これまでに何度か書いていますが、私はインナーイヤーフォン自体はよく使っていますが、カナル型は嫌いで殆ど使っていません。カナル型が嫌いな理由はいくつかあるのですが、遮音性が高い製品を外出時に使うのは危険性が高いこと、確かに低域は通常タイプよりも圧倒的によく出るものの、中域より上の質感では必ずしも褒められたものではないことが多い点などが挙げられます。
この製品ではどうだったのかということになりますが、まだ1時間も鳴らしていない段階で結論を出してしまうのはさすがに早計かと思いますので、あくまで使い始めの段階での感想として述べさせていただくことにします。試聴用の機材は次のものです。
まず、売り文句通り低域方向は素晴らしく分厚く出てきます。元のソースにこんなに入っていたかと首をかしげたくなる程度に低域は勢いよく出てきますので。一般的に低域方向の量感に優れる製品は、やや高めの周波数を膨らませていることが多く、安っぽさを感じさせられるのですが、この製品の低域はなかなか低めの部分で膨らんでいるようで、印象はそれほど悪くありません。ただ、量は明らかに多すぎですが。
多くのカナル型で弱点となる中域の質感については、同価格帯のBOSE IEよりは良好です。ただ、ヴォーカルや弦楽器の質感は、通常タイプのATH-CM7Tiの方がずっと自然です。この部分だけ聴いてしまうと、何故世間でここまでカナル型がもてはやされているのか、全く理解できないほどです。
ただ、意外だったのはそれよりも高い部分となる、ハイハットの音などは悪くないのです。ちょっと鋭すぎるきらいはありますが、エージングが進めばもう少し落ち着くでしょう。
20年ほど前に重低音ラジカセが妙に流行った時期がありましたが、全体的な印象としては一つ一つの音の質は高いものの、傾向としてはその重低音ラジカセに近いものと感じられます。もっとも、比較的録音のいい洋楽ロックではそれほど悪い印象を受けませんが、最近のJ-POPなどを聴くと耐えがたいバランスの悪さになりますので、ソースの質には意外なほどシビアなのかもしれません。
結論としては、決して悪いものではないことはよくわかるのですが、自分が普段から愛用する製品となり得るかと聞かれれば、ノーといわざるを得ない製品です。私の好みからすれば、まだまだATH-CM7Tiに頑張って貰わざるを得ないようです。
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購入金額
3,980円
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購入日
2013年04月03日
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購入場所
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