彼らが活動を停止した後も彼らの楽曲は各所で使われる度にリバイバルヒットを繰り返すなど、音楽そのものに対する評価は高いままでしたが、JOURNEYの顔ともいえるヴォーカリスト、スティーブ・ペリーと他のメンバーとの間の亀裂が深まっていたこともあり、復活は絶望視されていました。
ところがそれから10年を経た1996年に、突如として復活作となる本作が発表されたのです。それも彼らが最大のヒットを記録していた時期のメンバー全員がそこに顔を揃えていました。
私も含めて多くのファンはJOURNEYの新曲を待ち続けていたのでしょう。かつての大御所ミュージシャンの多くがヒット作を出せずに苦しんでいた時期にリリースされたにもかかわらず、本作はあっというまにプラチナディスクに輝き、ビルボード誌のアルバムチャートでも最高位3位を記録するのです。本作からシングルカットされたシングル「When You Love A Woman」もアメリカ本国のみならず、日本の洋楽チャートでも大ヒットを記録しています。
内容としては、全盛期のJOURNEYが10年の歳月重ねて帰ってきたことを素直に印象づけられるものとなっています。オープニングを飾る「Message Of Love」は彼らの代表曲ともいえる「Separate Ways (Worlds Apart)」のフレーズを引用して、彼らの音が決して失われていないことを端的に示してくれていますし、「Still She Cries」はかつてのヒット曲「Who's Crying Now」の続編的な曲であり、随所に「昔のままのJOURNEY」がちりばめられています。
その一方でスティーブ・ペリーのヴォーカルは少しハスキーさが加わり渋みや深みが感じられ、そこに10年の歳月を感じさせられます。決して衰えではなく、曲の情感が大きく増して表現されるようになっていました。個人的には過去の名作よりも、本作の方がずっと好きです。
しかし、残念ながらせっかく復活したJOURNEYは本作発表後間もなく、体調不良を理由にツアーへの参加を渋ったスティーブ・ペリーが脱退を発表してしまい、この復活は僅かな期間で呆気なく終わってしまいました。
その後はスティーブ・ペリーとよく似た声質を持つヴォーカリスト、スティーブ・オウジェリーを発掘し、アルバム制作やツアーも精力的にこなしていたのですが、スティーブ・オウジェリーもやがて喉の疾病により脱退、ツアーには暫く代役としてジェフ・スコット・ソートを加えたのですが、加入発表後間もなく彼も脱退を表明。活動の継続は困難になったかと思われた矢先に、YouTubeの動画を介してフィリピン人のアーネル・ピネダを発掘。当初数回のステージをこなすために呼ばれた彼が、結局現在に至るまでリード・ヴォーカルを務めることになります。
個人的にはスティーブ・オウジェリーやアーネル・ピネダのヴォーカルも非常に気に入ってはいるのですが、それでも最も気に入っているアルバムを1枚といわれれば、本作を挙げるでしょう。1996年当時、多くのファンが望んだ通りの姿で返り咲いたJOURNEYには、強烈な印象を受けたものでした。
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購入金額
2,300円
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購入日
1996年12月頃
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購入場所
harmankardonさん
2013/07/05
うちでも探せば,出てくるはずです.
jive9821さん
2013/07/05
私は丁度活動停止前後からレコードで聴いていたのですが、それから10年経って突然このアルバムを店頭で見かけて再度聴くようになり、それからまた暫く聴かなくなったあと秋葉原USER'S SIDEでよくデモ用に流していたライブDVDを視てまた聴くようになり、それから現在に至るという流れでした。ある意味PCをきっかけに聴くようになった例ですね。