■メニュー
- はじめに:我が家におけるオーディオのデジタル化
- 憧れの無音PCを作る!
- 無音PCを構成するパーツ
- いざ、組み立て
- ソフトウェアのセットアップ
- ベンチマークテスト
- 消費電力テスト
- 温度について
- さらなる省電力動作に挑戦!
- OCCT 負荷時に50Wを達成!
- トライゲートトランジスタとは
- intel HD Graphics 4000
- PCI-Express 3.0について
- 無音PCの威力
我が家のテレビも買い換えによってやっとHDMIとDLNAに対応したほか、最強のメディアプレーヤーでもあるPlayStation3もHDMI接続できるようになりました。
また、音楽ソースもiPhoneが中心となったことで、映像・音楽についてほぼデジタル化された環境となっています。
そんな中、唯一オーディオシステムだけが旧来のLP・CDを中心としたシステムとなっており、PCを中心としたMP3/AACのデジタルソースによる音楽環境から置いてけぼりを食らっている状態でした。
先日intelより発売になった最新CPU“Ivy Bridge”は、22nmプロセスの採用とトライゲートトランジスタの採用によってSandy Bridgeの高性能を引き継ぎつつも、大幅に消費電力が削減されています。
中でも、最上位の4コア8スレッドなCPUでありながらも45Wという極めて低いTDPを誇るCore i7 3770Tを使えば、ハイスペックなオーディオ用およびHTPCが作れるのでは…ということで、上記の問題を解消すべく、オーディオとの架け橋となるPCを組むことにしました。
オーディオ用のPCですが、CPUが極めて強力なことと、内蔵のintel HD 4000グラフィックのパフォーマンスを利用することによりintel Media SDKによる強力なエンコード機能も利用可能ですので、HTPCとしての能力も十二分に有していると思われます。
リビングでの用途は
- オーディオシステムに接続し、MP3やAACなどのデジタル音源再生用の“オーディオPC”として使用
- テレビに接続し、ハイスペックを生かしてStora(NAS)上に集約されているコンテンツ再生用の“HTPC”として使用
の2点を予定しています。
この条件を満たすため、ノイズや振動の発生源となるパーツを一切使わず、動作時に完全無音であることを必須条件とし、「完全無音のハイスペックPC」をコンセプトとして組み上げることにしました。
HDDやDVD/Blu-rayドライブなどの回転するデバイスはもちろんのこと、CPUファンや排気ファン、通常のATX電源も使用できません。
この条件を満たすPCの構成パーツとして、下記を選択しました。
■CPU
CPUは発表当時から気になっていた、Ivy Bridge世代のCore i7 3770Tをチョイスしました。
最上位のCore i7シリーズに属する、4コア8スレッドとLGA1155で最強ランクのCPUで、動作クロックは省電力CPUのため通常時は2.5GHzと制限されていますが、TurboBoost時は最大3.7GHzと大幅にクロックが上昇します。
内蔵グラフィックコアもIntel HD 4000となり従来のSandy Bridgeよりも大幅に強化されており、これなら重たいエンコード作業やトランスコードもサクサク動くと思われます。
4コア8スレッドかつTB時の最大クロックが3.7GHzなCPUにもかかわらず、なんとTDPは驚愕の45W。
まさに、無音PC向けのCPUとして最強といえるスペックを誇ります。
ここで、Core i7-3770Tのスペックと、Sandy Bridgeから強化された点について確認しておきます。
コア数:4コア(HTにより8スレッド対応)
動作周波数:2.5GHz
TB時最大周波数:3.7GHz/3.6GHz/3.4GHz/3.1GHz(左から1/2/3/4コア時)
プロセス:22nm
最大TDP:45W
内蔵グラフィック:intel HD Graphics 4000
グラフィック定格周波数:650MHz
グラフィック最大周波数:1.15GHz
Sandy Bridge世代のCore i7ではTDP45Wの製品はデスクトップ向けでは存在せず、4コア8スレッドの製品で最もTDPが低い2600Sでも、TDPは65Wとなります。
また、Sandy Bridgeの省電力タイプの2600Sでは内蔵GPUがHD 2000であり、同世代のCore i7が内蔵しているHD 3000と比べて性能が落ちてしまっています。
その点、Ivy BridgeではアンロックモデルであるCore i7-3770Kから省電力モデルのCore i7-3770S、3770Tに至るまで全て内蔵グラフィックがHD 4000で統一されており、内蔵GPUの性能強化が図られています。
Core i7-3770Tはパッケージの販売が無いため入手経路は限られてしまいますが、TDP45Wと発熱が低い上に、4コア8スレッド、TB時3.7GHzと強力ですので、ファンレスあるいは静音PC向けのCPUとしては、現時点では最適な製品と言えます。
現時点では入手性に難がありますので、パッケージ版の販売を行って欲しいところです。
■ケース
