このファンはCorsair SP120シリーズの静音ファン、SP120 Quiet Editionのプレミアムレビューになります。
今回、お礼などを載せる場合は文章の最後にしてね、と募集要項に書いてあったので、今回は最後に乗せておきます。
(一応、おことわりだけはここに書いておきます)
さて、では早速開封していきましょう。
ケース本体のほかに、付属品として、
・説明書(黒と赤の計2枚)
・2色のリング(赤と白)
・ねじ(ファンの固定用)が4つ
・電圧変換用コネクター
が入っています。
何より特徴あるのは、やはりこのリングですね。
とりあえず、私は白に交換してみることにします。
交換方法は
丸を付けた場所(4つ)に引っ掛ける爪があって、そのあたりを押し込んで、引っかかっているのをはずしてリングをとります。
つける場合はもちろんその逆で、爪を穴に入れて引っ掛けます。
どちらの作業もリングをすこし力を入れるのですが、あまり入れると割れるので、優しくやってあげましょう。
さて、最大のギミックの紹介はこのあたりにしておいて、今度はファンのスペックのほうに目を向けていきましょう。
このファンの特徴ですが、
・静音性にとことんこだわっている
・エアフローは静かさに振っている分、風を直進させることでカバー
・おしゃれもできる(!)
というのが、私が実際にメーカーサイトや代理店(リンクスさん)のページを見て感じたことです。
店で商品を見て、まず目に付くのは外見ですので、3つ目の項目は、非常に面白いと思います。
個人的にはもう一つ、この装飾を導入したことには利点があると思っています。
このファンは、リングをつけている側から、つけていない側に風が流れるので、風を送りたい向きが見ただけでわかるようになっています。
私はPC自作を始めてやったころ、ファンをくるくる回して、刻まれている矢印の方向を見て、不風向きを確認してからつけていたので、こういうわかりやすいギミックがそのころにあったらなあ、と思ってしまいます。
PC初めて組むよ。ケースは買ったけど、ファンがついていないところがあるから、つけようかな?
などという方に非常におすすめできます。
続いては、Quiet Editionと名の付く通り、メーカーこだわりの静音性部分です。
この製品は、ファン自体もスペック上は非常に静かな部類に入る製品ではありますが、それ以上の静音性を実現するために、ギミックを仕込んでいます。
特に目立つのが、ファンの振動をケースに伝えないようにする、ゴムのマウント部品です。
簡単に言ってしまえば、固定したねじからケースが振動して音を出さないように、そこにゴムを挟んで衝撃を吸収してしまおう、ということです。
普通のファンはプラスチックの固定穴になっているのですが、この製品はゴムの固定穴になっています。
実際にケースにつけて動作させてみているのですが、確かに静かにはなっているので、効果はあるのですが、ねじで固定する際に、ゴムの影響で、少しつけにくいという点も、書いておかなければならない点でしょう。
まあ、これははじめの1回だけなので、特に気にすることでもないのかもしれません。
さて、冷却性に関しては、実際に搭載してみないとわからないことなので、ここからは実際に手持ちのファンと比較しながらやっていきたいと思います。
個人的な用途としては、HTPCマシンで静か+冷却性を両立させたいというものなので、今回はこのケースを利用します。
このケースの場合、12cmファンが搭載できるのは、天井部分と側面の板(この画像では取り外されています)の2か所。
しかし、今回の私の用途では、天井はつけられますが、側面はビデオカードが干渉してしまって、つけられません。
どちらの製品でも同じなので、おそらくこのケースの場合、サイドのファンは通常の25mm厚の製品(このファンもそれに当たります)はつけられないということです。
さて、上の写真でもご紹介したように、このレビューは、2つのファンをお借りしているので、当然ながら求められているのは、2つ使った際のこのファンの性能です。
しかし、干渉してしまっては仕方がありません。
今回は、このファンを2つの観点からとらえてみたいと思います。
(1)ケースファンとしてのSP120QE
これがおそらく普通の使い方ですね。先述の通り、ファンは実質1つしか搭載できませんので、普通のケースファンと比較して、このファンの「排気」の性能を調査します。
本当は吸気でやってみたいところでしたが、エアフローが確実に崩壊するので、今回は排気オンリーでやっていきます。
その理由が、主に(2)とつながってきます。
(2)CPU冷却ファンとしてのSP120QE
PWM対応でないこの製品は本来はCPUクーラーに使う製品ではないという個人的な考えがどうなのか、今までで買ったCPUクーラーに付属してきたファンや、通常のケースファンと比較しながらやっていきます。
今回使用するクーラーは、実際の項目のほうに乗せてありますが、空冷クーラーです。
水冷クーラーはどなたかがやるだろうと思っていますので、私はそちらでやってみたいと思います。
ケースが小さくて水冷クーラーが入らなかったのは内緒。
(1)ケースファンとしてのSP120QE
さて、いったい何をもって排気性能を測るのか、といいますと、
今回は、「ケース内部をどれだけ静かに冷却できるか」ということに注目したいと思います。
できるだけ静かに排気して、ケース内に外気を多く取り込み、最終的にどれだけCPUやビデオカードを冷却できるかを計測します。
<実験環境>
・室温は13℃
・OCCTのPower SupplyのテストでCPU、ビデオカードの両方に負荷をかけ、ケース
内の温度を上げる
・温度の計測は両方ともCPUID Hardware Monitorで計測する
・ファンの回転数は700回転(50%)、1000回転(70%)、1300回転(90%)で計測する
・CPUの最高温度を冷却性能として計測する
・比較対象はケースに元から付属していたファン
ちなみに、このテストは(2)のテストのあとでやっていて、CPUファンの回転数は1000回転で固定しています。
<50%>
CPU:63℃
GPU:94℃
