ASIA。スーパープログレバンド、別名偉大なる商業ロックバンド。プログレ全盛期を支えた、元YESのGeoffrey Downes(キーボード)とSteve Howe(ギター)、King CrimsonのJohn Wetton(ベース)、EL&P(Emerson, Lake & Palmer)のCarl Palmer(ドラムス)という4人のスーパースターが集まった、鳴り物入りで登場したバンド。しかしスターというのは並び立つのは難しいようで...1st
のメンツで2nd“ALPHA”迄は何とか作り上げたものの、1stよりもセールスが悪かった事でバンドの方向性を巡って対立、3rd
アルバムではすでにギターのSteveが離脱し、Mandy Meyerへ変更になる。しかしこのアルバムも売上はさらに前作を下回り、バンドは休眠状態となる。
本作はそんな彼らが5年ほどの時を経て、世界ツアーの前に出された作品。1st~3rdの名曲に数曲の未発表曲を加えて構成されている。
「Only Time Will Tell」。懐かしさ満点!Carlの後ノリ(ため気味)のハイハットの16ビートで始まって、ベースのJohnは前ノリ(喰い気味)で加わる。渾然一体?状態で中間部のシンフォニックなブリッジに向かう。しかしかつてのプログレの様な難解さはなく、「プログレのスパイスが利いたロック」。でもこれこそ“ASIA”、彼らの世界。あ、Carlのドラムがもたって聞こえるのは、彼の「持ち味」です♡
「Wildest Dreams」も1stから。Johnの走り気味のベースが8分音符で刻んでいる上で、Carlが延々とフィルインでキメるという個所がある冒険曲。サビの長調解決やオリジナルメンバーSteveのヴァイオリン奏法のギターによる幻想的な中間部を持つ。ラストは彼ならではのクラシカルなギターソロに続いて、Carlのドラムソロ風フレーズ。ここはあんまりもたって..いやタメてないな。持ち味じゃなかったっけ??
「Prayin' 4 A Miracle」は新録。もう完全にアメリカンロック、少しプログレフレーバー?って感じ。これくらいのアーティストは他にもいる。厚いコーラスの付け方だけがASIAって感じ?
このときのツアーではギタリストとしてメンバークレジットされたのは、3rd参加のMandyではなく、Pat Thrallというプログレ界では無名のギタリスト。しかし、実は本作には彼のプレイが含まれない。未発表曲はギタリスト不在の時期にSteve LukatherやScott Gorhamらの協力を得て録音されたもの。結局Patはオリジナルアルバムを残すことなくこのときの世界ツアーのライヴ盤でそのプレイを聴くことができるに過ぎない。そういう意味ではこのアルバムは「過去の清算」であり、新しい体制の夜明けではなかった。
アルバムジャケットには1st~3rdで用いられたジャケットのモチーフ(1st=龍、2nd=鷲、3rd=女神像)をバックに翼を持つ馬が飛び立つ様が描かれているが、このアルバムからの直接の飛翔はなかった。
そういう意味では「始まりの終わり」のアルバムです。
【収録曲】()内邦題
1. Only Time Will Tell (時へのロマン)
2. Heat Of The Moment
3. Wildest Dreams (この夢の果てまで)
4. Don't Cry
5. The Smile Has Left Your Eyes (偽りの微笑み)
6. Days Like These
7. Prayin' 4 A Miracle
8. Am I In Love?
9. Summer (Can't Last Too Long) (サマー (遅過ぎた夏))
10. Voice Of America
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購入金額
2,500円
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購入日
1992年頃
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購入場所
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