DREAMS COME TRUE(DCT)。日本のポップス界を代表するグループ..いや、グループと言っても現在は2名構成なのでユニットに近い。圧倒的な声の存在感をもつヴォーカリスト吉田美和に抜群のアレンジセンスをもつベーシスト中村正人が今も残るメンツ。しかし当初は彼らはキーボーディスト西川隆宏をいれた3人組だった。2枚目のアルバムあたりから火がつき、その後1990年ごろからの5年程がもっとも「売れた」時期。
5枚目の“The Swinging Star”
で当時史上最高のセールスをあげた彼らもそれから5年経ち、当初のポップなカラーからの脱却を図っていた。
よりディープに、よりアーティスティックに。そして視線は外。
レコード会社を移籍して、より全米進出を見据えた形で。
その分曲はポップさを潜め、ざくっとソリッドになった。
「あはは」。4小節区切りではない譜割りがオッと思わせる。コード進行も新鮮。そこに美和の難しいラインのメロディが載る。♪Sha-la-la-la…あはは♪というくだりがいいな。これは美和の作詞作曲だが、彼女の独特の感性が見える歌詞と曲だ。
「PEACE!」は曲は中村で「あはは」のポップな感覚とは異なり、ブラスのラインがファンキーなミディアムヘヴィな曲だが、肌触りは驚くほど近い。♪BANG!BA-BANG!♪と活きの良いコーラスと、重厚なブラスアレンジの対比が面白い。歌詞の内容的には「元気出していこう!」という感じの展開だが、最後に♪ムニャムニャ・・もう食べられましぇん♪と終わる茶目っ気もある。
「そんなの愛じゃない」は電話のベルをリズムに取り入れた多重録音のコーラスで始まり、転調を繰り返す展開。ヴォイスオーケストラともいえる重ねられたコーラスがソウルフルだ。ほとんどが打ち込みで、リズムパターンの打ち込み(担当King)以外はメンバーのみで作られている。The BeatlesのSgt. Pepper'sのような雰囲気を持つ。
全体に見ると表面的なポップさが影を潜め、より深く成熟した形。
アメリカ進出にかける彼らの意気込みが見える。
ただその進出自体はあまり成功せず、この後DCTは西川の脱退や前レコード会社との確執、美和の略奪婚に絡むゴタゴタなど混沌期ともいえる時代に突入していく。
この作品自体も質は大変高いものの、ちょっとクロウト好みの曲が多い。
グングンとヒット街道を驀進してきて、行き着いた先の成熟という名の踊り場でたゆたっている感じの作品です。【収録曲】
1. SING OR DIE~opening theme~
2. 愛するこころ
3. あはは
4. PEACE!
5.ケロケロ
6. たんぽぽの堤防
7. そんなの愛じゃない
8. 誘惑~album mix~
9. MARRY ME?
10. よろこびのうた
11. そうだよ~album mix~
12. 月光
13. PEACE!-WORLDWIDE VERSION-(シークレットトラック)
iTunes該当作品ページ
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購入金額
3,059円
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購入日
1997年頃
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購入場所
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