<70%>
CPU:59℃
GPU:92℃
<90%>
CPU:57℃
GPU:91℃
さすがにビデオカードという熱源が近くにあるため、(2)でやった時の結果よりも温度は高くなってしまいます。
ちなみに、ケース付属のファンで計測したところ、
50%→61℃ 70%→57℃ 90%→54℃となりました。
いずれもSP120よりも冷えてはいるものの、その分音はこちらより大きく、
SP120の90%の回転数と、こちらの70%の音が同じくらいうるさく聞こえます。
非常に静音性のパランスが取れています。
(2)CPU冷却ファンとしてのSP120QE
(1)よりも冷却性と静音性が求められます。
私が今回比較に使用するCPUクーラーは、
今回のような背の低い製品や、MiniITXなどのキューブ型のケースなどによく使われています。
さて、今回の計測環境はこちら。
<計測環境>
・室温は13℃
・使用するマザーボード、CPUは以下の品。
・できるだけ環境を同じにするため、ケースの側板は開けて計測
・CPUに負荷をかけるソフトとしてPrime95、温度計測にはHWMonitorを使用
・アイドル時:起動後30分放置したときの温度。負荷時はPrime95を30分かけたとき
の最高温度
・静音性を両立するため、回転数は50%に固定しておく(BIOSにて設定)
今回比較するファンは、この製品の他に、3ピンのケースファンが1種類、4ピンPWM対応の製品が2つになります。
・Silverstone SST-AP121
50%時の回転数:約800回転
最大風量:35.36CFM(1500回転時)
最大ノイズ:22.4dBA(1500回転時)
電源供給:3ピン(PWM非対応)
元祖「風が直進するファン」。今回のファンには一番構成が近く、純粋な比較ができます。
・Coolermaster Hyper 212 Plusについていた付属ファン
50%時の回転数:約900回転
最大風量:76.8CFM(2000回転時)
最大ノイズ32dBA(2000回転時)
電源供給:4ピン(CWM対応)
製品発売時で考えると、この中で一番古いファン。その分静音性が少し心配。
・Thermaltake Contac 30+についていた付属ファン
50%時の回転数:約1100回転
最大風量:72CFM(2000回転時)
最大ノイズ33.2dBA(2000回転時)
電源供給:4ピン(CWM対応)
今回比較する中では唯一のLEDファン。スペック表では一番うるさいはず。
ちなみに…
<Corsair SP120 Quiet Edition>
50%時の回転数:約700回転
最大風量:37.8CFM(1500回転時)
最大ノイズ:21dBA(1500回転時)
電源供給:3ピン(PWM非対応)
さて、まずクーラーのファンレス状態と、比較前のリテールファンの数値を書いておきます。
<リテールファン>
アイドル時:37℃
高負荷時:65℃
<Samuel17 ファンレス>
アイドル時:37℃
高負荷時:65℃
まったく同じ結果が出たのが印象的でした。おお、サミュエルすごいじゃん、と思った瞬間でした。
さて、では本題のファンを搭載したときの温度です。
<Corsair SP120QE>
アイドル時:34℃
高負荷時:45℃
<Silverstone SST-AP121>
アイドル時;32℃
高負荷時:43℃
<Coolermaster Hyper 212 付属ファン>
アイドル時:33℃
高負荷時:43℃
<Thermaltake Contac 30+ 付属ファン>
アイドル時:32℃
高負荷時:42℃
回転数が一緒ではないため、ファン同士の確実な性能差ではないものの、冷却性能としては
Thermaltake>Silverstone=Coolermaster>Corsair
という結果に落ち着きました。
しかしこれはあくまでも冷却性を考えた場合。静かかどうかはまた別の話です。
Corsair=Silverstone>Coolermaster>Thermaltake
これが自分の耳で感じた音の差です。
前二つはほとんど音が目立ちませんでした。若干コルセアの方が静かなものの、これは回転数が影響しているものと考えます。
冷却性能に関しては、この程度のCPUではほとんど変化はないようです。ただ、全体的に、silverstoneの製品が冷却、ノイズともに優秀な結果を残しています。
実際に枠外で風の直進性をティッシュでやってみたのですが、直進性はやはりSilverstoneの方が上です。
ただ、これはあくまでも低回転数の時の話。回転数が高くなってくると、silverstoneの製品はやかましくなり、コルセアの方が静かに聞こえます。
このファンをしばらく計測して思ったことは、
低回転では性能を生かしきれない。このファンが性能を発揮するのは1000回転をオーバーしてから。静かなファンの割にはそれなりにパワーがあるので、そこで固定すれば、静音性と冷却性のバランスがとれる。
ちなみに、製品すべての発熱が低い場合は、低回転でも充分なので、静音性に振ってあげればいいと思います。
さて、というわけで実売約2000円の静音ファンは激戦区で、
強力なライバルとして、ENERMAXのあのファンがあります
↑あれ(ENERMAX UCTB12)
このファンが風量(42.11CFM)、ノイズ(最大21dB)とこのファンのほぼすべてを上回り、しかも評判も上がってネームバリューがある以上、これを超える売り上げというのは厳しそうです。
少なくとも、これ以上のスペックがほしかったところです。
ただ、スペック差を補うようなギミックの数々は、着眼点としては面白いので、ある程度経験を積んだ後、どれくらいの後継品を出せるかに注目したいと思います。
もしPWM対応の製品が出たら、私は買ってみようと思います。
最後になりましたが、今回製品を提供してくださったzigsow株式会社の運営部の方々、そして、製品を提供してくださったリンクスインターナショナルの皆様に、深く御礼を申し上げます。
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