NUC全盛の昨今じゃ珍しくなってきた、CPUオンボードMini-ITXマザーボード。
購入の動機は完全に勢いで、箱潰れ開封品が6980円と破格に安かったから。
写真の箱は割と綺麗なのだが、背面にくの字に押された跡が残っており、側面にも潰れ跡があるので、角から落下したか背面に何か落下させたのだろう。
幸い、中身は全く問題無い状態だったのと、保証についても通常通りということなので、ならば良いかとお買い上げしてみた。
ちなみに、昨日UPしたISK-110 VESAは、こいつから生えちゃったパーツである。
こちらが、内容物一式。
マザーボード本体の他に、SATAケーブル(ストレートとL字が各一本づつ)、I/Oパネル、IDEケーブル、日本語マニュアルが付属する。
仕様のほうは、CPUにIvybridge世代のノートブック向けCPU、Celeron 1037Uを搭載。
チップセットもノート向けであるNM70を積んでいる。
NM70はUltrabookでの採用例が多いHM76の廉価版に該当し、SATAやUSBの性能が大きく削られており、SATA6Gは1ポートのみ、USB3.0は非搭載。
RAID構成はサポートされない。
こちらが、製品の外観。
下位モデルであるC1007UNはファン付きだったが、本製品ではヒートシンクが大型化し、ファンレスとなった。
それ以外の仕様には殆ど変化が見られず、ほぼCPU回りのみが変更点となっている。
ただ、国内で販売されたC1007UNは、IDEをオミットした-Dモデルなので、国内販売モデルとしては本製品が初のIDE実装型となる。
こちらが実装されたIDEで、その真横にコントローラーであるJMB368が付いている。
個人的には、IDEよりUSB3.0実装のほうが嬉しかったりするのだが、このマザーやたらとレガシデバイスが充実しており、このIDEの他にも・・・・
シリアルとパラレルのピンヘッダがきちんと実装されていたり、ちょっと分り難いかもしれないが、シリアルのピンヘッダ(白いほう)の下、チップを挟んでCIと書いてある左側には、ケース開閉検知スイッチ用のヘッダまで実装されている。
産業用機器制御での組込利用を考慮しているとしか考えられない仕様で、IDEの実装もそうした組込利用を考慮した結果の選択である可能性がある。
そういうわけで、唯一の増設スロットもPCIが実装されている。
ある意味、こちらのほうが有り難い人も多そうだが、NM70はネイティブでPCIをサポートしないため、このPCIはPCIe-PCIブリッジによる実装。
ブリッジチップ実装のPCIは相性が発生する場合もあるので、全てのPCIカードが動作するとは思わない方が良いだろう。
LANはRealtekのRTL8167が2基載っている。
チーミング出来そうに見えるのだが、マニュアル上の記載に拠るならばノンサポート。
Realtekに掲載されているチーミングツールを使えば、やれる気はするのだが・・・わざわざ不安定要素を増やすのもどうかと言う事で、試してない。
サウンド用コーデックチップは、定番のRealtek ALC887。
実装が窮屈な割に、ノイジーな所は無かった。実用上、十分な質は確保されている。
ただ、USBピンヘッダが近いせいなのか、フロントUSBを使うと稀にフロントオーディオ出力にプチプチと小さなノイズが入る事がある。
これについては、ISK-110のフロントI/O側の問題である可能性もあるので、マザー特有の問題かどうかは不明だ。
ギガバイト製マザー定番の、Dual UEFI。
片方ぶっ飛んでも大丈夫、という安心感は確かに存在するのだが、個人的にBIOS更新でこの辺ぶっ飛ばしたこと、もう十年以上無いんですよね・・・・
さて、仕様はだいたいこんなもんということで、次に消費電力とベンチを計測。
マザー以外の実装物は、メモリ2本とSSDが1基。
OSはWin7-64Proで取得している。
待機電力は、見事にワットチェッカーの計測域を下回った。
ISK-110付属のACアダプタの性能も、割と優秀な模様だ。
起動から五分後のアイドリング状態。予想していたより高めの数字だが、十分に優秀。
OCCTにて全力負荷状態での計測。
C60ほどじゃないにせよ、ピークでもかなり省エネなPCとして完成している。
ただ・・・・NUCはi3ですらこれより低電力(26W)だったんだよね・・・・
マザーボード、SSDの消費電力差がモロに出たようだ。
Win7でのWEI結果。
メモリ回りが恐ろしく優秀で、上位CPUと殆ど変わらないのが素晴らしい。