オーディオPCとして使用するため、設置場所の関係からデスクトップ型の筐体であり、かつ無音動作可能(CPUファンレス及びACアダプタ動作可能)という条件の中ではもっとも理想に近いケースである、アスクテックのNT-TX3000BKをチョイスしました。
NO-FANなどのファンレス可能なヒートシンクを装着する方法もありますが、通常のタワー型ケースを利用するためケースが大柄になってしまうことと、見た目があまりスマートでないため選択肢から外しました。
NT-TX3000BKは高さが76mmという薄型のケースですが、CPUの熱をケースの左右に設けられた巨大なヒートシンクへヒートパイプを使って伝えることで放熱する、オーディオ/HTPCとしては理想的な構造を有しています。
なんとなく見た目がパワーアンプっぽい感じで、オーディオ・HTPC用として最適のケースかと思われます。
■電源
ケースと同じアスクテック製のACアダプタ、NT-ZENODC100を使用することにしました。
NT-TX3000BKの推奨オプションになっていることもあり、組み込みが簡単ということと、65WまでのCPUに対応(ACアダプタ出力は100W)しているため、45WのCore i7 3770Tであれば安心して使用することが可能です。
ACアダプタタイプの電源ユニットのため、冷却ファンもなく完全無音です。
65WまでのCPUに対応しているため、Core i7-3770Sでも動作可能かと思いますが、出力にゆとりがあった方が動作も安定すると思われることと、発熱の低さはファンレスPCには重要なファクターですので、より低発熱な3770Tを使用した方が良いかと思います。
■SSD
ストレージは無音という制限をクリアするために、当然ながらSSDを使用します。
品質の良さとユーティリティの充実さを考慮し、intelのSSD 330シリーズの120GBモデルを購入しました。
intel製のSSDはX25-M、SSD320、SSD510を使用していますが、SSD ToolboxとMigrationユーティリティはとても便利です。
Sandforce製コントローラー採用のSSDは今回が初使用となりますので、パフォーマンスが楽しみです。
内蔵ストレージを廃してiSCSIブートという手もあるのですが、そのためにはiSCSIブートに対応したNICが必要となります。
今回使用するNT-TX3000BKはPCI-Eスロットの真上をヒートパイプが横切ることと、元々拡張カード用のブラケットがありませんので、拡張カードが使用できません。
このため、オーソドックスにSSDを内蔵することにしました。
■サウンド
我が家のオーディオシステムはアナログ世代のため、デジタル入力端子はありません。
そのため、PCとの接続はアナログで行う必要があるのですが、さすがにマザーボードオンボードのサウンド機能は微妙です。
そこで、今回は外付けのUSB音源であるYAMAHAのDP-U50を使用することにしました。
DP-U50は2000年11月発売と古い製品ながらもWindows7 64bit環境でも利用可能で、24bit/96KHzまでのデジタルソースに対応しています。
また、ヤマハの製品らしくDSPによる豊富なエフェクトも搭載していますので、デジタルならではの楽しみ方も可能です。
今回はDP-U50をUSBで接続し、DP-U50からアンプへはガンマジオメトリー構造を採用した英國IXOSのオーディオ用RCAケーブル、IXOS 1001 GAMMA MASTER(\24,800/ 1mペア)を使用して接続することにしました。
■マザーボード
Ivy Bridgeを使うのであれば、やはりマザーボードも最新のZ77/H77シリーズを使いたいということで、今回はASRockのH77搭載マザーボード、H77M-ITXを購入しました。
H77チップセットを採用したMini-ITXフォームファクタ対応のマザーボードで、価格も1万円弱と手軽なのが良いところ。
オーバークロックしないPCの制作ですので、Z77チップセット搭載品の採用は見送りました。
オンボードデバイスが少ない、電源フェーズが少ないなどの低コスト版の製品ですが、ACアダプタ稼働の場合は逆に消費電力が増えるデバイスは少ない方が良かったりします。
■メモリ
メモリは手持ちの4GBを使う予定でしたが、CPUがハードウェアとセット販売のみだったため、おまけで付いてきたADATAの8GBにすることに決定。
OCもしないので、安定して動けばなんでも問題無しです。
■キーボード・マウス
リビングで使用するため、キーボードとマウスはワイヤレスのものを使うことにしました。
本来であればLogicoolのWireless Combo MK520とかが良かったのですが、予算の都合上、手持ちのBluetoothのキーボードとマウスを使用することにしました。
Bluetoothの受信アダプタが別途必要なため、激安だったPlanexのアダプタを購入して使用しています。
■OS
OSは手持ちのWindows7 Professional x64を使用することにしました。
一通りパーツがそろったところで、組み立てに入ります。
そういえば、PCを組むにあたりパーツを一式揃えるのって、ものすごく久しぶりですね。
1,まずはCPUをマザーボードへ取り付け
CPUの取り付けはミスを防ぐためにも、マザーボードを組み込む前に行います。
