槇原敬之。「どんなときも。」
に代表される人生肯定ソングを多く造り、歌うシンガーソングライター。彼の歌詞はひねっていなくてストレート。小さな出来事、小さな幸せ、人生の1シーンを切り取って、心のノートに書き付けたような詞。
シンガーソングライターの中には詞を先に書くヒトと、曲が先にできてそれに合う詞を考える人がいるが、かれは明らかに前者。曲そのものはシンコペーションや拍の喰いなどが少なく、悪く言えば平坦なものだが、その分節回しや息継ぎのポイントが詞に合っていて、詞の内容は非常に聞き取りやすい。
そんな彼が1994年に出した作品。No.1ヒット「SPY」を含むアルバムだが、詞を聴くにはあの曲もイイ。
「DARLING」。シャレたシンセのイントロのラインに「おっ!」と思うが、始まるとマキハラ節。サビ後半はもの悲しげでちょっと違う感じだけれど。ちょっと仲違いしている恋人たちの日常が歌われる。♪Darling, My Darling/仲直りのKISSのしるし/後ろにしたキャップのツバを/君はらんぼうにもどした♪
「OCTAVERS」。ちょっとSing Like Talking
の様な小洒落た感じのイントロで、いつもの感じではない。さびのラインも後半が洋楽的ライン取りだな。♪10年先も20年先も/なんとなく側にいて/いつだって同じように/笑ってるような気がする♪と詩の世界はマキハラだけど。
ラストの「東京DAYS」。これは詞の勝利。ある丁界の日常が、独りの日常が切り取られ、綴られる。♪半透明のゴミ袋を抱えながら/星空に口笛よひびけ/すばらしき毎日/今日も吠えるとなりの犬に/本気でどなり返す/すばらしき毎日♪...この詞が書けて歌えるのはマキハラくらい?
この後彼は覚醒剤所持で有罪判決を受けたり、盗作騒ぎ(こっちは無実)を起こしたりしたけど、やっぱり今も心に浮かんだ小さな幸せを歌っている。長い人生いろいろあるよ、でも自分を肯定して始めよう、そんな気分になる作品です。
【収録曲】
1. INVITATION (INSTRUMENTAL)
2. HOME WORK
3. DARLING
4. 2つの願い (VERSION II)
5. LONESOME COWBOY
6. TWO MOONS
7. SPY
8. 花水木
9. OCTAVERS
10. 今年の冬
11. 恋はめんどくさい?
12. 東京DAYS
「東京DAYS」
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購入金額
3,000円
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購入日
1994年頃
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購入場所
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