“GRP Records”はそんなレーベルだった。フュージョン/スムーズ・ジャズ界の大御所Dave Grusinとプロデューサー/エンジニアのLarry Rosenによって創設された“Grusin/Rosen Productions”がもと。2000年代になって他の大手からの買収や方針の転換などもあり、少し一歩下がった感じになっているが、1990年を中心にした前後10年くらいは強烈な輝きを放っていた。Dave自身のリーダー作はもちろん、Lee Ritenour、Larry Carlton、Russ Freemanの毛色の違うギタリストたち、Gerald Albright,やTom Scottといった味のあるサキソフォニスト、The YellowjacketsやSpyro Gyra、The Brecker Brothersといったフュージョン/ジャズグループまで広く才能を集めており、“GRP Records”が出す作品ならハズレがない、と言われていたくらい。
そんなレーベルが紹介した異国の歌姫、LAIMA。本名Laima Vaikule(ライマ・ヴァイクレ)。旧ソ連の中では最も「西側諸国」に近い領域、バルト海に面するラトヴィア共和国の歌手。創設者のひとり、Larry Rosenに見いだされた。日本では発音しづらい名字を省略(?)、「ライマ」として売り出されていた(でも輸入盤がもと?のAmazonのジャケット画もLAIMAとなってますな←日本盤だとあの画は裏ジャケットになっている)。フュージョンボーカルと言うよりはポップスなのだがそこは“GRP”。ソリストなどの配置が良く、とてもテンポ良く聴ける。
「Breakin' Away」はAメロとサビが転調する、少しクロい薫り漂うフュージョン系打ち込みポップス。出色は中問ソロとエンディングソロで歌うサックスを聴かせるGerald Albright。往年のGRPカラーがモロ出た曲。
「What's Forever」。ギターとハーモニカの音色をフィーチャーしてバッキングする独白系バラード。ドラムというよりはパーカッション中心のリズムとLAIMAのやわらかいボーカルがマッチ。間奏のギターのスパニッシュなバックにのせるピアノソロが切ない旋律だ。この印象的なギターのフレーズはMike MillerかTerry Wollmanか。
「Shelter From A Storm」。4拍目の裏に「パンっ」と入るポンゴがハッとするほど印象的な曲。LAIMAの軽やかな声とバックコーラスのソウルフルなの声の対比が印象的。
この記事を書くのに調べていて知ったがNHKの紅白歌合戦にもでたことがあるらしい。
残念ながら“GRP Records”の運営が創立者のDaveとLarryの両手から溢れ、「会社化」していくうちに彼女はその流れからは落ちてしまったのか、その後の消息をあまり聞かない。
でも彼女の歌声は今でもYouTube等で聴くことができる。
商業音楽的にマイナーな国からの挑戦も形に残せる。イイ時代になりました。
【収録曲】()内邦題
1. Tango (愛しのタンゴ)
2. Undertow (引き波)
3. Breakin' Away
4. What's Forever
5. Baby It's You
6. Shelter From A Storm
7. Lost Without You (彷徨(さまよい))
8. Dream Love
9. Died In The Midst Of A Dream (夢のはざまに)
10. One World
「Breakin' Away」
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購入金額
2,500円
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購入日
1993年頃
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購入場所
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