CPUソケットのレバーを上げると、上からCPUを抑え込むパーツも一緒に跳ね上がりますので、むき出しになったピンの上にCPUを優しく置きます。
CPUのガイドがきちんとソケットと合っているかを確認し、レバーを倒して装着完了です。
2,CPUの放熱用ブロックを装着
NT-TX3000BKは筐体左右の巨大なヒートシンクでCPUの冷却を行いますが、離れたヒートシンクまで熱を伝えるヒートパイプを取り付ける必要があります。
マザーボードを組み込む前に、CPUブロックをCPUの上に固定します。
NT-TX3000BKに付属するグリスはどう見ても性能が悪そうですので、ここはリッチにArctic Silver 5を使用しました。
プッシュピンで押すだけのため、取り付けは極めて簡単です。
3,NT-TX3000BKにDCDCボードを装着
NT-TX3000BKのオプションAC電源である、NT-ZENODC100のDCDC変換ボードを固定します。
純正オプションだけあって取り付けは簡単。
取り付けの際、正面から見て右側にDCコネクタが来るようにしないと、ケーブルの長さが足りないので注意です。
4,マザーボードを取り付け
I/Oシールドパネルを取り付け、マザーボードを取り付けます。
メモリはヒートパイプの取り付けの際に邪魔になりますので、後回しにします。
Mini-ITXサイズなのでネジの数も少なく、取り付けはとても簡単です。
マザーボードの固定が終わったら、ATX電源ケーブルなどをマザーボードに接続します。
5,ヒートパイプを固定
これがちょいと面倒です。
ケースの左右にあるヒートシンクに熱を伝えるため、CPUブロックから左右のヒートシンクに繋がるように、2本のヒートパイプを取り付けます。
マニュアルでは先にヒートシンクにヒートパイプを固定した後にCPUブロックにヒートパイプを固定していますが、左右のヒートシンクへヒートパイプを完璧に設置させたいため、先にCPUブロックへヒートパイプを固定し、最後にヒートシンクへ固定する順序で作業を行いました。
この際、ヒートシンクとヒートパイプの位置がずれないよう、テープで仮止めしておくととても作業が楽です。
CPUブロックにグリスを塗り、ヒートパイプを固定してCPU上部ブロックを取り付け用と思ったところ、問題発覚。
なんと、CPUブロックのねじ穴が1mm弱ずれていて、ネジが留まらないじゃないですか…
いちいちメーカーへ送って交換するのも面倒なので、電動ルーターにドリルビットを装着し、少し内側に穴を拡げることにしました。
NT-TX3000BKですが、イマイチQC(Quality Check)が甘いように感じます。
しっかりとCPUブロックにヒートパイプを固定したら、左右のヒートシンクにヒートパイプを固定します。
放熱効率が良くなるよう、ヒートパイプが接触する部分にはグリスをきちんと塗布しておきます。
最後に、ヒートシンクにヒートパイプ固定ブロックを使ってヒートパイプをしっかりと固定します。
6,メモリ、SSDの取り付け&配線
最後に、メモリとSSDを取り付けます。
SSDは縦に2枚並べて取り付けますが、ネジ止めするのは2箇所のみで、反対側はケースにある突起部分にSSDのねじ穴をはめることで固定します。
ケーブルはなるべく綺麗になるよう、束ねておくと良いかと思います。
効果のほどは不明ですが、フェライトコアを電源ケーブルに取り付けてみました。
取り付けが終わったら、天板を固定し作業完了です。
音楽ファイルのコントロールは、すべてiTunesを基本に行う予定です。
今回作成するPCをトランスコード機能付きのDLNAサーバーにして映像コンテンツをDLNAでテレビに配信しても良いのですが、それならこのPCにプレーヤーを入れて直接再生してしまった方が簡単なので、今回は映像系に関してはtsなどに対応したプレーヤーを入れておしまい、ということにしました。
DVDなどの光学ドライブはありませんので、プレーヤーソフトは不要です。
また、DP-U50はUSBによる録音にも対応していますので、将来的に録音用のソフトウェアを使用し、LPを聴く際についでにデジタル化もしてしまおうと思います。
LPは音質の良さについては抜きんでていますが、如何せん取り扱いが大変なのがデメリットです。
「聴くぞ!」という時にはあの操作がまた良いのですが、ちょっと聴きには向いてないんですよね。
なので、とりあえず聴きたい時用に、デジタル化しちゃおうかな、と。
この際に問題となるのは、いわゆる「プチプチ」いうノイズ対策。
あのノイズの出力はかなり大きく、簡単にゲージの上限をぶっちぎってしまいます。
コンプレッサーでノイズのピークを潰してやる必要があるので、この辺は試行錯誤かな、という気がしています。
LPのデジタル化については、まずは情報収集から、といった感じです。
ケースに組み込む前に、内蔵GPUの他に外付けGPUによる性能も測定するため、ディスクリートGPUであるRadeon HD 7850を使用して、Neharlem-EPとのベンチマークテストを行いました。
ベンチマーク環境は
- Core i7-3770T - MSI R7850 TwinFrozr III OC
- Core i7-3770T - intel HD Graphics 4000
