以前おものだちのNanaMinoさんがこの製品をレビューされていて、「シリーズの中で最もじゃじゃ馬」という表現をされていたことから、それ以来気になっていた製品がこのATH-IM02でした。
先日少し時間があったので、ヨドバシカメラでいくつかヘッドフォン等を試聴して、その音質を確かめることにしました。このときにはAstell&Kern AK100を使用しています。
するといくつか聴いた中でも特に印象に残ったのはATH-IM02です。確かに高域方向はガンガン耳に入ってくるのですが低域も出ていないわけではありませんし、なにより弦楽器やヴォーカルの質感に「おっ」と思わされるものがありました。しかも音場表現もソースによっては際限なく広がっていくようなものもあり、これをうまく使いこなせれば面白いだろうなと思ったのです。
しかしこれも気軽に買ってみるには少々値段が張るため、結局イヤーピース欠品の中古で入手しました。以前もう少し安く出ていたものがあったので、そちらを買っておけば良かったと思ったのですが後の祭りです。
取り敢えず何かしら用意しなければいけないイヤーピースについては、純正品のER-CKM55Sを調達しておきました。
イヤーピース次第だが、両極な性格を楽しめる
まず最初に利用したのは、Philips Fidelio S2標準添付のシリコンイヤーピースです。
Fidelio S2とは対応イヤーピースのサイズは違うはずなのですが、実際に装着してみるとごく普通に使えるレベルです。ほんの僅かに緩いのかも(装着が純正品より楽だったので)しれませんが…。
試聴ソースは「”NOW" CHICAGO XXXVI / Chicago」のハイレゾ音源や、「TOTO XIV / TOTO」がメインで、後は適当にというところです。
なお、TOTOの方はレビューはLPですが、実際にはCDから起こしたものを聴いています。
まずは試聴時の環境に合わせて、プレイヤーにはAK100を使います。
Fidelio S2のイヤーピースは比較的高域が耳にダイレクトに入ってきますので、この製品の特徴ともいえる活きの良い高音がガンガン迫ってきます。それは良いのですが、気になるのは中低域の辺りに少し籠りが感じられるということです。やや固めの素材なので、内部で中途半端に反響しているのかもしれません。
そこで次に純正のER-CKM55Sに換えてみると、あの試聴したときのイメージそのままの音が来ます。こちらの方が低域方面が締まって、高域の元気の良さとのバランスがとれるようになります。ただ、この音は短時間聴く分には良いのですが、長時間聴くと聴き疲れしそうな音でもあります。
そこで敢えて特徴的な高域を押さえ込んでみようということで、以前買ったComplyの詰め合わせセットを使ってみることに。なお、ATH-IM02に適合するのは400シリーズらしいのですが、200でも特に不都合無く使えましたので、これでそのまま試聴します。
まずはこの中でも性格的には中間となるTsを使ってみます。
するとやはりというべきか、高域方向が一気に引っ込みこの製品の特徴ともいうべき部分が大きく削られます。とはいえ、高域プラスとされるTsだけに全くなくなるという訳ではありませんし、この状態でも意外と質の高い音は出ています。そうなるとComplyとしては最も効果の弱いSであればと思い、交換してみました。
この組み合わせではもう一息高域が出ていれば合格点というところまでの音が出てきました。少しハイ落ちなのですが、ヴォーカルや弦楽器の質感という長所はかなり残りますし、音場の広さは以前よりもはっきりと感じられます。
そこで今度はプレイヤーを交換します。AK100よりは高域方向の伸びや解像度に勝るSONY WALKMAN NW-A16です。
すると当初の音とは全く違い、やや大人しめでややハイ落ちというところで落ち着き、奥行きのある空間と中域の高い質感が楽しめるものとなりました。アコースティックギターの弦などは手持ちのインナーイヤーの中でも最も質感が高く感じられます。
本来の持ち味とは違うのかもしれませんが、これも一つの使いこなしの醍醐味ではないでしょうか。
ちなみに同じWALKMANでもNW-M505では、この組み合わせでは全くぱっとしない音になることは申し添えておきます。
お薦めは全く両極の組み合わせ
ここまでの試聴で、私なりのお薦めは次の組み合わせとなります。もちろん、私が持っているイヤーピースの種類があまりに少ないため、あまり参考になるものではないと思いますが…。
・プレイヤーがAK100の場合
純正のER-CKM55シリーズを使って高域がガンガン飛び込んでくる元気の良い音に。ドラム系の楽器の音は本当に気持ち良く鳴ってくれますし、ヴォーカルものも結構聴かせてくれます。ただ、David Garrettのヴァイオリンはちょっと刺さります。
・プレイヤーがNW-A16の場合
思い切ってComplyのS(Sports)を使ってみるのが面白いでしょう。Complyの中では高域方向が他のイヤーピースに近い程度に残りますので、やや少なめとはいえ許容できる程度に落ち着きます。この組み合わせではATH-IM02本来の印象とは全く違った、奥ゆかしいサウンドを聴かせてくれます。アコースティック系のサウンドにはこれが面白いほどはまってくれますので。
・プレイヤーがNW-M505の場合
これが案外どの組み合わせでも上手く鳴ってくれません。組み合わせとしてはあまり考えない方が良いでしょう。
・万能性重視の場合
以前Fidelio S2で使ったこれがやはり有効でした。
ATH-IM02らしさを保ったまま、少し高域を大人しく出来ますので、これが最も万能なキャラクターではないかと思います。径は若干合わないはずですが、実用上の問題は無さそうに使えています。どれか一つというならこれでしょう。
となります。使いこなしによって印象が大きく変わりますので、購入を検討するならまず試聴してみるべき製品ですし、自分のプレイヤーとの相性を見極める必要があるでしょう。
そのうちリケーブルなども試してみたいと思います。
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購入金額
10,454円
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購入日
2015年11月25日
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購入場所
ソフマップ
退会したユーザーさん
2015/11/30
IMシリーズはこれより上が大人しすぎるというか上質だけど無難な音なので
余計に02が目立ってる感じがします。
イヤピもノイズアイソレーションは持っておくと便利なイヤピですよね。
自分もまずイヤピを変える時はこれを使います(^^♪
jive9821さん
2015/11/30
IM02はキャラクターこそ尖っていますが、音が比較的良質なのでいじり甲斐がありますね。他のイヤーピースやリケーブルも試してみたいと思っています。
ノイズアイソレーションはかなり使えるので、また買い足しておこうと思っています。というか、先日外出時にFidelio S2に付けていたうちの片方をなくしてしまったようなので、IM02で常用する分が不足してしまっています。いっそのこと、10個ぐらい入ったお買い得パックがあっても良いくらいかもしれません…。