私も新品で購入して20年以上経過しているXK-009を、未だにオーディオシステムの中に残していて、他に使っていたカセットデッキは殆どが引退状態である中、このデッキに関しては現役であり続けています。
そして今回取り上げるXK-007は、そのXK-009と共通の基本構造を持つものの、発売当初のメーカー希望小売価格の差額(2万円)分はきちんとコストを削減されたと思われる製品となっています。
まず同じメカを採用していながら、搭載モーター数が異なっています。これは早送り/巻き戻し時と、録音/再生時とで使うモーターを分けているXK-009に対して、XK-007ではこれらを1つのモーターで賄っていることによるものです。そのためワウ・フラッターも0.018%とカセットデッキ最高水準を誇るXK-009に対して、0.025%(いずれも数値はWRMS)とやや増加しています。
また、電源ユニットの数もアナログ回路用とデジタル回路用とで分離しているため2つ搭載しているXK-009に対して、兼用の1つだけを搭載するXK-007という関係です。
さらに録音・再生用のヘッドの素材も異なっていました。いずれも中のコイルはPCOCCを採用していたものの、接触面がアモルファスヘッドだったXK-009に対して、XK-007ではスーパーDXヘッド(パーマロイ)となっていて、主に耐久性の面での差がつけられていました。
その他機能面ではノイズリダクションとしてdbxを搭載していたのはXK-009のみという点や、ピークレベルメーターのホールド切り替えの有無、テープキャリブレーション用のオシレーターの有無、高域イコライザの有無など、一見してよく似ていながら細かい点では少なからぬ差がつけられていたことになります。
当然当時の人気もXK-009の方に集中していて、XK-007は展示品がないオーディオショップも結構ありました。私自身、自分でカセットデッキを選ぶときにXK-007の方の存在は全く気にしていなかったほどです。
それなのに何故私がわざわざ今XK-007を持っているのかといえば、たまたまPCパーツの中古品を見に行っていた、PC系の中古店でたまたま激安価格で陳列されていて、勢いで買ってしまったからです。
当時はまだソニーとの事業統合前であり、アイワのサポート拠点が機能していた時期でした。丁度XK-009をオーバーホールに出すことを検討していて、その間の代替機に丁度良いかと思ったのです。
実際に買ってみると、未チェックジャンク品であり、動作はするもののメカの状態が不安定という状態であったため、まずはXK-007の方をオーバーホール兼修理に出し、その後しばらくしてXK-009をオーバーホールに出すという形になりました。
XK-009が修理に出ている間は、当初の予定通りXK-007を代わりに使っていたのですが、音質は非常によく似ています。強いていえばXK-007の方が高域方向に緻密さに欠けるような傾向があったと思いますが、使うテープによってそれ以上の差が付くことがあったという程度の差であったと思います。機能面での省略が気になる部分はどうしてもありましたが、当時の価格差を考えればむしろXK-007のコストパフォーマンスの優秀さが際立つ結果となりました。
XK-009が戻ってきた後は別に組んだオーディオシステムの中に組み込まれ、現在でも現役で使われています。今使ってみても音質は高い水準を保っていて、主に再生重視であれば極めて満足度の高い製品ということが出来るでしょう。
-
購入金額
1,980円
-
購入日
2001年頃
-
購入場所
じゃんぱら 秋葉原5号店
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。