- Xeon E5530@4GHz - MSI R7850 TwinFrozr III OC
の3通りを掲載しています。
Xeon E5530(Neharlem-EP)は旧プラットフォームであるX58環境の比較用としてスコアを掲載しました。
Xeon E5530はLGA1366向けのXeonですが、内容はCore i7 920などのBloomfield系CPUと同じと思って差し支えありません。
今回、Xeon E5530は4GHzにOCした状態でベンチマークを測定しています。
マザーボードにRadeon HD 7850を装着。でかい…
まずは、ベンチマークの前にCore i7-3770TのCPUの情報を確認してみます。
22nmのプロセスルールとMax TDPの45Wが輝いて見えます…
アイドル時のスクリーンショットですが、電圧は0.896Vとなっており、クロックは自動的に16倍の1.6GHzまで落ちています。
■Battle Field 3
Battle Field 3のゲームプレー時の平均fpsを計測しました。
ベンチマークモードを持っていないため、最初のミッションであるSEMPER FIDELISをFraps 3.5.0を用いてフレームレートをキャプチャし、冒頭のイントロ部分などのフレームレートが跳ね上がっている部分を削除し、列車に降りて武器を取った場面から最後までのフレームレートをスコアとして使用しています。
Core i7-3770Tは4GHzのXeon E5530に対し3~5fpsと極めてバランスの良いスコアを叩き出しています。
平均45fpsは、十分快適にゲームがプレー出来る値だと思います。
内蔵のintel HD Graphics 4000はさすがに平均fpsが5ちょっとであり、ゲームになりません。
解像度をぐっと下げればどうにか動きそうですが、やはり重たい3Dゲームには適さない性能かと思います。
あまりにもフレームレートが遅く、電車の屋根に上るシーンではスペースキーを連打したにも関わらず、上れずにGameOverとなってしまいました…
■3Dmark Vantageおよび3Dmark 11
さすがに3Dmark系のベンチマークは、内蔵のCore i7-3770Kには荷が重たい様子。
3Dmark VantageではXeon E5530@4GHzの方がスコアが上ですが、3Dmark 11ではCore i7-3770Tがわずかながら逆転しています。
■FF14
FF14はCore i7-3770TおよびXeon E5530@4GHzでスコアが拮抗しています。
内蔵のintel HD Graphics 4000は見るも無惨なスコアですが、実際この性能ではプレーするのはかなり厳しいと思われます。
■PSO2
PSO2のキャラクターエディタの動作検証のスコアとなります。
なぜかCore i7-3770T&Radeon 7850がぶっちぎりですが、もしかすると設定がどこか違ったのかもしれません…
PSO2は比較的軽いゲームなので、内蔵グラフィックでもそこそこ行けるかな?と思っていたのですが、最大解像度だとやはり厳しいですね。
intel HD Graphics 4000での動作ですが、外付けGPUによる動作を見てしまったあとはかなり厳しいですが、解像度を落とせばそこそこ良い感じで動作してくれます。
■バイオハザード5 Benchmark B
Radeon HD 7850を使用した場合のスコアはほぼ拮抗しており、性能的な差異はほとんどありません。
オンボードのintel HD Graphics 4000は9fpsとゲームにならない遅さなのも、他のベンチマークと同様の傾向です。
■リアル彼女ベンチマーク体験版
リアル彼女は比較的CPUパワーによるところが大きいタイトルのため、intel HD Graphics 4000でも15fpsと頑張っています。
ただ、実際プレーするにはやはり15fpsではかなりカクカクしており、解像度を下げる必要があります。
800x600あたりであれば、内蔵GPUでもどうにか遊べるレベルで動きました。
いくつかのベンチマークで性能を測定してみましたが、総じて、ベンチマーク系の処理が重いソフトウェアについては、やはり内蔵GPUだとまだ厳しいかな、といった感じです。
上記のスコアはすべてベンチマーク側で設定可能な最大負荷にしていますので、解像度を下げたり、品質を落とすことでintel HD Graphics 4000でもそれなりに動いてしまうこともあり、内蔵GPUも着実に進化していると思います。
Radeon HD 7850を使った場合、Xeon E5530と比べると性能に大幅な差はなく、ほぼ同じかあるいは若干劣る程度の性能となります。
コア数は4C8Tで同じですが、クロックはXeon E5530の4GHzに比べ、Core i7-3770Tは3.1GHzと0.9GHzの差があります。
クロックの差の割には性能は均衡していますので、Core i7-3770Tのパフォーマンスはかなり良好です。
■CINEBENCH 11.5
CPUの処理能力を測定するcinebenchは6.18ptsとなりました。
スコアで言うとCore i7-2600Sを若干下回るくらい、といった感じでしょうか。
4コア8スレッドの処理を行っていますので、3.1GHzでの動作となります。
