登録がかなり遅れてしまったが、こちらのAMD A6-5400Kレビューで使用したマザーボード。
ベンチマークやOCによる性能変化等は5400K側のレビューで書いております。
MSI製のソケットFM2マザーで、Mini-ITXサイズ。チップセットはFM1時代から採用されているA75を搭載。FM2用のチップセットというとFM2と同時リリースされたA85チップセットがあるが、主にCFX等拡張性に関する項目の強化なので、小型プラットフォーム向けならA75で十分。
…ASRockはA85搭載ITXマザーというステキなものを出しているが。
最近MSI製マザーが3連続で増えているという、元々マザーのメーカーはばらけさせる私にとっては異常事態。以下レビュー中で「Z77」「B75」と名前がでてきたらコイツらの事です。
APUのメリットと言えば、外部GPU無しでもゲームができるというローコスト加えて、ITXや薄型ケースを使った小型PCでも性能を維持できるという点。安さを重視すればもっと廉価なM-ATXマザーがラインナップされているのだが、今回は是非ITXで行きたかったのでAPU側の予算を抑えた代わりにマザーボードをITXにすることに。
しかしITXでFM2のマザーというとASRock・ZOTACとこのMSIくらいしか店頭にはない。
で、ASRockのそれは常識に囚われない特殊配置。変わりモノ大好きの私としてはむしろ魅力的なのだが、残念ながら搭載を予定していたITXケースのレイアウト上、ASRock配置だとシビアになる可能性が。ZOTACは予算オーバーでコチラに確定に。美星藍もついてくるし!
今回はAPUとセット割引で実質7990円で入手したのだが、その値段を考えるとかなりコストパフォーマンスが高い一面も。
付属品はB75同様シンプル。ドライバCDに解説書類、SATA3ケーブルが2本にI/Oパネル。特記するべきは後述のアンテナくらいか。
比較的廉価なITXマザーでありながら、オンボード機能は充実しており、Bluetooth 3.0+HSや無線LAN(IEEE802.11 b/g/n)ユニットを内蔵。無線LANは背面IOに張り出しており取り外しは不可能。これが意外とケースに収める時(特にITXはスペースが無いので)ひっかかるが、収めてしまえばありがたい存在。
この2点だけでも後から追加しようとしたらそれぞれ1000円程度+USBポートを潰す事になるのでコスパの良さが伺える。
で、これが付属の専用アンテナ。ケーブルが接続されたマグネット式の土台と、L字型のアンテナのセット。L字アンテナを直接背面のモジュールに接続することもできるし、マグネット式の土台で任意の場所まで延ばす事も可能。
ただアンテナ無しでもそれなりに感度があるので、無しで使える環境もあるかもしれない。我が家の場合設置場所とPCの向き次第といったところなのでアンテナは繋いである。
背面IOは先述の無線LANユニットに加えて、PS/2ポートを備えているのもうれしい。eSATAはA75チップ直結、有線LANはRealtek RTL8111Eだ。
一方画面出力はD-SubとHDMIという1つ飛ばした感のある構成。最近DVIがあるPCばかり触ってきたのでどっさにつなごうとして「アレ?」となってしまった。まあD-Subアナログモニタが跋扈している我が家では大した問題ではないのだが。
CPU周囲の構造物は低く抑えられているので、メモリとに干渉に気をつければ一般的なCPUクーラーは装着可能と思われる。但し専用バックパネルのクーラーの場合は背面も要確認。
標準バックパネルに沿うような位置で厚みのある部品が実装されているのだ。
まあ結局今回はケース側の問題で搭載可能クーラーが限られる事になってしまったのだが。
2本のDDR3スロットはDDR3 2133までの対応が謳われ、片ラッチ式。後述するがUEFIバージョンを上げる事でDDR3 2400設定も可能になる。
AMDの強みとも言えるフルSATA3構成は4ポートとITXマザーとしては十分。USB3.0ピンヘッダも備えるので背面とあわせれば4ポート使用可能だ。これ以上SATAが欲しかったらASRockのFM2A85X-ITXを選ぶ事になる。
写真右側の黄色いヤツはボタン電池。切れた場合はコネクタつきのものを買うか改造するしかない。恐らくIntel DH77DFと同じタイプだろう。
チップセットヒートシンクはB75モデルと同じような小さいもの。ITXのお決まりとしてCPUから対角線上にあるので風があたるか心配だが、せまっ苦しいITXケースでOCしても大丈夫だから大丈夫なんだろう。たぶん。
ファンコネクタはPWM4pinが2つ。どちらもファンコントロールが可能なので、一つをケースファンに回してもよし、デュアルファンタイプのCPUクーラーにしてもよしだ。
UEFIはインテルプラットフォームのZ77&B75と共通。F12でスクリーンショットも撮れるので、減色圧縮はしたが、原寸のものを置いて見た。
さすがに3枚目となるとこのレイアウトにも慣れてきたので違和感は無いのだが、相変わらずOCGeineと通常項目の組み合わせはわかりにくい。
また電圧周りの設定は大雑把なので、あくまで定格向きといった感がある。例えばメモリの電圧は1.35/1.50/1.65/1.80の4段階。そしてCPUコア電圧は…
項目が無い。画面の関係で2枚のSSを合成したものだが、カットしているわけではない。とにかくそれらしき項目が見当たらない。
B75マザーを触った時と同じような感覚…いやそれ以上に弄れる項目は少ない。変な設定をして起動不能に陥る可能性も少ないちゃ少ないが、ASRock辺りを触った後だと「え、コレだけ?」という感が。あくまで定格運用向けだ。
付属ユーティリティもZ77・B75と同様のパターン。ClickBIOSの起動の遅さは相変わらずで、起動は早いが設定齟齬が発生するASRockとどっちがいいかは微妙。一方OS側からのUEFI起動を強制できるFastBootは今回も活躍。Windows7でも8のようにUEFI強制呼び出しを可能なのは便利なのだ。
