所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。歴史の転換点、というものは立ち会っているときはそれと気がつかないものです。後から振り返ると、それが日本のJ-POPシーンでの低年齢化とダンスの大胆な導入のきっかけだったという事を感じる作品があります。そんな歴史を作ったグループの最大のヒット作をご紹介します。
SPEED。デビュー当時11~14歳という若さで、また当時安室奈美恵やMAXなどを輩出した沖縄アクターズスクール仕込みの激しいダンスで注目され、みるみるヒットチャートを総なめし、4年間を全速力で駆け抜け、解散したガールズユニット(その後オリジナルメンバーで再結成)。
そんな彼女たちの最初のベストアルバムにして最大のヒット作。彼女たちの1st~8thシングルのすべてと(一部再録あり)そのカップリング曲の一部が収められているが、この8曲中オリコン4位が1曲、2位が2曲で残りはすべて1位というのだから、彼女たちがいかに最初からブレイクしたかがわかる。このあとにもベストアルバムはいくつか出るが、彼女たちの代表曲のほぼすべてが収められ、その名の通り、「SPEED」感と若さが溢れるこの作品をベストオヴベストに推す人は多い。
アルバムは彼女たちの最大のヒット曲、「White Love」で始まる。そしてアルバム最後も「White Love」で締めくくられる。出だしのシングルアレンジは、シンセブラスとピアノが彩る打ち込み主体のバックに、名手梶原順の生ギターのカッティングによる味付けが無機質感を消している。梶原のソロがスパニッシュテイストな1曲目に対して、生ストリングスが加わった「White Love(Christmas Standard)」はしっとりとして壮大。歌がある部分のバッキングも、ギターがカッティングからアルペジオ調のものになり、ピアノの音量が高まることで、曲のスピードは変わらないにもかかわらず、ドラマチックさが増している。アコースティックに振ったのか...というと、ソロは逆に生ギターからシンセサイザーになっているのだが。ちなみにクレジットにはない13曲目には、この「White Love(Christmas Standard)」をベースにしたInstrumentalが収められているため、この曲は都合3回このアルバムで取り上げられている勘定。やはり今から振り返ってみても彼女たちの代表曲の風格がある。
「Body & Soul」はそんな彼女たちのデビュー曲。♪Here we go!♪というかけ声と、Nile Rodgersばりの古川望のキレの良いカッティングギター、そしてJake H.Concepcionのサックスが、当時でもちょっと懐かしい感じのディスコチューン。しかし、元気が弾けているツインヴォーカルと、激しいダンスで新しさを感じる。チョイ乗り切れてないラップは微笑ましいけどネ。
ディストーションギターなどがフィーチャリングされて意外にハードな「ナマイキ(愛♡♡♡Version)」。一見(一聴?)打ち込みっぽい単純なパターンながら、独特のグルーヴ感を醸し出しているのは、ベースの美久月千晴。これシングルのカップリング曲ナンだけれど、意外にイイ感じ。オモテにはなれないけれど、最強のウラ、という感じ。
この作品のあと、彼女たちは個々の活動の比重を高めていき、約1年後に(一時)解散する。その後の再結成では、彼女たちが経てきた人生経験も含め、歌の上手さでは一枚上手なのだが、このグループの他にない良さというのは、若さによる爆発的な推進力。そこはやはり、超新星の爆発の燦めきのようなこの最初期に凝集されている。
歌の未熟さも含めてその「若さ」のすばらしさを味わいたい作品です。
【収録曲】
1. White Love
2. ALL MY TRUE LOVE
3. STEADY
4. Wake Me Up!(growin’up!mix)
5. ALIVE
6. Body & Soul
7. ナマイキ(愛♡♡♡Version)
8. Go!Go!Heaven
9. 熱帯夜
10. Luv Vibration
11. my graduation
12. White Love(Christmas Standard)
「Body & Soul」
時代と、彼女たちの状況と、楽曲が奇跡的に「合った」作品
あと、バックを固めるミュージシャン、今見ても凄腕揃い。
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購入金額
3,059円
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購入日
1998年頃
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購入場所
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