同価格帯のCPUでは3770Kや2700Kもありますが、TDP45WのCPUとしては爆速な値かと思います。
■Windows7 エクスペリエンスインデックス
Windows7のエクスペリエンスインデックスですが、プロセッサのサブスコアは7.6と十分な数値であり、一番低いスコアもグラフィックスの6.5となりました。
とはいえ、Sandy Bridge世代の低発熱版CPUに搭載されているintel HD Graphics 2000は、Aeroが5.2、ゲーム用グラフィックスが5.8でしたから、Ivy Bridgeになり大幅に向上しているのが分かります。
ハードディスクはSSDにより文句なしの7.9となっています。
■SSD 330 CrystalDiskMark
CPUの話題からは脱線しますが、CPUとは切っても切れない関係にあるチップセットと密接な関係にあるストレージということで、SSDの性能についても測定してみました。
SSD 330はコントローラーがSandForceになっていることもあり、書き込みデータによって大きく差が出る、他のSandForceコントローラー搭載のSSDと同じ傾向のスコアとなりました。
TDP45Wを誇るCore i7-3770Tですので、消費電力がいったいどれくらいなのかはとても気になるところ。
早速、アイドル時と3Dゲーム時(FF14ベンチマークの最大消費電力)におけるシステム全体の消費電力を比較してみました。
ACアダプタとコンセントの間にサンワサプライのワットモニターを挿入し、消費電力の計測を行いました。
消費電力測定時のハードウェア構成は下記の通りです。
※この消費電力測定は、ビデオカードの有無やXeon E5530環境と比較するため、ファンレス/ACアダプタ駆動ではなく、通常のATX電源を使用して測定しています。
・Core i7-3770T
マザー:ASRock H77M-ITX
電源:DELTA DPS-300AB-50(ProLiant ML110G6搭載電源)
メモリ:ADATA AX3U1600GC4G9-2G(DDR3-1600 1.5V 4GB×2)
SSD:intel SSD 330 120GB
VGA:MSI R7850 Twin Frozr III OC または内蔵GPU
・Xeon E5530(4GHzにOC、CoreVCC+0.875Vオフセット)
マザー:Rampage II Gene
電源:Antec Signature850(850W 80PLUS Bronze)
メモリ:Corsair DOMINATOR DDR3-1600 1.65V 2GB×3
HDD:ST3500413AS
両方とも、CD/DVD光学ドライブなどはなく、必要最低限の構成となります。
ストレージでHDDとSSDの差はありますが、ドライブはOS用1台のみとなっていますので、誤差としては数Wレベルかと思います。
なお、Xeon E5530はコア電圧を昇圧し4GHzにOCしている状態ですので、その分消費電力は増加している点に注意が必要です。
驚愕の結果は、なんと同じMSI R7850 Twin Frozr III OCを使いながらも、アイドルで87W、3D実行時に124Wもの差が生じました。
この差は凄まじいですね…。
しかも、Core i7-3770Tで使用した電源ユニットは80PLUSなど取得していない電源ですので、変換効率はXeon E5530で使用しているAntecのSignature 850の方が優れていると思われます。
マザーボードにオンボードで搭載されているデバイス数もかなり違いますし、SSD/HDDの差もありますが、それにしてもこれだけ違いが出るのには驚きました。
さらに凄いのは、内蔵GPU使用時のCore i7-3770Tの消費電力。
Radeon HD 7850のアイドル時の差13W(intel HD Graphcs 4000の時のアイドルと、RADEON HD 7850のアイドル時の消費電力差)というのも凄いですが、intel HD Graphics 4000使用時はシステム全体でアイドル状態で23Wと驚きの数値を叩き出しました。
ノートPCではなく、デスクトップ用のCPUとマザーボードでこの数値ですから、驚くばかりです。
また、3Dで負荷をかけた場合でも58Wでしかなく、3Dのパフォーマンスについてはそれほど芳しくないとはいえ、消費電力で考えると余りにも差がありすぎます。
高負荷時でも58Wという数値は、Core i7シリーズのCPUとしては極めて低く、22nmとトライゲートによる消費電力低減の結果が顕著に現れています。
グラフには掲載していませんが、OCCTで全コアに負荷をかけても70W程度の消費電力ですから、100WのACアダプタで十分間に合う消費電力です。
X58プラットフォームが大食いというのもあると思いますが、Ivy Bridgeでさらに低消費電力に磨きがかかったcore i7-3770Tのワットパフォーマンスの良さが際立った結果となりました。
無音PCで一番気になるのは、動作時の温度です。
冷却用のファンも存在しないため、ケース内で発生した熱は自然対流により放熱する必要があります。
消費電力の低さは上記のテストで確認済みですので、TDP45Wと相まって、発熱はたぶん低いはず!
