レビューメディア「ジグソー」

バランス重視でオールマイティー! エアーフローを味方にしたファンのファンになる

一言で言えば,このAF120 PERFORMANCE EDITION(以下,AF120 PE)は,バランス重視で,オールマイティーに使えるファンです.

風量と静圧
風量と静圧


まず,お勉強しましょう!
風量と静圧
ファン特性
ファン特性

今回のレビュー対象は,PCケースファンなので,空気を対象にして考えます.

【風量】
風量は,単位時間あたり,どれくらいの量の空気を送ることが出来るかになります.
たとえば,1分間あたり,1立方平方メートルの場合,1m3/minとなります.
PCケースファンの場合,CFMという単位ですが,これはキュービック・フィート・パー・ミニッツなので,1分間あたり,何立方フィートの空気が送られるかになります.
CFMからm3/minへの換算は,35.3で割ればよいです.
CFMからの換算では,1.7倍したm3/Hrの1時間あたりの方ががわかりやすいかも知れません.

【静圧】
静圧は,静止した空気を押す力,静的な圧力になります.
単位は,Paやmm・H2Oが使われます.Pa(パスカル)は,天気予報でも登場します.
mm・H2Oは,空気が水を押す力に直した場合,どれくらいの高低差が生じるかを表したものです.理科の実験で使用した水銀計の水銀を水に置き換えたものになります.
この静圧が大きいほど,抵抗成分があっても,空気を送る量が落ちにくいことになります.
たとえば,ファンフィルターやラジエーターフィンなどが抵抗成分になります.
いくら風量が大きいファンでも,ファンフィルターを通すと,いきなり風量が取れなくなるのは,この静圧が低いためです.
最大静圧は,閉じた空間で風量ゼロの場合に得られる静圧となります.

以上を踏まえて,風を科学するCORSAIRのページをご確認ください.
風を科学する


結論
結論


では,いきなりの結論です.
以上のことから,PCケースファンは空気を送ることで冷却を促すものですから,大量の空気を送ることが出来るほど有利です.
開放型のPCケースやファンフィルターなどがない場合には,静圧はあまり考えずに,大風量のものを選択しましょう!
 ⇒AF120 Quiet Editionが最適です
  140mmファンが取り付け可能なら,より大風量のAF140 Quiet Edition が,さらにお勧めです.
一般的なPCケースでは,風量と静圧のバランスが取れたファンを選択しましょう!
 ⇒AF120 Performance Editionが最適です
  140mmファンが取り付け可能で,静音重視なら,AF140 Quiet Edition が,お勧めです.
CPUクーラーやラジエーターの冷却には,静圧が高いものを選択しましょう!
 ⇒SP120 High Performance Editionが最適です.
  この場合,パフォーマンス重視ですので,静音は2の次になりますので,多少の犠牲は必要です.

では,肝心の本レビュー対象ファンAF120 PEの位置づけは?
ここから,検証開始です.

予備実験
予備実験


AF120 PEがどんなファンなのか,検証実験を進めます.
いつもながら,文章量が多いため,お時間の無い方は読み飛ばしてください.写真やグラフだけで雰囲気は掴めます.


AF120 PEのレビューとしては,フロントファンと,CWCH100のラジエータファンの比較を行います.
実は,どちらも純正汎用ファンとして流通していないため,仕様がはっきりしていない部分があります.特に,フロントファンの仕様は全く不明です.推測1000rpm程度の一般的な静音ファンに分類されるものだと思います.
CWCH100に付属するファンは,オリジナルの3ピン高速/高静圧ファンで,2600rpm時には92CFM,7.7mmH2Oという性能ですが,39dBもあるため,うるさいです.
このため,SCYTHE SLIP STREAMというPWMファンに交換し,マザーボードのCPUファンコンを利用しています.
SLIP STREAMは,PWMファンなので,静圧も最大2.3mmH2Oと高いです.可変ボリュームも付属しているため,さらに回転数を抑制することも可能です.
CWCH100は,ラジエータ面積が大きいため,大風量のファンは必要ない感じです.純正ファンでも,1300/2000/2600rpmで比べて,大きな冷却温度差はありません.

【実験①】
AF120 PEをいろいろなファンと比べてみます.
ファンの性能を表す風量,静圧,ノイズに関して,数字で比較するのは,個人レベルでは難しいです.
そこで,いろいろなファンと目で見てわかるように,比較してみました.
風量は,ファンガードに取り付けたティッシュペーパーのはためき具合で比較します.
静圧は,ファンフィルターが有るときと無いときで,風量にどれくらい差が出るかで比較します.
ファンフィルターは,これを4枚重ねにしてみました.



比較するファンは,こちら.
120mm FAN いろいろ
120mm FAN いろいろ

数が多いので,いちいち紹介はしませんが,この中から,代表的なものだけを,抜粋します.
各ファンの回転数は異なりますが,電源12V時で比較しています.

AF120 PE
AF120 PE

UCTB12
UCTB12

ANTEC 2
ANTEC 2

ANTEC 3
ANTEC 3

F12 PWM
F12 PWM

NMB 38mm厚
NMB 38mm厚

CWCH100用冷却ファン
CWCH100用冷却ファン


ファンフィルターを4枚重ねで検証しましたので,静音重視ファンは風量が取れない状態になってしまいました.
その中でも,PWMファン最強のF12-PWMや38mm厚ファンは,さすがの性能です.CORSAIRのCWCH100用冷却ファンも2600rpmと高速なため,静圧も高いです.
AF120 PEも健闘しており,風量が取れなくなるような性能ではありませんでした.
AF120 PEは,風量と静圧のバランスが良く,静音にも配慮してるファンであることがわかりました.


