世界各国、主に第一次～第二次大戦のいろんな意味で変な兵器をとりあげた本「奇想天外兵器」シリーズに登場した兵器を立体化したモデル。

いわゆる食玩サイズなのだが、何故か付属していたのは入浴剤。浴玩といったところか。ブラインドボックス仕様で5種それぞれに3種づつのカラーバリエーションが用意されている。

当然企画・試作段階で消えた兵器が殆ど。そのラインナップは…

・ラムジェットで巨大なプロペラを回すVTOL戦闘機「トリープフリューゲル」
・グライダーを装備して滑空する空挺戦車「特三号戦車」
・そらとぶ円盤「F-5Uフライングパンケーキ」（Xが付かないのはあくまで実用版想定）
・2重反転プロペラに人が乗るだけ「VZ-1フライングプラットフォーム」

そして今回写真を載せた
・陸の要塞　地上戦艦　1000t級超々重戦車「ラーテ」だ。

フライングパンケーキ・トリープフリューゲル・ラーテの3種は彩京のストライカーズ1945IIにそれらしいものが登場しているが、逆に言えばそれくらい濃いラインナップ。
当然こんなものを入荷する店は少なく、更に私の近所にはもう一人物好きがいたのか買い占められており、トリープフリューゲル*2/フライングパンケーキ*2/ラーテ/特3号の6個しか持っていない。

パンジャンドラム？ミシン用のボビンでいいんじゃね？
 
更にラーテ以外の3種は飾っている途中に部品を破損してしまったので、元のブリスターパッケージに収めている。という訳で今回はラーテだけ見てみよう。一番お気に入りで一番「奇想天外兵器」らしいのがコレなのでちょうどいい。

まだ試作機として実物があったフライングパンケーキなんかはともかく、このラーテは1942年にプランが提出されたのみで大雑把な完成予想図的なモノが残っている程度だとか。
今風に言えばプレゼン段階のモノしか残っていないと言った感じだろう。

 現在具現化されている「ラーテ」の姿も十人十色。あるゲームに登場するものから、CGによって想像されたもの、更にワンオフの模型としてフルスクラッチされたもの。実現しようとすればある程度近い姿というか「イメージ」になるものの履帯の数や副砲の有無、全体のシルエットまで多彩だ。

ここまでくると「ラーテ」というお題をベースにした創作兵器状態。そんな中でもこの「奇想天外兵器版ラーテ」は遊び心も入った戦艦風のスタイル。このままボス兵器としてゲームに登場させてもいいんじゃないだろうか。

 シャルンホルスト級巡洋戦艦の主砲28cm砲を2門搭載」という点をベースに「それを搭載できる陸上車両はどうなるのか」という観点で作られたそうな。サイズは全長35m、全幅11mで十分バケモノだが、主砲駆動部を考慮した結果か、他のラーテ「想像図」に比べるとかなり背の高いシルエット。解説によれば1000tどころか2000tにもなりそうな勢いだとか。

更にどうせならと主砲の上や側面には対空機関銃、戦艦らしく測量機とサーチライト、おまけにマストまでついている。更に試作された中では最重量戦車である「マウス」の主砲塔を2個副砲として搭載、カラーバリエーションによってはこのマウス砲の代わりに高角砲を装備しているモデルもある。

そう、カラーバリエーションだ。これは企画側も迷ったようで、普通の戦車のように迷彩にしたところでこんなでかぶつ「何の為の迷彩なんだ」という事になる。という訳でコイツは開き直りの戦艦ビスマルク風塗装で、砲塔上面も赤だ。

 
履帯も合計8本という大サービス。1個くらい千切れてもなんとか走れそうです。
 解説の方でももちろん足回りの弱さは指摘されているが、そこにこう続いている。「ラーテが動けなくなった場所が戦場になる」と。確かにそうだ。
 

大戦初期に街道上に陣取って動けなくなってもドイツ軍を釘付けにしたKV-II戦車どころじゃない。こんなものが止まっていたらそこがもう要塞だ。

 どうも立体物・イラスト・書籍に限らずミリタリー系というのは細かい考証や正確さを重視する傾向が強く、インターネットで簡単に情報が収集できるようになってからその傾向に拍車がかかっている気がする。このシリーズも「邪道」だろう。

という訳で細かい事が苦手な私はミリタリー系に関してオナカイッパイというかギブアップ状態なのだが、これくらいフリーダムな謎兵器を見ているのはやはり楽しい。何よりこんなとんでもねえシリーズを立体化…ましてや商品化するという関係者とタカラの度胸…じゃなかった努力には頭が下がる。


余談だがこのラーテ、1/700という艦船模型サイズになっている。何せ戦艦ですから。そのせいで5種の中で一番でかい元ネタなのに一番小さい。ワールドタンクミュージアムよりも小さい。

次は1/350、最終的には戦車にあわせて1/35だな！！（ヤメテ