ということで、実際にケースに組み込んでベンチマークを回し、温度のテストを行ってみました。
高負荷時の温度を計測するため、OCCTにて30分負荷をかけてテストを行いました。
4コア8スレッドに負荷をかけた状態でテストを行いましたが、TurboBoostにより4コア時の最高倍率である3.1GHzへクロックがアップされています。
NT-TX3000BKは上部・下部パネルに381個もの通風口があり、ケースの左右に巨大なヒートシンクを配置することで、CPUやマザーボードから発生する熱を効率よく逃がす仕組みを取り入れています。
冷却機構が大がかりなだけに、温度上昇も緩やかで、負荷がかかると同時に60℃あたりまで上昇、そのごじわじわと上昇した後、70℃前後で安定しました。
動作中のPCは触れると暖かい程度の温度で、ケース全体が暖まっていました。
3GHzを超えるクロックで動作しているCPUにも関わらず、ファンレスでありながら70℃程度までしか温度が上昇しませんので、効率的にCPUの熱を筐体全体を通じて放熱しているのが分かります。
Ivy Bridge最上位のCore i7に属するCPUで、4コア8スレッド負荷時に3.1GHzまでクロックが上昇するにもかかわらず、人工的なエアフローが一切無いファンレスの構成で70℃程度までしか温度が上がらないのには驚きました。
夏場の室温が上がる季節は注意が必要ですが、これくらいの温度であればファンレスを気にせずに安心して使えます。
45Wという低TDPのCore i7-3770Tですが、CPU-Zで確認すると最大1.0V程度の電圧で動作しているようです。
BIOSの設定でさらに電圧を下げることで、どこまで消費電力を削減できるか挑戦してみました。
消費電力が下がると発熱も下がりますので、CPUの放熱を自然対流に任せる無音PCとしては大きなメリットとなります。
H77M-ITXのBIOSを呼び出し、CPUの電圧設定をOffsetへ変更、-0.100Vと-0.150Vの2通りを比較してみました。
-0.150Vにおいても、OCCT 1hが完走していますので、低電圧化に対する耐性はかなり高いと思われます。
-0.150Vに設定した状態で全コアに100%の負荷をかけた状態のCPU-Z画面は下記の通りでした。
Core Voltageが0.792Vと、かなり下がっていることが確認出来ます。
Core SpeedはTB上限の3.1GHzとなっています。
CPUの電圧を下げることで、システム全体の消費電力に大きな差が生じました。
アイドル時は23.3Wから20W程度にまで削減され、OCCTにて全コアに100%の負荷をかけた高負荷時においては、71.2Wから56.6Wまで大幅に消費電力が下がっています。
もちろん、この状態で4C/8Tの3.1GHz動作をしている訳ですから、ものすごいワットパフォーマンス(しかもシステム全体の消費電力で56.6W!)です。
CPU動作電圧を下げたことによりTDPもさらに低下し、高負荷時の温度も70℃から60℃へと、10℃も低下しました。
Core i7-3770Tの動作電圧には、かなりの動作マージンが確保されていると思われますので、より省電力なPCを組む場合は、CPU動作電圧を下げてみると良いかと思います。
※CPUの個体により低電圧耐性には差がありますので、必ずしも上記の-0.15Vで動作する訳ではありません。
OCCTを使用してCPU全コアに100%の負荷をかけた際のシステム全体の消費電力ですが、CPU電圧を-0.150Vに設定して56.6Wまで削減が可能でした。
どうせなら、キリがいい50W目指して削減してみよう!ということでチャレンジすることに。
マザーボード、CPU、メモリ、ストレージすべてを合計した消費電力が50Wですから、4C8TのCore i7搭載デスクトップPCとしては信じられない領域です。
※前回の設定では、希に落ちることがあったため、以下の変更を行っています。
CPU Offset Voltage:-0.165Vから-0.160Vへ変更
CPU Load-Line Calibration: Level5からLevel4へ変更
まずはCPU電圧の下限を調べるため、少しずつOffset Voltageの値を下げた後、OCCTにてテストを行い、安定動作するかの確認を繰り返します。
テストの結果、私の個体は-0.160Vまで安定動作することが判明しました。
一度だけOCCT 1hでエラーが出たため、Load-Line CalibrationをLevel4にしたところ、安定しました。
CPUの下限が判明したら、次は削れる電源を削りまくります。
メモリは1.5VのDDR3 1600なのですが、電圧を落として動作するかテストを行ったところ、1600動作ではほぼマージンが無いことが判明。
速度を落とせば下げられる余地がありそうですので、メモリの速度を1333へ設定したところ、1.25Vまで電圧を落とすことに成功。
あとはPCH Voltageを少し削って1.020Vに設定し、CPUベンチではあまり意味はないのですが、IGPUの電圧も-0.050V下げてみました。
Power Saving Mode:Enabled
CPU Voltage:Offset Mode
Offset Voltage:-0.160V
CPU Load-Line Calibration:Level 4
IGPU Voltage:Offset Mode
Offset Voltage:-0.050V
IGPU Load-Line Calibration:Level 5
DRAM Voltage:1.250V
PCH Voltage:1.020V
早速アイドル時の消費電力を測定したところ、なんと20W切りの17.8W程度で落ち着いています。
これは期待出来そうだ…ということで、OCCTでCPU負荷100%にしたところ、ピーク時の電源消費量が49.4~50.0Wに!!