他の数値も省電力PCとしては十分なもので、普段使いなら全く困らない気がする。
CrystalMark結果も、割と良好。
E350比較で、およそ倍近い性能を叩き出している。
TDPは殆ど同じであることを考えると、Zacate系CPUを積極的に選ぶ理由はUVD3の有無だけと言える。
さて、ここまではべた褒めしてきたが、ハッキリ言う。
個人的に、このマザーの購入・・・全くお勧め出来ない。
・・・というのが、正直な感想。
何故かと言えば、このマザーボード・・・
ファンレスにした結果、冷却性能がお粗末なのだ。
まずは、このグラフを見て欲しい。
これはOCCT取得中のCPU温度を計測したものだが、85℃前後にへばり付いたまま、全く下がる様子がない。
まあ、CPUを100%動作のまま完全なファンレス状態で動作させ続けたのだから、CPU温度が上がるのは至極当然にしても、酷いのはここから。
OCCTを中断して、五分待っても75℃前後までしか下がらなかったのだ。
要するに、ヒートシンクの熱離れが連続負荷ギリギリのレベルな上に、ISK-110という隙間だらけのケースで、冬に暖房無しの部屋ですら温度が中々下がらない訳で、これじゃ夏場の運用など望むべくもない。
要は、ケースファン併用で冷却することが前提のファンレス構造であり、私のようにゼロスピンドル機を作った場合、かなり早い段階で熱損死するだろう。
まあ、購入当初はケースファンを付けて使うつもりだったし、ファンさえ付ければきちんと規定の性能は発揮出来るのだが、少なくとも完全なファンレス運用を前提としている場合においては、選択肢から除外すべきだ。
安易なファンレス設計が、完全に仇となっており、ケース選択の幅を縮めている。
これでは、GA-C1007UN同様、ファン付きにしてくれたほうが遙かに使い易いわけで、Rev.02が出るのなら、是非ともCPUファン付きに戻して欲しいと思う。
MiniITXケースは、元々ケースファンが付いてなかったり、付いていてもCPU回りから外れてたりすることが多いのに、何でこんな仕様にしたのか。
ギガバイトの設計陣には猛省を求めたい。
こんなお粗末なファンレスじゃ、怖くて使えないよ。
((同日追記))
ケース側面に、12センチ排気ファンを追加して、再度OCCT負荷テストを実施してみた。
結果はご覧の通りで、42℃前後の安定動作を達成。
ちょいと最後だけ上がってるのは、暖房を入れたことによるものなので、冷却性能の限界とかが来たわけでは無い。
要はこいつ、ファンレスでなければ良作。明らかに製品コンセプトに問題アリですわ。
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購入金額
6,980円
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購入日
2013年12月08日
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購入場所
notokenさん
2013/12/08
ふっけんさん
2013/12/08
IDEはCel847では付いていたのに1007Uでは何故なかったのだろうか。
ここは意地でもスサノヲ並の放熱板を無理やりつけるべきかとw
Vossさん
2013/12/09
私もそう思いましたが、今回はPCIもPCIeも使う予定がない構成なので、まあいいかなー、と。
増設カードも、最近は割とPCIe対応のほうが多いですし、産業用マザーでもない限り、無理にPCI載せる必要は無くなってますね。
ふっけんどの
確かに安かったんですが、ゼロスピンドルPC構築は見事に失敗しました。
とりあえず、放熱板の増強より手軽なので、ファン付けました。
結果、非常に良好です・・・・設計ミスだろ、これ。
jakeさん
2013/12/09
ただ産業用PCのファンレスも結構発熱しますよ。
コンテックのとかね。
コンデンサとかがゴツいので熱を持ってもなんとかなっちゃうんですが。
値段が値段だけに、同じような高温じゃダメになりそうですね。
サーバー機みたいにケースのファンでの通気を前提にしてるんでしょうね。
Vossさん
2013/12/09
しかし、MINI-ITXケースってファンレスな物も多いのに、ケースファンによる通気前提というのは、どうかと思うのですハイ。
まあ、CPUオンボードの場合「専用ファンになることが多く、ファン故障と同時にスクラップ」というパターンがあるので、それを嫌う人にはむしろ有り難い仕様なのかもしれませんが、それにしたって熱離れ悪過ぎです・・・・