知らない方に説明するとペルソナ４の事を説明します。

簡単に言うと「都会から田舎の高校に転向してきた主人公が、不思議な力に目覚めた仲間たちとともに１年の学校生活を送りつつ、その町で起こった殺人事件を解決する」ＲＰＧです。

ペルソナとは本作に登場する特殊能力のことで、仲間達が事件を解決していく中でそれぞれ向き合っていく「自分が認めたくないもう一人の自分」を御する形で使用可能になっています。また主人公だけは複数のペルソナを持つことが可能で、これは仲間や町の人々と絆や交流を深めることで入手していきます。

本作はそのような精神的な描写が巧みに、かついやらしくないようにポップにＲＰＧのシステムに取り込まれており、主人公たちに共感を覚え、愛着が持てるということで日本だけでなく世界的にファンがいる作品になっています。また舞台もプレーヤーが日本人なら住んでいる、あるいはかつて住んでいた片田舎をよく表現しており、一度その魅力にはまるとずっとそこにいたいような中毒性を持った作品です。

１．PSVitaのパワーと新グラフィックでビジュアルがより鮮やかに！

　PSVitaでゲームを起動してまず驚くのは、何といってもオープニング映像の美麗さでしょう。もともとアニメ調の表現が多いペルソナ４でしたが本作ではPSVita向けに修正をたくさん加えています。なかでもオープニングはテーマカラーである黄色をはじめ、鮮やかな色がこれでもかと画面に溢れており、私は有機ELのPSVitaで見た時（今までのゲームの映像に比べてあまりに美麗なので）カルチャーショックに近い何かを感じました。もちろん本編のグラフィックも素晴らしく、より魅力的に物語を演出してくれます。

２．違和感なく追加された「わかっている」イベントの数々

リメイク前に無かったイベントが沢山追加されているのですが、プレイしていて「これは元からあったのかどうか」が時々わからなくなるほど、ごく自然に追加されています。ただ増えているだけでなく、リメイク前の物語を補完するものなどばかりですので、前作を未プレイの方なら新鮮に、プレイした方ならより楽しくプレイできると思います。

３．楽しいだけじゃない、よりロールプレイできる衣装変更

本作では主人公一行の衣装を購入することでダンジョンや戦闘での見た目を変更できます。ただのお楽しみ要素の衣装もありますが、主人公と親しいキャラクターの衣装なども入手することができるようになっており、それを着ることで、物語の中で絆を深めて主人公になりきるロールプレイ性を高める要素になっていると感じました。

４．ＤＬＣ一切なし！

中古対策などの為に近年売られているゲームにだいたい含まれているＤＬＣが本作では一切ありません。そのため、買うだけでほぼ全ての内容を楽しむことができます。

まだまだ細かいものはたくさんありますが、このように豊富な追加内容が加えられ、まさにリメイクと呼ぶにふさわしい内容になっています。私はこれらの内容を楽しむと同時に開発スタッフがプレーヤーに「卒業」を促しているのではないかと感じました。

ペルソナ４はハートウォーミングかつポップで非常に中毒性が高い素晴らしい世界観があり、極めると世界を自分の思い通りの万能感・幸福感に溢れたものにできてしまう自由度を持っています。しかしその反面、物語が精神的な成長を遂げるものであるにもかかわらず、プレーヤーがゲームにはまってしまい、ずっと高校生の１年間の中で周回し、その先の未来を描けず停滞してしまう恐れのある作品でした。

それに対し今作では沢山の追加イベントを用意し、更に高いロールプレイングの自由度を与えるとともに一部ではどう頑張っても主人公が全てを手に入れることができない、というようなイベントも加えられています。また、クリア後に平和になった町での後日談が語られ、絆を結んだ町の人々、仲間にも１年間の先の未来があることを示唆しています。（ちなみに、私はこの後日談で陽介というキャラクターのあるセリフが追加要素で一番重要なものだと感じました）

本当に、いろいろ考えさせられるいい作品なので、リメイク前をプレイした方もそうでない方も、ぜひ最後まで楽しんでみてください。

PSVitaはあまり売れてないらしいですが、ぶっちゃけこの作品の為だけに買っても損はないと思います。これだけ完成度の高い作品を持ち歩いて暇なときにすぐ遊べるなんていい時代になったと思います。