FLYING KIDSは何度かご紹介している「三宅裕司のいかすバンド天国(イカ天)」出身のファンク系J-POPバンド。初期
はかなりアクの強いやや古めのファンキィなリズム/メロディに乗せた不条理ソングなどが多かったが、後半
は洗練されたポップさも身につけた。ただその引き替えにアクが薄まった事は確かで「初期の濃さがスキ」というファンも多い。
本作は彼等の9thアルバムで既にデビューから5年半が経過していた。1年前のアルバム“Communication”からはじまったポップス路線が強まった作品で、いくつかの曲でアクの強い初期路線がうかがえるほかはかなり全体にポップになっている。
アルバムタイトル曲だが、(特に解散前FLYING KIDS後期としては)ちょっと異端な感じがする「HOMW TOWN」。初期の泥臭いファンキーさと後期に色濃かったゴスペルっぽいイメージが入り混じった曲。浜崎貴司の上手いというよりは存在感あふれるヴォーカルとヴォーカルレスでコーラスのみのサビっていうのがおもしろい。そのコーラスもハモリなんかではなくて野郎ドモが合唱する感じ。
甘ずっぱい感じの青春ソング「暗闇でキッス~Kiss in the darkness~」。甘いずっぱい歌詞のわりには相変わらず力の入った浜崎のヴォーカルとサビの♪チュチュチュ♪というカワイイ?くだりの対比が面白い。
再結成後は不参加のじゅんちゃんこと浜谷淳子の張りのある声が浜崎のダミ声とハモるサビではじまる解散前ならではのナンバーは「やりたい事をやりたい」。ハネる中園浩之のリズムと伏島和雄のベースのステディさが丸山史朗と加藤英彦の2本のギターの思い思いな?バッキングが、飯野竜彦のオルガンのグリスがCOOL!♪もっとやりたい事をやりたい♪と何回も繰り返すが、最後だけ♪もっとやりたい事をやろう♪とかわるのがいい。
イカ天の余勢をかった1st“続いてゆくのかな”が最も売れたアルバムだが、そのあと彼等は自らの路線を模索し本作の次の作品“真夜中の革命”でそれに匹敵するセールスをあげる。本作はその序章という位置づけだが、1stの「濃さ」の最後の燦めきでもある。
「バンドブーム」から5年も経って音楽でメシを喰う方法を確立しつつある作品。でも、本作のあと2アルバム、約3年で一時解散してしまう彼等。そういう意味では「もっとやりたい事をやりたい、もっとやりたい事をやろう」というのは音楽業界でメシを喰う難しさをあらわしているのかも、と深読みしてしまうねこです。【収録曲】
1. HOMW TOWN
2. 暗闇でキッス~Kiss in the darkness~
3. ガードレールにもたれて
4. とまどいの時を越えて
5. 愛してる
6. Christmas Lovers
7. 森の中へ
8. やりたい事をやりたい
「暗闇でキッス~Kiss in the darkness~」
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購入金額
2,500円
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購入日
1995年頃
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購入場所
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