かなりぎりぎりまで電圧を削っているとはいえ、CPU全コアに負荷をかけた状態で50Wを切ることが実現しました。
しかも、この状態でもTB上限である3.1GHzで何の問題もなく、快適に動作しています。
アイドル時および高負荷時のシステム状態を、ASRock Extreme Tuning Utilityを使って調べてみました。
Core i5-3570Kでは-0.200VほどOffsetで下げても 0.9V程度が印加されていましたので、Core i7-3770TはTDP45Wを達成するために、高負荷時のCPU電圧が大幅に下げられているものと思われます。
今までOCで電圧を上げることは多々ありましたが、下げる方向でぎりぎりまで挑戦するのは今回が初めてでしたが、どこまで消費電力を減らせるか試すのが楽しくなるくらい、Core i7-3770Tは素晴らしい低燃費CPUだと感じました。
ここで、IvyBridgeで採用された大きなトピックである、3Dトライゲートトランジスタ(以下トライゲートトランジスタ)のメリットについて確認してみたいと思います。
トライゲートトランジスタは、従来の平面トランジスタに比べて下記のように構造が大きく異なります。
※わかりやすいように、立体構造にしてみました。
※クリックで拡大画面が開きます
トランジスタは、ソースからドレインへ電流が流れる構造になっており、ゲートが電流をコントロールする仕組みになっています。
トライゲートトランジスタが大きく異なるのは、ソースとドレインが直立しており、ゲートを貫く形となっている点です。
ゲートは絶縁膜を介してソースとドレインに接しているのですが、ソースとドレインが立体構造のため、左右と上面の3面が接触している構造となっています。
平面トランジスタでは文字通り平面で接していますが、トライゲートトランジスタはゲートが3面で接していることが「トライゲート」と呼ばれている所以となります。
(上記図で、Hi-K絶縁膜が3面でソースとドレインに接しているのがわかるかと思います)
トライゲートトランジスタのメリットは、
・ゲートの接地面積が広くなったことで、低電圧でも多くの電流をコントロールすることが可能
・リーク電流が減るため、ゲート長を短くすることができ、動作速度を向上させることが可能
・リーク電流が減るため、消費電力を削減することが可能
・省スペースなため、トランジスタ密度を高めることが可能
という点が挙げられます。
リーク電流(ソースからドレインへ勝手に漏れる電流)が大きな問題となっていますが、トライゲートトランジスタでは接地面積が広いためリーク電流を抑えることが可能です。
今まではリーク電流を抑えるためにゲートを長くするなどの対策が行われてきましたが、ゲートが長くなるとその分電子の移動距離も増え、処理に時間がかかることにつながります。
トライゲートトランジスタではゲート長を抑えることが可能になり、動作速度の向上に繋がります。
また、リーク電流は消費電力の40%超を占めるとも言われており、リーク電流が減ることでCPUの消費電力を削減することが可能となります。
IvyBridgeの特徴である低TDPという特徴は、22nmプロセスルールの採用もさることながら、トライゲートトランジスタの採用が大きな役割を果たしていると思われます。
※ご注意
半導体の構造には詳しくないため、いろいろと細かいところで間違っている可能性も否定できず…
違っている箇所がありましたら、ご指摘ください。
Ivy Bridgeになり、内蔵GPUもSandy Bridgeのintel HD Graphics 2000/3000からintel HD Graphics 4000へと強化されています。
実際にどのように進化しているか、簡単に図表にまとめてみました。
最大の違いは、EU数がHD 3000の12から16へ拡張されたことと、DirectX 11のサポート、OpenCLのサポートでしょうか。
DirectX 11に対応したアプリケーションはまだ少なく、かつ3D機能は前述のベンチマークのように外付けのGPUには敵いませんが、EU数の増加によるパフォーマンスUPは期待です。
また、現在はOpenCLに対応するアプリケーションは少ないのですが、今後Intel Media SDKだけではなく、OpenCLでのアクセラレートも利用できるようになると、内蔵GPUの活用の場が広がりそうです。
3Dゲームではなく、intel Media SDKを使用して、どれくらいの処理能力の差が出るのかテストしてみました。
テストに使用したのは15分のフルHD画質の.tsファイルとなります。
このファイルを、TMPGEnc Video Mastering Works 5を使用してMPEG-4 AVCにエンコードする所要時間を計測しました。
フィルターおよび出力設定はTMPGEnc Video Mastering Works 5の初期設定を使用し、エンコーダーをIntel Media SDK Hardwareに指定しています。
Core i7-3770Tと同じクロックである3.1GHzに設定したCore i7-2700Kによるintel HD Graphics 3000のベンチマークテストは8分21秒でエンコードを完了しましたが、Core i7-3770Tでは7分38秒まで短縮されました。
ベンチマークの結果、同じクロックに設定したCore i7-2700Kに比べて、HD 4000によるエンコードは約9%の処理能力向上が確認できました。
4.8GHzにOCしたCore i7-2700Kでは7分14秒でしたので、単純に計算すると、3.1GHz動作時のCore i7-3770Tのintel HD Graphics 4000は、3.7GHzで動作するSandy Bridge内蔵intel HD Graphics 3000相当の性能を有していると思われます。
なお、内蔵のintel HD Graphics 4000でのGPU-Zの情報は下記の通りでした。
内蔵のintel HD Graphics 4000ですが、PSO2やFF14などの重ためのオンラインゲームには厳しいことは上記のベンチマークスコアが示す通りなのですが、少し前の、軽めのオンラインゲームではどれくらいのポテンシャルを発揮するのか、テストを行ってみました。
