オーディオテクニカのATH-CKS90
これは,低音番長なのですが,その低域同士でも負けていません.ATH-CKS90はブーストしたような低域ですが,DN-1000は沈み込むような低域で,自然です.
中高域は,DN-1000の圧勝です.
③パイオニアのSE-CLX7
BAの特徴である解像度が高く,味付けのないモニター的な音色のSE-CLX7ですが,金属的で硬い音質なので,長く聴いていると疲れます.その欠点が,DN-1000では感じられません.低域は,DN-1000の圧勝です.
④オーディオテクニカのATH-CK90PROMK2
この中で一番近いのはこのATH-CK90PROMK2だと思います.マルチ構成BAユニットの特徴がしっかり出て,きれいなな音質です.BAユニットの低域もそこそこ出ます.マルチBAなので,不自然な音色にもなりません.
これをさらに発展させてたのがDN-1000だと思わせる音です.ATH-CK100PROというフラグシップモデルもありますが,マルチBAの限界を超えるには,ハイブリット構成しかないという答えが,DN-1000ではないかと思います.
ATH-CK90PROMK2だけ聴いていれば,Voの艶こそ感じませんが,十分な音で,どんなジャンルを聴いても安心できます.
でも,DN-1000を聴いてしまうと,ATH-CK90PROMK2の足りないところがわかります.知る悲しみというヤツですね.
でも,DUNU DN-1000は,2万円ちょっとで入手できますから,これくらいの予算を考えていられる方には,ベストバイ,いや,これしか選択肢はないのでは無いかと思います.
もちろん,AKG K3003が購入可能な方は,K3003の方が良いと思います.12万円相当の音かどうかは別にして,AKGの音は,そこにしかありません.
最後に,ヘッドフォンとも聞き比べてみます.
⑤オーディオテクニカのATH-M9X
古い機種ですが,私の中でのリファレンスモニターヘッドフォンです.
このATH-M9XをDN-1000は,超えています.
⑥ゼンハイザーのHD650
HD650はオープンタイプですし,音色は異なります.が,どちらも長く聴いていられます.HD650は,曲によって少し籠もったような感じを受けますが,DN-1000にはありません.しかし,音場の広さは,HD650の圧勝です.
この2製品に関しては,好みの問題だと思います.どちらも良いです.どちらか一つを選択することはできません.
つまり,音の傾向は違いますが,DN-1000は,HD650に匹敵するイヤフォンだと思われます.
2万円ちょっとで,HD650相当のイヤフォンが手にはいると思うと,すごくコスパの高いイヤフォンであることがおわかり頂けると思います.
DUNU DN-1000のコピー品が出回る前に,今うちに安心して購入することをお勧めします.
この価格帯では,歴史的名機になる予感がします.
それから,DN-1000は,インピーダンスが,10Ωしかありませんから,再生機器を選ばないところもうれしいです.ポータブル機器との相性もばっちりです.その分,ホワイトノイズには注意が必要です.
最後に,非常に付属品が多いです.付属品の中にあるイヤーピースやリングで,音質もかなり変わります.いろいろ試すだけでも,丸一日かかりそうです.
店頭でDN-1000の音がスカスカだと感じられた場合には,イヤーピースがあっていないだけだと思います.
もう一つ,非常に重いイヤフォンです.落ちることはありませんが,あまりアウトドア向きではないと思います.
いずれにしても,いつもより少しだけボリュームを上げて,聴きたくなる音を出してくれる,とてもコストパフォーマンスの高いイヤフォンです.
ちなみに,SONY流ハイレゾ定義からすると,このイヤフォンは,ハイレゾ対応ではありません.
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購入金額
0円
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購入日
2014年04月頃
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購入場所
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