レビューメディア「ジグソー」

レアジャケ。

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストのデビュー盤というのは本人達にとっても制作側にとっても手探りです。それは曲の方向性、演奏の形態といった音楽本流だけではなく、ファッションや媒体への露出の仕方などといったアーティストの持つイメージも含まれます。そんな理由で、アーティストのデビュー盤のジャケットがあとから差し替えられる、というのは珍しいことではありません。ひとつのジャンルで大成功を収め、今ではそのジャンルを代表するアーティストにもそんな時期はありました。そんな珍盤をご紹介します。

jamiroquai。何度かご紹介しているacid jazzの代名詞となったグループ。大成功を収め、今まで7枚のオリジナルアルバムをリリースしているが、その最初の1歩がこれ=“Emergency on Planet Earth”(邦題はグループ名の“ジャミロクワイ”)。彼等と言えば、SONY時代(オリジナルアルバム6枚目まで)はAmazonのアイテム情報にあるBuffalo Man(もしくはメディシンマン)をアイキャッチとした統一された風合いの作品が多かったが、その形ができたのは後のこと。初期盤は環境運動にも熱心だった中心人物J Kayの意向を汲んでか、もっとアーシィなものだった。

ジャングルのようなバックに妙にリアリティがあるタッチでメンバーたち。極彩色の鳥が飛び交い、色とりどりの虫や蛙が葉っぱの上で休む。後ろには彼等の初期の象徴的楽器、オーストラリア先住民アボリジニのDidgeridoo(ディジュリドゥ)を持つ男が立つ。これは豪州の熱帯地域か。アカ抜けない、でも強烈な個性とメッセージ性を持ったジャケット。
かなり「濃い」ジャケット。
かなり「濃い」ジャケット。
曲はそのDidgeridooを導入(とブリッジ)に使った「When You Gonna Learn (Digeridoo)」からはじまる(余談だがディジュリドゥの一般的な英語表記は“Didgeridoo”だが、ここでは“Digeridoo”と表記されている)。この曲が衝撃的だった。ストリングスのリフ、Mike Smithのフルートソロ、乾いたパーカッションの音。抜けきらない音のAndrew Levyのオクターブチョッパーベースに(そう、この曲は初期jamiroquaiりボトムを支えたStuart Zenderではない)、ばらけたハンドクラップ....ディスコ調の懐かしさと、アコースティックな新しさが入り交じるCOOLな音!

続くこの曲(「Too Young To Die」)がまたCOOL。ちょっとばらけた感じのストリングスで始まり、ベースの伸ばさない音がパーカッシヴなAメロとバックがいつの間にか入って盛り上がるサビ、ソロでなく「ブラス」が主体のブリッジへ続く。そこを彩る「シンセサイザー!」がノスタルジック。続くトランペットソロがジャジィで、不思議な調和。

「Revolution 1993」はシンベの特徴的な音と、絶えず鳴らされるスネア、グングンガンガン押してくる音の洪水の上でJ Kayが歌うファンキィチューン。かなり古めの感じのある曲だが、なんだろう??この熱さは?途中ヴォーカルと戦うように入るフルートのラインが熱い!終盤のペットソロは実にCOOL!

このアルバムは都合4枚のシングルカットがされた捨て曲無しの名盤だが、後の彼等にない熱さが、泥臭さが、たぎりがある。とても土着的で根源的で肉感的。

ただ、制作側のイメージ戦略、記号化戦略に合わなかったのか、このあとのソニー時代のかれらのアルバム同様、Buffalo Manをあしらった小粋なジャケットにすげ替えられる。その後ヒットチャートを上昇するに従って、マスコット?であるBuffalo Manが表す原始・土着・自然といったイメージが定着し、「環境問題に熱心なインテリ系?アーティスト」の様な扱いをされたが、たぶん彼等の根っこはこのカオスなジャケットの方だと思うんだけれど。
当初盤(左下)と現在流通盤(右上)。かなり受ける印象が違う。
当初盤(左下)と現在流通盤(右上)。かなり受ける印象が違う。
でも実は配置が換わっただけだったりして(^^ゞ(^^ゞ
でも実は配置が換わっただけだったりして(^^ゞ(^^ゞ
このジャケットは日本ではごく短期間しか扱われず、すぐに白地にBuffalo Manのあとに続くパターンになってしまったけれど、どうしても欲しくて探していたら巨大オークションに出物があったので捕獲。3枚目以降の曲も洗練された彼等ならともかく、この1枚目のエネルギーはもっとカオスな情動を表す装丁の方が合っていると思ったので。
カッコよくシンボライズされた主張ではない、アクの強さを感じるジャケットです。

PS.先日この“Emergency on Planet Earth”の“アルバムリリース20周年アニバーサリーエディション”が発売されたらしい。オリジナルはすべてリマスター、さらにレアトラック+ライヴ音源でほぼ倍の曲数が入っているらしい。う~ん、買いそな予感w

【収録曲】
1. When You Gonna Learn (Digeridoo) (いつになったら気づくんだい)
2. Too Young To Die (死ぬには早すぎる)
3. Hooked Up
4. If I Like It, I Do It (僕が好きなら、僕はやる)
5. Music Of the Mind
6. Emergency On Planet Earth (地球は緊急事態)
7. Whatever It Is, I Just Can't Stop (それが何でも、僕は止められない)
8. Blow Your Mind
9. Revolution 1993 (革命、1993)
10. Didgin' Out

「Too Young To Die」

  • 購入金額

    1,500円

  • 購入日

    2006年11月23日

  • 購入場所

    Yahoo!オークション

16人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • きっちょむさん

    2013/11/03

    ジャミロクワイは青春の歌ですよー!

    中学生の時、良く聴いていました^^
  • cybercatさん

    2013/11/03

    きっちょーさん、ちゅちゅーがくせーデスか...
    世代が(^^ゞ(^^ゞ

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