荻野目洋子、通称オギノメちゃん。当初いわゆる「アイドル曲」でデビューしたが、正確な音程と歯切れの良い発音でシンガーとしても一定の評価を得た。時代がディスコ、ユーロビート全盛だったので、一度そちらに行くが
そのブームも下火になり、本人も大人っぽくなって、「さぁ次は?」となった1988年に出した作品。
かなりチャレンジング。フルアルバム全曲英詩。プロデュースは高中正義
との共演をしたこともあるNarada Michael Walden。Jeff Beckのアルバム“Wired”でドラムを叩いたこともある彼は、現在も現役のブラコン系音楽の重鎮。そんな彼がオギノメちゃんのために用意したステージは「全曲英詩のフルアルバム」。ユーロビート時代にも洋楽カバーを多く歌ったオギノメちゃん、洋楽を歌いこなすセンスはあるが、全曲英詩はかなりハードルが高い。でもNaradaの導きも良く、良質のブラコン系作品となっている。
「PASSAGES OF TIME」はギターとシンバル、ソロのフルート以外は全編Fairlight CMIによる打ち込みによるバラード。Trevor Hornのオケヒットで一世を風靡したあのFairlight CMI、中域を中心に広がる音場が気持ちよい。オギノメちゃんのクリアな発音でまるで本場のブラコンバラード。このアルバムでの唯一の日本語「いつまでもそばにいて...」という語りが聴ける曲でもある。
「VERGE OF LOVE」はリズムマシン然としたハンドクラップに、シンセのコロンとした音のループバッキングが懐かしいブラコン系ポップス。オギノメちゃんは英詩のフェイクもこなし、上手いところを魅せる。生ドラムのこの曲はNarada自身が叩くが、それはオーソドックス。ただJoy Julksのベースが小技が効いててドライヴィン。
「DIZZY,DIZZY,DIZZY」は王道のキュートポップ!初期Madonnaを思わせる色気のあるポップス。基本打ち込みなんだけどRandy JacksonのベースとBob Castellのギターのカッティングががリズミカル。オギノメちゃんのセクシィな?英語の語りもお茶目。
敏腕プロデューサーNaradaの手にかかり、けっこう良質なブラコン系ポップアルバムに仕上がっているんだけれど、アイドルのフルアルバムとしては難しかったのか、このアルバムから直接のシングルカットはない。翌年あとを追うように日本語バージョン“ヴァージ・オブ・ラヴ”が出され、オリコンベスト10にも登ったと言うことは、Naradaの方向性も、オギノメちゃんの人気も問題なかったということで...
あの当時の日本には、ちょっと「はやかった」作品なのかもしれません。そうそう、Amazonは試聴ファイルがある再発盤「+2」につないでますけれど、自分の持つのはオリジナルです。
【収録曲】
1. THIS COULD BE THE NIGHT
2. SOMETHING ABOUT YOU
3. PASSAGES OF TIME
4. WICKED
5. VERGE OF LOVE
6. POSTCARD FROM PARIS
7. SWOOPIN’IN
8. IS IT TRUE
9. DIZZY,DIZZY,DIZZY
10. YOU TAKE IT ALL AWAY
「VERGE OF LOVE」
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購入金額
3,000円
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購入日
1989年頃
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購入場所
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