シカゴ脱退のいきさつは色々とあったのですが、彼の後任として加入したルー・パーディーニもビル自身が推薦して採用されたメンバーということだそうで、マネージメントとの関係はともかく、他のメンバーとの遺恨は感じさせなかった辺りが彼らしいところです。
ビル・チャンプリンはミュージシャンの間で敬愛されるミュージシャンともいわれ、日本でも佐藤竹善(SING LIKE TALKING)をはじめ、彼の熱心なファンを公言するミュージシャンは少なくありません。
そのビル・チャンプリンが1990年に何故か日本だけでリリースしたミニアルバムが本作です。本国では正式にリリースされていないようで、ビルの公式サイトのディスコグラフィでも日本盤の情報が記載されています。収録曲は以下の5曲です。
1. Lovers Tonight
2. No Wasted Moments
3. Sticky Situation
4. Before You Go
5. The City
恐らく第19回東京音楽祭世界大会で最優秀歌唱賞を獲得した「No Wasted Moments」のスタジオ録音版をリリースするというのが本作の主目的だったのではないかと思います。この東京音楽祭は偶然その模様をTVで視た記憶があるのですが、歌っている時の存在感など、他の出場者を圧倒していたという印象でした。「No Wasted Moments」自体も、シカゴ名義でシングルとして発売すれば大ヒットしたのではないかと思われる出来の曲でしたし。
アルバムとして見た場合には、本作はプロデューサーとして名を連ねるジョーイ・カーボーンの力が強く発揮されている作品という印象です。日本のミュージシャンとも多くの仕事をこなしている人だけに、日本人が聴いてしっくりとくる作品に仕上がっています。
本作のもう1つの目玉は日本ではシングルカットされ、東京ガスのTV-CFでも使われた「The City」を収録しているということでしょうか。
参加ミュージシャンを見ても、シカゴからジェイソン・シェフのほか、リー・ロックネインやウォルター・パラザイダーが参加していることに加え、コーラスにボビー・コールドウェルの名前も見られるなど、非常に充実した作品で、商売上の理由であったとはいえ日本だけの発売にとどまったのが惜しい名盤です。
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不明
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