レビューメディア「ジグソー」

日本人(竹中尚人=Char)の作品ながら、洋楽コーナーにあるほうがしっくり来る

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。日本人離れした感性。その人が歌うと/弾くと洋楽の薫りがする。そんな独特の感性を持ったアーティストが、外国人メンバーとガッツリ創った作品をご紹介します。

Charこと竹中尚人。ギタリストにしてヴォーカリストのロッカー。アイドル的な扱いでデビューしたが

そのテクニックとセンスで見る見る独自の地位を築いた。J-POPではない、さりとて歌謡曲化した産業ロックでもない。ブルース~ロックを小編成で演るときにすごく光るプレイをする。当時かなり日本人離れしていたセンスを持つ二人のミュージシャン、「リード」ベーシストルイズルイス加部とロックドラマージョニー吉長の2人とJOHNNY, LOUIS & CHAR、後のPINK CLOUDを結成して15年ほど活動するが、その後期はインディーズレーベルでの作品発表と、「レコード会社に媚びない」ある意味時代の先端を行っていた。

そんなCharが、後にJeff BeckやPaul Rodgersと共演するドラムスのJim Copleyとフレットレスベースの名手Jaz Lochrieと組んだ新ユニットがPSYCHEDELIX。本作はその最初の作品。ザクっとした音作りと、まるで洋楽のような肌触りでジャムっぽい仕上がりだ。

MOVE ON」。もっともそれまでのPINK CLOUDのイメージがあるヴォーカル曲。ギターソロも比較的覚えやすくキャッチー。ただ、バックが違う。Jazのアルペジオのように動くフレットレスベースと、Jimの乾いた饒舌なドラムス(今はなきROGERS DRUMSを愛用していたジョニー吉長とTAMAを使うJimの違いかもしれないけれど)。とてもトリオとは思えない音の熱さ(厚さ)だ。

YOU'VE GOT THE ANSWER」はハネるリズムのブルースロック。Charが弾くキーボードがセンスがいい。ピアノのリフをバックにしたCharのちょ~~長いギターソロの部分だけはブチキレ気味だが、他はややクロめの薫りのあるファンキーな曲。このテの曲でベースがスラップにならないのがJazらしい?

ギターアンプをつけたときのノイジィなギターの音で始まるインストロック「RAINBOW SHOES」。不協和音っぽいギターのテーマに続いて、ドラム以外のユニゾンへと。ドラムの音も荒く、迫力満点の....プログレ?w

英詞かインストということもあるが、音使い・センス・プレイ、いずれも日本人の規格を外れていた。たぶん何の前知識もなくこの作品を聴いた人は洋楽だと思っただろう。でもCharはなんの衒いもなくキャラクターの強い二人の外国人ミュージシャンと渡り合い、作品を成している。

プレイの詳細が、お互いの空気が、プレイの駆け引きがわかる小構成のバンドが彼には良く似合う。
時々無性に聴きたくなる作品です。

アートワークも外国っぽい
アートワークも外国っぽい

【収録曲】
1. MOVE ON
2. LET ME TRY YOUR SHOES ON
3. GREEN LIGHT
4. RUBY RED LIPS
5. NAMELESS LAND
6. YOU'VE GOT THE ANSWER
7. RAINBOW SHOES
8. AND THEIR SONS AND DAUGHTERS
9. NOW
10. AQUA SHOES

「MOVE ON」

 

※リンクつなぎ直しのための改稿作業で、「今はなきROGERS DRUMSを愛用していたジョニー吉長とTAMAを使うJimの違いかもしれないけれど」の文を見て、2013年のレビュー当時ジョニーはすでに亡くなっていたけれど、Jimもその後2017年に鬼籍に入ってしまった一方、19世紀から続いていたROGERS DRUMSは一度アメリカ製⇒台湾製となって品質が急落し世から消えたが、またふたたびRogersを冠するドラムスが出てきたりと...時の経過を感じたね(2020/08/23)。

更新: 2020/08/23
必聴度

今聴いても、イイなあ...

Charほど「邦楽」というカテゴリーにあると違和感があるアーティストもいないかも

  • 購入金額

    2,800円

  • 購入日

    1992年頃

  • 購入場所

18人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • 退会したユーザーさん

    2013/09/09

    これもまた懐かしい人でつねぃ(・・
    私はこの世代の前の前の(w世代に傾倒してたので<紫、FTB
    デビューアルバムくらいしか知りませんが
    テクニックは当時から称賛されてますたねぃ(・・

    しかし・・このジャケットは60年代でつねぃ(w
  • cybercatさん

    2013/09/09

    紫!直接聴いた世代ではないのですがw、初期に在籍していたドラマー宮永英一が脱退後作ったバンド「San Diego」からさかのぼって数曲聴いたことがあります。
    いまのようにネットなどもなく、廃盤も多かった彼らのアルバムを探すのは大変だったので、ラジオでw
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