DVIが無い点と、UEFI設定項目が少ない点以外はスペック通りで癖が無い。定格運用コンパクトマシン向けとして、十分+α機能を詰め込んだマザーでありながら、最近のMSIマザーのご他聞に漏れず、アイドル消費も低く抑えている。
参考:別レビューで使用した電力グラフ。5400Kがこのマザー。
そもそもFM2のITXの選択肢が少ないので比較対象が少ないのだが、もしライバルが多かったとしても、この機能でこの価格は大きな武器になってくれる。
グラフィックボード無しでそれなりの3D性能・動画再生支援性能を持ちつつ廉価なAPUと、小型プラットフォームのITXの相性は抜群で、今まで3D周りでは妥協せざるを得なかった小型ケースでも3Dゲームプレイの道筋が見えてくる。A10等上位モデルを使えば更に期待できる。
小さい・安い・そこそこゲームも出来るの3拍子揃ったコストパフォーマンスの高いマシンを組むにはピッタリのマザーだ。
問題は廉価IntelCPUの性能がどんどん底上げされてきている点と、もしグラフィックボードをさした場合はDualGraphicsを除いて内部GPUが無駄になってしまう点等、APU自体が抱えているジレンマか。
…とかなんとかいいながら5400K側のレビューではCPU TurboBoost MAX 4.4GHz、GPU 1013MHzという結構ぶっ飛んだクロックをかまして、FF14新生版ベンチでは3710pt→4750ptとかなりのスコアアップをかましている。
元々Trinity自体がオーバークロック耐性の高い傾向のあるAPUとはいえ先述のとおりCPUコア電圧を弄れないマザーだ。
OCGeineモードも一応ついているという程度なので、Z77A-GD55と異なりむしろ標準モードの設定をいじくった方が判りやすい。
…つまり電圧いじれないのにTB MAX 4.4GHzまで回ってしまったという事。
このA6-5400K、元々2コア=1モジュールしか搭載していないAPUなので、TurboBoostMAX状態…「Adjust Max Turbo Core Ratio」に設定したクロックにかなりの頻度で上昇する。「Adjust Turbo Core Ratio」も4.2GHzまで引きあげているので、ゲーム系ベンチ等では4.2~4.4GHzを維持するような挙動になる。
一方TB無し状態…「Adjust CPU Ratio」の項目はAuto…つまり定格の3.6GHzのままだが、なんか実際の動作ではスルーされている事が多い。
CPU側のTBMAX時4.4GHzは実はまだ余裕があり、やろうと思えば4.6GHzでも起動は確認した。但し4.5GHz以上の設定にするといきなりCPUコア電圧が上がりだし、温度も上がり、小さなITXケースでは厳しくなってしまう。
恐らくこのマザー、電圧設定項目が無い代わりにクロック相応の電圧を自動的にかけるような挙動を示すのだろう。
というわけで許容範囲…というか定格動作時と電圧が変わらない範囲でいけるクロックが4.4GHzだったと言う訳。なのでA6-5400KレビューでOC時と定格時で殆ど消費電力に差が出なかったのだ。
GPU側も電圧は弄れないのだが、今回の環境だと1013MHzを越える設定にするとCPU側のクロックを下げるなり何なりしないと不安定になったので、CPU・GPU双方がバランスよく動ける答えがA6-5400Kレビューで使用した「MAX Turbo boost4.4GHz / GPU 1013MHz」というスコアだったわけだ。これも定格は760MHzなのだから増え幅は大きい。
さてメモリ側。メモリ側は先述の通り電圧選択式になっており、Z77&B75と同じタイプ。但しAMDプラットフォームながらXMPの取得が可能になっている。
使用したメモリはIntelプラットフォームでの使用が推奨されたDDR3-2400対応品。APU環境における高クロックメモリの恩恵が大きい事はA6側で紹介したとおり。しかしこのマザー、公式サイトではDDR3-2133までの対応で、UEFIでも選択肢さえ出ず2133まで。ところがUEFIバージョンを上げる事で2400の選択肢が出るようになった。
しかしXMP指定の設定(DDR3 2400 10-12-12-31)ではOS起動でコケて、その後メモリタイミングの数値を異常に大きくしてなんとか起動・ベンチマークが出来る程度。これでは2133動作とスコアは差が無いどころかヘタしたら逆転する上に、不安定さが残るという事で2400は断念。2133動作で。
市販されている2133メモリのXMPに似せて10-11-11-30に設定したが、この状態だと驚くほど安定する。今回はあからさまにIntel環境推奨メモリを使用したので、他のメモリなら2400動作が可能なのか試して見たいが、お財布がきつい。元々マザーの仕様外なのだからむしろ可能性を残してくれた事に感謝すべきか。
ちなみにこの後CPU・GPU・メモリをそのままの設定でサブ機として常用したが1ヶ月の使用でなんら問題は無い。発熱こそ定格にくらべて大きくなるので、ある程度考える必要があるが、ATOM向けの旧型ITXケースという悪条件でTERAをぶん回せたのだから一般的なケースや社外クーラーを使用すればもっと余裕は出るだろう。
設定項目こそ少なく細かく出来るのはメモリくらいだが、逆を言えば倍率指定だけで簡単にOCができるので、K型番APUオーバークロックを試して見たいという用途に十分いける。
というか、小さなITX機と6000円のCPU(APU)で倍率可変のオーバークロックが遊べるとは。
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購入金額
7,990円
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購入日
2013年03月15日
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購入場所
TSUKUMO
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