スガシカオ。何度かご紹介しているが、この人の詞は深い。情景を切り取り、情念をあらわにし、欲望を歌う。人のきれいな面、人の醜い面、人の希望、人の欲望...そういったモノを歌う。とくに初期のアコースティックな曲にその傾向が強い(といっても後期のエレクトリックでゴージャスな音作りに対して、であってエレキギターもシンセサイザーも入ってるが)。
一般的には彼は、SMAPの「夜空ノムコウ」や嵐の「アオゾラペダル」などジャニーズ系楽曲の作詞者としても識られるが(後者は作曲も)、彼の書く詞は情景が見える。♪あの時の君の笑顔/思い出そうとしても/なんかうまくいかなくて/いつも途切れてしまう/悲しいページなんて/なかったことにしようとして/ぼくらはいくつも色をかさねてしまった…/きっとぬりすぎた色って/白に戻れないけど/それでいい/新しい色で明日を描こう♪(アオゾラペダル)
そんな彼の4thアルバム。初期の目利きの人に対して鮮烈な印象を植え付けたデビュー当時から、一般的にその名を知られたベストアルバム“Sugarless”
とそれに続く最高のセールスを上げたという“SMILE”に挟まれて、やや地味な印象だが、ソリッドでアーシィなファンクが聴ける。そして詞の尖り型は後期よりも遙かに鋭い。
「かわりになってよ」。前の彼女に代わりになって、と頼む身勝手な男の話。♪こーゆー気持ち君なら言わずとも/わかってくれると思う/ぼくの腕の中で/彼女のかわりになってよ/おんなじ気持ちで/君のこと/愛せる気がするから/ぼくのせまい部屋で/彼女のかわりになってよ/内緒で♪間がなくつづく次の「性的敗北」と合わせて、男の女々しさ?が良く出てるw
「そろそろいかなくちゃ」は、アコースティックファンクとも言える彼独特の世界。ギターのアルペジオと淡々としたリズムに挟まれてファンキーなボーカル。♪“あいしているの?”と彼女はいう/いつもうまく/返事はできない/“シケた顔をするな”と友達はいう/タメ息はもういい/そろそろいかなくちゃ/“大人になれよ”と誰もがいう/ぼくにしか見えない/ユメはもういい/“ゴメン”と口ぐせのようにぼくはいう/言い訳はいい/そろそろいかなくちゃ♪
入手したのは初回盤の8cmスペシャルライヴディスクが付属するヴァージョンなので、その中から「これからむかえにいくよ」。2ndシングル「黄金の月」にカップリングされた曲で、そっちのソリッドでファンキィなバージョンも良いけれど、このジャジィでCOOLなバージョンもイイ。ブレイクと坂本竜太のランニングベース、かなりテンションかかったラインを攻める森俊之のピアノソロがかっこええ!!このスガのバックバンドの新旧バンマスの共演がCOOOOOOOOOOL!!(森が2007年までのバックバンド“Shikao & The Family Sugar”のバンマス、坂本がそれ以降の“FUNK FIRE”のバンマス)。これは必聴。コレクター的観点で手に入れたけれど、この曲のために買っても良いくらい。これは、初期スガシカオの隠れた名盤。
エレクトリックでポップ、キャッチーな最近の2作、「FUNKAHOLiC」
と「FUNKASTiC」
しか知らないと、彼の片面しか識らないことになる。このフォーキィでえぐる詞を書く男を聴いて欲しい。きっと、「スガシカオ」に対する評価が変わる、そんな気がする作品です。
【収録曲】
1. かわりになってよ
2. 性的敗北
3. ミートソース
4. AFFAIR
5. 波光
6. ドキュメント2000~the sweetest day of my life~
7. SPIRIT
8. そろそろいかなくちゃ
9. たとえば朝のバス停で
10. 青白い男
11. 木曜日,見舞いにいく (Album Mix)
<SPECIAL LIVE DISC> 2000/2/28 大坂フェスティバルホール
1. これからむかえにいくよ (Live)
2. 愛について (Live)
「そろそろいかなくちゃ」
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購入金額
500円
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購入日
2010年12月01日
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購入場所
Yahooオークション
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