レビューメディア「ジグソー」

3ピース。バンド形態の原点。この歳にしてこの輝き。

所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストとして、プレイヤーとして、年を経て、歳を積んだ人達。そうなったときに、若い頃のままの栄光にしがみつこうとする人もいますし、後進を指導する立場になり一線から退く人、さらにはフッツリと消息を聞かなくなる人など様々です。そんななか、商売でもなく栄光でもなく「音楽を愉しむ」ことに軸足を移し、若い頃とはまた違った輝きを魅せる人達がいます。そんな粋な人生を送る人の作品をご紹介します。

Char。日本において知名度、人気、テクニックなどが高いレベルでバランスしているギタリスト。若い頃

は現在でも演奏される「Smoky」はもちろん、「気絶するほど悩ましい」「闘牛士」など、今で言うJ-POP/ROCK路線の歌を歌い、アイドルっぽいイメージの時期もあったが、その後のJOHNNY, LOUIS & CHAR（PINK CLOUD）

でのシンプルなロック、PSYCHEDELIXのよりテクニカルなロックと、ロックの純度を上げながら息の長い活動をしてきた。

当初にある程度売れて名声を得てしまったからか、「売れる」ことにあまり執着していないようで、30代の一番の働き盛りに自己レーベルからの作品発表にしたり、肩の力を抜いたツインアコースティックギターのユニット（BAHO－馬呆－）を石田長生と立ち上げたりと脂ぎっていないのがイイ。

でも色気はたっぷりあって、イイオトコ。40過ぎのオッサン盛りでもこんな感じ。

そんな彼も現在（2012年11月）57歳。再び起こした自己レーベル“ZICCA”で作品を発表し、地元のライヴハウスで気心の知れた仲間と演奏し、息子（JESSE）とセッションし、時にホールでライヴる。

そんな自然な形で音楽を愉しんでいる。そういう意味では近年自己レーベル（335Records）での作品発表と、息子（Travis）との共演が多いアメリカのスーパーギタリストLarry Carlton

と奇しくもよく似ている。

これはそんな彼が、最近取り組んでいる「TRADROCK」なるシリーズ。例えばThe Beatles

やClapton、Zepperinなど「ギタリスト視点で」偉大な功績を残したロック・ジャイアントをCharが3～4ピースの構成でソリッドに演る、そんなシリーズ。基本DVD+CDの形態のリリースで、DVDは一発録りのスタジオライヴでCDは多少オーバーダビングや加工がされて作品として仕上げたもの、という構成だった。そのシリーズについに来たのが「“Char”by Char」。つまりセルフカバー。以前の名曲が、肩の力を抜いた演奏で蘇る。

DVDは2011年春の日比谷野外大音楽堂でのツアーファイナルが収められる。一方CDには比較的同じ曲順で、ツアー中のベストテイクが収録されている。「間」を共有することを楽しむDVDか、曲を満喫するCDか。一粒で？二度美味しい。

「Wasted」。古田たかしのパーカッションはセンターだが、ベースは左、ギターは右に位置する3ピースライブ。Charのピッキングの上手さが光る。生ギターが巻き弦の揺れでバシバシ指板が鳴っている。ソロもコード楽器が一つなので、自分でソロのラインを取りながらコードも入れる、コードカッティングソロといえるもの。近さが、生っぽさが、息づかいが良い。
ベースソロの時はギターのボディを叩いて盛り上げる
ベースソロの時はギターのボディを叩いて盛り上げる
名曲「Smoky」は。カホンとエレクトリックアコースティックベースをバックに、ちょっとジャズっぽくスパニッシュタッチに粋に始まる。生ギの「Smoky」って意外でいいな。例の♪ﾝチャッチャッチャッ、ﾝチャッチャッチャッ♪の後にコードハーモニクスを挟んだりして．．．カッコイイゼ！！澤田浩史のベースソロはチョッパーレスで指弾きオンリーだけどグルーヴィ。ソロ最後の茶目っ気たっぷりのグリスアップで、Charが声を出して笑いかけるのが、まさにギグ！！ラストのアーミングのような音はCDではどうやってるんだろと思ったが、DVD見るとネック曲げてたｗ力でｗｗ
DVDではボディとネックに手をかけて曲げてアームダウンのような音を出してるのが確認できる
DVDではボディとネックに手をかけて曲げてアームダウンのような音を出してるのが確認できる
「Shinin' You Shinin' Day」。ドライヴィンなランニングベースからはじまり、それを会場の手拍子が支える。後半のベースとギターのフルユニゾンの部分は、会場から自然と♪Yeah！♪のかけ声が入る。さすがCharのファン、きちんと終わるところもピッタリ！アットホームな阿吽の呼吸の演奏だ。

他にもDVDには雨の日比谷の野外ステージに集まったファンを気遣って「前座バンド」と称してChar自身が開演予定時刻前に予定外の曲を演奏したり、アンコールには「Hade Hendrix」と銘打ってジミヘンの曲をやり、演奏終わった彼に客席から「どこ行くん？」の声に「もぅ帰る！ｗ」という様な掛け合いもあり、ほんとに自然体。

音楽を愉しんでいるというのがアリアリ。
この企画は彼の芸歴35周年記念でもある。それを記念したピック付ｗ
この企画は彼の芸歴35周年記念でもある。それを記念したピック付ｗ
こういう歳の取り方をしたいね！

【収録曲】
<DVD>
1. Wasted
2. Get High
3. You're Like A Doll Baby
4. Smoky
5. Zig Zag Zone
6. I've Tried
7. Song In My Heart
8. からまわり
9. 空模様のかげんが悪くなる前に
10. Wondering Again
11. Apple Juice
12. Opening Act (Special Features)
「Scooter」「Balcony」「Restaurant」「Shinin' You Shinin' Day」
13. Hade Hendrix (Special Features)
「Wild Thing」「Hey Joe」

<CD>
1. Wasted
2. Get High
3. You're Like A Doll Baby
4. Smoky
5. Shinin' You Shinin' Day
6. Zig Zag Zone
7. Wondering Again
8. Cosmic Pitch

zicca.net 該当商品ページ（試聴ファイルあり）

  • 購入金額

    3,500円

  • 購入日

    2012年06月頃

  • 購入場所

    新星堂

15人がこのレビューをCOOLしました！

コメント (2)

  • cybercatさん

    2012/11/21

    リーダーさん、
    ＞こういう生き方憧れますなあー
    しがない会社勤めには夢のような生き方でございます(ノД`)

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