レビューメディア「ジグソー」

きっかけがなくずるずると...

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。結構好きなのに、なじみがあるのに、CDとしては持っていない。そんなアーティストや作品があります。好きか嫌いかといえば好きな方に大きく傾くにもかかわらず、きっかけがなくてズルズルと買い逃していたアーティストの作品をご紹介します。

 

Mr.Children。これだけメジャー・マイナー網羅しているcybercatのコレクションで、しかも今までご紹介の作品から嫌いな方向性ではないことがバレバレなのになぜか(2年前まで)CDやDVDなどの作品を持っていなかったアーティスト。

 

Mr.Children自体はもはや紹介の必要がないほどメジャーな存在であり、初登場1位でないとニュースになるほどのアーティスト(35作目のシングル“足音 〜Be Strong”で連続記録が20年ぶりに途絶えて話題となった)。楽曲的にも王道路線でまず間違いがないし、ヴォーカルもバンドも上手い。知っている曲も多いし、もはやなんで持っていないんだろ状態。

 

強いて言うならメジャーで王道過ぎて「レアものオタク」の琴線を揺らさないというか(^^ゞ

いつも買っているアーティスト・バンド(のいくつか)のように「今買わなきゃいつ買えるかわからない」「廃盤になる前に押さえとかなきゃ」という切迫感に乏しいというか(^^ゞ(^^ゞ

 

ただそろそろ持っとくか...という気になったのがこのベストアルバムの発売。

 

“Mr.Children 2001-2005 〈micro〉”。2012年に“Mr.Children 2005-2010 〈macro〉”と同時発売された彼らのベストアルバム。歴代シングルを中心に年代別に綴ったベストアルバムとしては2001にやはり同時発売された“Mr.Children 1992-1995”、“Mr.Children 1996-2000”に続くもので、彼らの活動をおよそ5年周期で見た場合、3期目にあたるのが本作。

 

どちらかといえば1990年代中盤の“innocent world”や“名もなき詩”での大ブレイクと精力的な活動が印象的で、2001年から2005年といえばリーダーで全曲の詞をてがけ、ほとんどの曲で曲作りの中心的存在である桜井和寿が病(小脳梗塞)に倒れた時期を含んでおり、活発な感じはしないが(それでもシングルは出せば1位)、音楽性的にはここらあたりでかなり変わってきたように思う。音楽性と言っても厳密にいえば詞の世界が。

 

それまでは(悪く言えば青臭く)「若者カテゴリー」の青春の不条理や、体制への不満、身近な恋や愛を歌っていた彼らが、このあたりから「大人」になった感じ。愛が大きく、また深くなっていく過程が見える。でもまだ完成はしていない、子供っぽいところもある。まさに「Mr.=大人」「Children=子供」。

 

そんな成熟しきらない抑えた魅力がある曲が多い。

 

「youthful days」。ミスチルらしい?バックビートにスネアが来ないリズムとギターがコードをかき鳴らすアップ↑↑チューン。サビの半分ほどがファルセットになるのが桜井らしい音域の取り方(出だしをもう少し低いキーにすればもう少し下で歌えるが、彼自身が地声のややダミった声音とファルセットのきれいな声音の落差が自分の声の持ち味だと自覚しているのだと思う)。

 

ラグタイム風?のイントロで始まり、タンバリンの3・3・2のシンコペーションリズムと口笛が飄々としている楽しいイメージだが、歌詞的には♪狭い路地に/黒いスーツの人達/急な不幸がその家にあったという♪とあまり縁起は良くない?「いつでも微笑みを」。ただそこを♪もし僕がこの世から巣立って逝っても/君の中で僕は生き続けるだろう/そう思えば何とか やっていけそうだよ♪とつなげ、♪そう/だからいつも/いつでも微笑を♪としめる。湿っぽい歌ではなく、命の永続性や記憶というようなものを感じさせる。

 

「掌」は彼らの主張。彼らは「反体制」というほどアナーキーじゃないが、おかしいものはおかしいといいたい「主張するアーティスト」。20世紀の東か西か、善か悪か、ブルジョアかプロレタリアートかといった単純な世の中ではなくなっている(というか、世の中はそれほど単純でなかったことに気が付いてしまった、というか)今において♪ステッカーにして貼られた本物の印/だけど/そう主張している方がニセモノに見える♪、♪ひとつにならなくていいよ/認め合うことができればさ/もちろん投げやりじゃなくて/認め合うことができるから/ひとつにならなくていいよ/価値観も/理念も/宗教もさ/ひとつにならなくていいよ/認め合うことができるから♪と歌う。彼らの怒りが不条理を嘆くだけではなくて、形を方向性を持ったような主張として伝わってくる。

 

ああ、かれらも齢を取ったのだな、と。

でもまだ丸くならない。

そんな感じの曲たち。

付属の小冊子にはその時の彼等の状況が細かく記録されている。
付属の小冊子にはその時の彼等の状況が細かく記録されている。

 

モノとしては例によって?初回限定盤なので、15曲中シングルカットされた(両A面扱いの曲含む)10曲のPVが含まれる。さすがに売れている彼等、金をかけているものが多くてどれも楽しめるが、SFっぽい仕立ての「君が好き」が出色。病院の隣り合った隔離病棟で延命治療を受ける男女が恋をした。ガラス越しの恋を成就させるために桜井がしたことは...?というもの。ちょっと近未来風のブレードランナーっぽくもある風合いがイイ感じ。

子供時代の二人このあと彼らは..?(「君が好き」PV)
子供時代の二人このあと彼らは..?(「君が好き」PV)

 

もう若くない、でも、まだ若い。そんな彼らが楽しめる作品です。

 

【収録曲】

<CD>
1. 優しい歌
2. youthful days
3. 君が好き
4. 蘇生
5. Drawing
6. いつでも微笑みを
7. Any
8. HERO
9. タガタメ
10. 掌
11. くるみ
12. Sign
13. and I love you
14. 未来
15. ランニングハイ

<DVD>“MUSIC VIDEOS”
1. 優しい歌
2. youthful days
3. 君が好き
4. Any
5. HERO
6. 掌
7. くるみ
8. Sign
9. and I love you
10. 未来

 

「君が好き」

更新: 2014/12/28
おすすめ度

とりあえず一家に一枚。

現代J-POP界を語るのにハズせないアーティスト。あまり「大嫌い」という人がいない気が...

  • 購入金額

    2,800円

  • 購入日

    2012年頃

  • 購入場所

19人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • 退会したユーザーさん

    2014/12/31

    ミスチル。今は殆ど聴かなくなってしまいました・・・
    桑田さんと絡んでからなんか変わってしまった気がします。
    なんとなくですけどね。

    両方共すごく好きだったのにモヤッた記憶があります。

    ミスチルはロックなのかJ-POPなのかなんて事で
    語ってた時期もありました。青かった(笑)
  • cybercatさん

    2014/12/31

    SASとミスチル、よく引き合いに出されますが、音楽性としてはかなり違うんですよね。
    ただ音楽界のなかでは似た立ち位置で、桜井のあこがれがSASだったという事もあり、影響受けてますね。どうしても。

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