レビューメディア「ジグソー」

ダイナミック型の良さを上手く引き出した

以前からBA型ドライバーを搭載した上位モデル、ATH-IM02を利用中ではありますが、ATH-IMシリーズ全モデルの生産が完了したためか処分価格となっていた、ダイナミック型ドライバー搭載のATH-IM70を買ってみました。ATH-IMシリーズは型番が「IM0x」となっているものがBAドライバー搭載(BA機の場合は、xは搭載ユニット数と等しい)、「IMx0」がダイナミック型ドライバーとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヤーピースは通常のシリコンタイプの他に、MサイズのみComplyが添付されています。

 

ケーブルは着脱対応で、SHURE掛けに対応するよう針金が入っているタイプのものです。リケーブルも可能ですが、せいぜいNOBUNAGA Labs TR-IM3程度の価格でないと本体価格との釣り合いが取れませんね…。

 

 

 

 

 

余談ですが、IMシリーズの後継シリーズと目されるATH-LSシリーズでは、ダイナミック型の方は同様の命名規則であるものの、BA型は「LSx00」という命名規則に変わったようです。

更新: 2016/11/28
音質

BA型とは明確に違う方向性を貫いている

それでは試聴してみましょう。主に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の3機種と接続して試聴しています。

 

 

まずは最近の定番「Music / David Garrett」収録の「Viva La Vida」です。

 

 

 

 

 

 

さすがにBAドライバーのATH-IM02と比べるとヴァイオリンの弦の質感は大幅に劣りますが、その一方で弦のこすれなどの細かい音は意外なほどきちんと描き出します。ヴァイオリン以外の楽器のバランスについては、少し低音が過多で締まりもよくありません。

 

次に「Chicago XXXVI "Now" / Chicago」から何曲か。

 

 

 

 

 

こちらはベースラインが妙に張り出してくる以外はなかなか良好です。ただ、どうしても低音が張り出していて、しかも決して力強さがある訳ではないので、他の帯域を邪魔してしまっているという印象が強く残ります。

 

そこでイヤーピースを標準添付品のSサイズから、SpinFitに交換してみました。

 

 

 

 

ところが、普段低音過多のモデルでバランスの改善に効果的であるはずのSpinFitを使っても、特に傾向は変わりません。若干高域は明瞭になりましたが、本質的な改善ではなく、効果はさほど期待出来ないと評して良いでしょう。一般的な形状のシリコンイヤーピースでは、どうしても低域方向の量の多さと締まりのなさは変わりそうにありません。

 

そこでちょっと変化球として、こちらを装着してみました。

 

 

 

 

 

これはSENNHEISER IE80標準添付品の、製品名「SENNHEISER IE/CX用イヤーアダプタ・ダブルモールド」で呼ばれているものです。結構硬質な素材ですので、これで低域の締まりが改善するのではないかという期待がありました。

 

結果的にはこれが見事にマッチします。特にChicagoの音はかなり高水準になりますし、他のやや録音の質が低い楽曲でも、低域方向の気持ち悪さがかなり解消されます。さすがにATH-IM02を凌ぐというところまではいきませんが、私の入手価格が近いMASTER & DYNAMIC ME03と比べても方向性は全く違うものの、同じくらいの魅力は出せています。

 

ATH-IM70はBAのような広い空間は構築せず、いかにも典型的なダイナミック型という広さの空間しか表現しませんが、その中でギターやヴォーカルなどで高い質感を出せますし、力感も上々です。そして意外と細かい音はきちんと再現する部分がありますので、価格を超えた表現力を感じさせるのです。今回の入手価格からすれば高い満足感といえます。

更新: 2016/11/28
デザイン性

せめてもう一色作れなかったのか…

ハウジングがかなり大柄ということもあるのですが、この派手な赤い外装色だけはどうにかならなかったのかと思います。はっきり言えば目立ちすぎです。見た目でいえば、下位のATH-IM50の方が色が地味な分ずっと良いです。

 

実はビックカメラグループ専用に提供されているATH-BKS77iS(恐らく「BKS」は「ビックカメラ・コジマ・ソフマップ」の頭文字から取ったものでしょう)は、本機の外装色をブラックにして、iOSデバイス対応リモコンケーブルを標準添付したものといわれています。特定の販路向けにそのようなものを用意出来るのであれば、もう一色ぐらいラインアップしてくれても良いのではないかと思えてしまいます。

 

 

折角使いこなし次第では高水準な音質を出せる製品を作っているのに、この外装色だけで敬遠してしまった人も少なくないという程ですから、ここだけは改善して欲しいところでした。製造完了後に言っても手遅れではありますが…。

  • 購入金額

    6,156円

  • 購入日

    2016年11月27日

  • 購入場所

    ケーズデンキ

18人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • harmankardonさん

    2016/11/28

    安くなりましたね.
    この価格ならお買い得です.

    このシリーズ,リケーブル対応にこだわった副作用か,ハウジング形状にも工夫が欲しかったです.そんなに大きなハウジングではないのに,フィットし難いんですよね.
  • jive9821さん

    2016/11/28

    >harmankardon さん

    実はこの店でIM50を3,500円で売っているという話を聞いて行ってみたのですが、1つだけIM70が残っていた(IM50は5~6個)ので、思わず買うつもりのなかったIM70を買ってしまいました。

    ハウジング形状も確かに難はありますね。針金入りケーブルを利用してSHURE掛けにしないと、恐らく耳に収まってくれないでしょうから…。
  • harmankardonさん

    2016/11/29

    そうだったんですね.
    その値段なら,IM50も買ってしまったほうが良かったかも?
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