詳細についてはここでは割愛しますが、A20ラインマスク機能を持った変換ソケット、通称「魔法下駄」を併用する必要があり、このMTSA-M1TはCyrix 6x86シリーズ専用という名目で、最初期に発売された魔法下駄となりました。
この魔法下駄は6x86シリーズの衰退とIntel Pentium/MMX Pentiumの高クロック化を受けて一度は市場から姿を消しますが、このA20ラインマスク機能がAMD K6シリーズの動作にも有効であることが判ると俄に脚光を集め始め、このMTSA-M1Tも数量限定で再生産が行われました。私の所有分はこのときの再生産で入手したものとなっています。主に秋葉原にあった販売店「超級電脳」で限定販売が行われたことから、この製品の入荷がある毎週土曜の開店前に、超級電脳の前にPC-9800シリーズのユーザーたちが行列を作る光景が、一時期の秋葉原ではよく見られました。
この製品の発売ブランドは「MTC」となっていますが、これはバッファロー(当時はメルコ)によるマニア向け無保証実験パーツを扱う位置付けのブランドでした。しかしながらラベルにはメルコの社名が明記されていて、無保証を謳っているにもかかわらずユーザーが気にせずサポートを要求するなどの事態が多発したため、短期間で使われなくなってしまいました。後にこのコンセプトは玄人志向ブランドに受け継がれますが、このときの経験から当初は玄人志向とバッファローの関係は公にされなかったという話もあります。
後にこの製品の基本原理を利用して、バッファローブランドからCPUまでをセットにしたCPUアクセラレータという商品が多数発売されることになるわけですが、MTSA-M1Tはその原点というべき、記念すべき製品ということが出来るでしょう。
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購入金額
0円
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購入日
不明
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購入場所
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