オーディオなんちゃってマニア道。
オーディオ道は入ると底なし沼であることがわかっているので、「なんちゃって」ですがそれでも一般の人から見ればずいぶん金をかけているかもしれません。
それもどちらかと言えば、作り手のこだわりのある(物好きな)、古いと言われながらもガンコに王道を行く(かたくなな)ものに惹かれる傾向があり、そんな作り手の気持ちが入った「作品」に出逢うと嬉しくなります。
どんなジャンルの商品でも、最低ランクからグレードが上がるにつれて、基本的な性能が上がっていく段階と「次の」段階がある。一般に求められる性能をクリアし、計測機器やその道の専門家やエンスージアストでないと違いがわからない領域になるにつれて、「次の」段階は二つの道に分かれるように思う。一つはあくまでも性能追求の道。とことん要求性能を磨き、そのものに求められる最高を純度で追求するタイプ。あとひとつはそれならではの味わい、特色を追求するタイプ。いわばナンバーワンとオンリーワン。どちらの比重が大きいかは分野によって異なるが、オーディオ機器、特にスピーカーやヘッドホン、イヤホンといった「音の出口」に関しては後者が多いように思う。
オーディオブランド“Carot One”。このイタリアのOpenItem社のブランドはPCでの使用に合うような小型のアンプを得意としてきた。“Carot”の名の通り、ニンジン色のアルミ外装を持つオシャレなデザイン。それでいてその小ささからは信じられない味がある高音質な音を紡ぎ出す。ただしその「高音質」は必ずしもカタログスペック上の高性能、ではない。
“Carot One”は真空管をデバイスに使ったり、オペアンプに高音質で有名な「MUSES 02」を用いた限定モデルを出したり、とにかく凝っている。そしてそこから出てくる音は「音楽」だ。作り手の意志が見える。「いい音だろぅ?これがいいと思うんだよ!!」という感じ。自分(達)が良いと思うものを提供してくる。そういう意味では変態CDプレイヤー「MUSICAL FIDELITY CDT-S COMPACT DISC PLAYER 10th Anniversary」
に近いものがある。
そんなコダワリのメーカーからでた最初のイヤホンが“Carot One TITTA(チッタ)”。
「ROCK SOLID Metal Ear Cup」と呼ばれるアルミハウジングに、ドライバー口径11mmのダイナミック密閉型。音質を狙ったイヤホンが中域の解像度や高域の伸びに優れるBA(バランスドアーマチュア)型を選択することが多いのに反して?、低音の充実度や音場の広がりを美点とするダイナミック型を採る、というくらいしか前知識がなかったが、購入店で試聴し好感触だったので購入した。
家に帰って開封。やっぱりオレンジ色の、でも形はチョコレートか煙草の箱みたいなパッケージに入ったイヤホンを取り出す。
試聴機で判っていたとはいえ、まず驚くのがその外見。ハウジング(と左右のラインが分かれる部分)はコーポレートカラー?のニンジンメタリックwに輝くアルミ製。そしてそのイヤピースとケーブルは青!それも紺とかブルーグレーなんかじゃなく、ド青。このオレンジと青の補色関係のカラーリングが目に飛び込んでくる。
手に取るとその感触もまた独特。ケーブルがTPE(熱可塑性エラストマー)という素材で、プラスチックとゴム双方のメリットを持つという。絡みにくい、という事だが、そのぷるんぷるんした感触が楽しい。普通のケーブルよりずいぶん弾力があり、「ベタベタ」ではないが「ペタペタ」というような摩擦の大きさがある。スーパーボールのような弾力??
その「ド青」のイヤーピースは予備があるが同一の大きさ。サイズの差は無い。材料的にはシリコン系だと思うが少し薄いのか耳への密着性は結構良い。ただcybercatの耳にはキモチ大きい感じ?ほとんどの国産イヤホン⇒例
のイヤーピースは特に標準のもので全く問題ないので、イヤーピースが大きい??
ただ薄めで可塑性が強い?ので耳にグイっと押し込むと結構密着はする。
肝心の音。これが.....楽しい!明らかにHi-Fiではない。下は伸びきってはいないし、超高域もない。ややカマボコの上下が伸びきっていない状態。しかし中低域の「色」の充実がすごい。超高音がない代わりに低次倍音の領域の艶!広がり「感」も十分ある(実際にはそんなに広くない)。大編成のオーケストラや、超低域から超高域まであるドンシャリタイプの打ち込み曲は苦手かも知れないが、室内楽やジャズは得意。意外なことにロックやビート系、アイドル曲もイケる。ダイナミック型ならではの鳴りっぷりの良さが、ノリの良さを出しているのだ。
これが1万円以下のイヤホンか?というほど十分な満足感と十ニ分な個性がある。
「だろ?」とニヤリとウインクする陽気な開発者のオッサン(←イメージw)が目に浮かぶほど、楽しい、イヤホンだった。
【諸元】
ドライバーユニット:11mm
インピーダンス:16Ω
感度:100dB at 1kHz
再生周波数:20Hz~20kHz
コード長:1.2m
日本代理店株式会社ユキム製品紹介ページ
オーディオなんちゃってマニア道
超高音はないが中域を色付けする倍音のオイシイところはある。
抜けていく感じではなく、中高域が充実。耳には刺さらずウェットな感じ。
中域は実在感に尽きる。歌手の息遣い、リードの湿り具合...本物「感」、スーパーリアリティ。
エロさ抜群。夜耳元でささやかれる感じ。ブレスも息を吸う乾いた感じではなく、湿った感じ。
ふくよかな低音。ただし重低音のデジタルなキレはない。「温度感」がある低音。
ウッドベースやバリサクはいい。一方硬いサンプリング加工音のようなデジタルベースはキレはない。ただシンベでもアナログモノシンセのような温かみがある音なら合う。
音像はクリアではないが「そこにいる」感じのたたずまい。
中央に密集している感じて、広さはあまり感じない。また解像度が高い感じのディティールを聴かせる方向性でもない。本物「らしさ」を雰囲気含めて描き出す。
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購入金額
8,980円
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購入日
2012年11月06日
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購入場所
ヨドバシカメラ
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