【実験②】
ファンの力比べをしてみます.
ファンモーター性能に依存しますが,ファンとしての総合性能としてみることが出来ます.
ファン同士を背中合わせ(引き合う方向)にし,ファンの回転数変化を見ます.
AF120 PEより高回転ファンの場合,AF120 PEに合わせた回転数での勝負も行いました.

120mmファン綱引き(最大回転数同士)
120mmファン綱引き(最大回転数同士)


120mmファン綱引き(同一回転数同士)
120mmファン綱引き(同一回転数同士)


回転数変動量が少ないほど,静圧重視のファンです.

高回転型のF12-PWMとCWCH100用冷却ファン以外は,AF120 PEの圧勝です.低回転型の静音ファン相手ではもちろんですが,同一回転数タイプの類似ファン相手でも快勝です.
同一回転数では,F12-PWMといい勝負,CWCH100用冷却ファンには勝っています.

これらのことからも,風量と静圧に関しては,バランスが良く,トップクラスの性能であることがわかります.


効果
効果


【実験③】
ここからは,実用的な検証をします.
使うPC構成は,こんな感じです.
PC SPEC
PC SPEC


使用したPCケースは,CORSAIRのCarbide 400Rです.


エアーフローはこんな感じになっていました.
400Rファンレイアウト
400Rファンレイアウト


今回はファンのレビューですので,比較対象以外のファンは停止させました(季節柄もあります).フロント×2,リア×1,トップのラジエーターファン×2のみとしています.
フロントファンのみ純正のまま(コネクタが特殊でLEDのON/OFFが出来なくなる)使用しており,他はすべて交換しています.

まず,フロントファンを純正からAF120 PEに交換してみます.
この時,ファンの差をどうやって検証するか難しいですが,CPU/GPUの温度で比較してみます.
OCCTとFF14ベンチ(High)を実行したときの最大温度を調べます.
純正ファンもAF120 PEも,ファンコンは介さず,12Vのまま使用します.

LED付きオリジナルファンです.
オリジナルファン
オリジナルファン


AF120 PE(赤フレーム)交換後です.
AF120 PE交換後
AF120 PE交換後


ただ,折角のカラーリングのフロントカバーを取り付けてしまうと,代わり映えしません.
フロントカバー設置後
フロントカバー設置後


OCCT(Power Supply)とFF14(High)のベンチ結果です.CPU0~CPU3のmax/minの温度を表しています.

PCケースフロントファン交換
PCケースフロントファン交換


排気ファンがリア×1,トップ×2があり,サイドもメッシュ構造のPCケースですので,フロントファン交換の効果は確認できませんでした.
検証が,寒い時期であったことも影響していそうです.
ただ,ファンノイズに関しては,純正の静音ファンのほうが有利でした.
AF120 PEの場合には,マザボのファンコンを利用するか,別途ファンコンで制御した方が良さそうです.

【実験④】
更にラジエーターファンに使用した場合には,どれくらいの効果があるか検証します.
ラジエーターファンをPWMファンからAF120 PEに交換してみます.あわせて,CWCH100純正ファンも比較します.
OCCT(CPU)で,CPUに負荷をかけ,温度比較します.
ファンの回転数は,1000rpm固定とマザーボード制御(標準)の2種類で行います.
CPUは,4.3GHzにオーバークロックしています.

CWCH100用冷却ファン交換
CWCH100用冷却ファン交換


ラジエータの場合,フィンを通り抜けるための静圧が必要になります.
この静圧はPWMファンが有利で,純正の高速回転型ファンも高静圧なので有利なのですが,CPU温度は最大で5℃くらいの差でした.

すべて1000rpm固定にした場合には,ファンの差はほとんど無くなり,ほぼ同じ能力でした.
ただ,大風量&高静圧=高冷却=うるさいという公式は成立していますので,バランスが大切です.

これらのことから,AF120 PEは,CPUクーラー冷却ファンとしても使用可能であることがわかります.


【着飾るという新提案】
最後になりましたが,AIR SERIESの新提案,カラーリングについて,見てみます.
まず,一般的なの黒フレームファンの場合は,地味です.
黒フレームファン
黒フレームファン

赤フレームの組み合わせです.リアファンにAF140 QUIET EDITION,トップファンにAF120 PERFORMANCE EDITIONを使用しています.
一瞬にして,CORSAIRカラーに変わりました.
赤フレーム
赤フレーム

同一ファンのまま,青フレームに交換してみます.
あら,不思議.ASUSのマザーボードとマッチして,とてもお似合いのカラーリングになりました.
青フレーム
青フレーム


このように,カラーリングの効果は,思いの外ありました.
着飾るという新提案にふさわしい仕様です.


AF120 QE 結論
AF120 QE 結論




謝辞
リンクスインターナショナル様,zigsow事務局様,この度は,プレミアムレビューの機会を与えていただき,ありがとうございました.
また,おものだちの皆さんをはじめ,いつも拙いレビューを読んでいただいている皆さん,ありがとうございます.

コメント (4)

  • ナンチャンさん

    2012/12/06

    すげぇーレビューだ!!

    お疲れ様でした!!

    未発売確定!?
  • リーダーさん

    2012/12/06

    さすがのレビューですね
    実際にふわふわしてる~~
    カラーリングを統一したりするのは楽しそうです(^^
  • harmankardonさん

    2012/12/06

    ナンチャンさん,コメントありがとうございます.

    文章量が多くてすみません.
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