使用したタイトルは、かなり息の長いMMO RPGであるラグナロクオンラインと、昔一時期プレーしていたスカッとゴルフ パンヤを用いて、Frapsによるフレームレートを計測してみました。
ゲームの設定は、解像度を1920x1080フルウィンドウ表示にして、その他の描画設定は最高状態にしています。
ラグナロクオンラインですが、使っているDirectXが8という古めの仕様ということもあり、intel HD Graphics 4000でも1920×1080の解像度においてサクサク快適に動作しました。
土曜日のプロンテラの街道沿いに並ぶ露店の列を、南門から噴水まで往復した際の平均fpsは54.9fpsであり、最低42fps、最高60fpsとゲームをプレーするには十分のスペックです。
もっとも、ラグナロクオンラインはGeForce 6600GTとかでも動作していたタイトルですので、intel HD Graphics 4000のスペックであれば快適に動くと思われます。
続いてはオンラインゴルフゲームである、パンヤでテストを行いました。
ログインするID/Passともに忘れているくらい久々のログインで、初めて見るコースやキャラクターが増えているなど、いろいろと進化しておりました。
画面設定を最も高負荷な状態にセットして2ホールほどプレーしたところ、最高81fps、最低38fps、平均で62.4fpsという数値を叩き出しました。
こちらもintel HD Graphics 4000であれば十分快適にプレーすることが可能です。
ラグナロクオンラインやパンヤのような軽めのオンラインゲームであれば、1920×1080という高解像度においても、快適に動作させることが可能です。
このあたりのオンラインゲームの場合、外付けで別途ビデオカードを用意する必要はなく、CPU内蔵のintel HD Graphics 4000で十分に対応可能と思われます。
Ivy BridgeはPCI-Express3.0に対応しており、ビデオカードが対応している場合に限りますがPCI-E 3.0での動作が可能です。
H77M-ITXのPCI-EスロットにPCI-E3.0対応のRadeon HD 7850を装着したところ、正常にPCI-E 3.0にて動作している旨の確認が取れました。
Radeon HD 7850を使用して、PCI-E 3.0接続時にPCI-E 2.0とどれくらいの差が生じるのか調べてみよう…と思っていたのですが、あいにくH77M-ITXはPCI-E 1.0と3.0の切替しかないため、2.0との比較については行えませんでした。
なお、Ivy Bridgeで使用可能になるPCI-E 3.0ですが、Z77などの最新チップセット使用時においてもPCI-E 3.0で動作するのはCPUと直接接続されるPCI-Eのみとなり、チップセットから出力されるPCI-Eについては2.0までの対応となります。
また、H67を搭載したマザーボードであっても、Ivy BridgeのPCI-E 3.0を利用することが可能です。
PCI-E 2.0と3.0は電気的には共通ですので、CPUに内蔵されたPCI-Eインターフェースをそのままコネクタに引き出しているだけのH67などでは、Ivy Bridgeを使用することでそのままPCI-E 3.0に対応します。
唯一制限があるのは、PCI-Eのスイッチチップを使用している場合となります。
Z68搭載マザーでは、PCI-Eを分割するためスイッチチップを使って、CPUに繋がるPCI-Eをx16またはSLI時にはx8/x8に切替を行っています。
この切替を行うスイッチチップがPCI-E 2.0にしか対応していないものを使っていると、PCI-E 3.0には対応できません。
また、nForce200などのチップもPCI-E 2.0に対応していないため、PCI-E 3.0では動作しません。
Ivy Bridgeへの対応を見越して、PCI-E 3.0対応と謳っているZ68マザーではPCI-E 3.0対応のスイッチチップを使用していますので、問題無くPCI-E 3.0が使用可能です。
組み上がったPCを早速オーディオラックへセットしました。
棚の枚数が限られているため、音質的にはイマイチそうな気もしますが、パワーアンプの上に載せることにしました。
BRAVIA HX820との接続はHDMIを利用し、USB接続のDP-U50とプリメインアンプの接続はRCAとなります。
今までは静音対策を施したケースであっても、どこかしらファンが回転していることもあり、わずかながらですがファンのノイズやHDDのシークノイズが漏れ出ていましたが、今回のPCは完全に無音であり、電源ランプが点灯していないと、動作しているかも分かりません。
完全無音にもかかわらず、CPUはCore i7を搭載し、メモリも8GB、120GBのSSDと極めて快適なPCとなっています。
これだけのハイスペックな無音PCが組めるのは、Ivy Bridge世代になり、22nmプロセスとトライゲートの採用による消費電力の低減がとても効果的に機能していることで45Wという低TDPを誇るCore i7-3770T抜きにしては実現出来ないと思われます。
CPUの発熱も低く抑えられているため、高負荷時には2.5GHzではなく3.1GHzのCPUといった方が良いかと思うくらい、TB上限まできちっとクロックが上昇していました。
Ivy Bridgeの省電力かつハイパフォーマンスという、技術の進歩を感じられた1台に仕上がりました。
これからはリビング用のオーディオ/HTPCとして、便利に使っていきたいと思います。
【おまけ】
同じIvy BridgeであるCore i5-3570Kについても低電圧による動作検証を行ってみましたので、こちらも是非ご参照くださいマセ。
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購入金額
26,890円
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購入日
2012年05月20日
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購入場所
とっぷりんさん
2012/05/25
こういうレビューは素晴らしいと思います。
ちょもさん
2012/05/25
TDP45WのCore i7-3770Tであれば無音PCが組めるに違いない!ってことで組んでみましたが、消費電力が60Wを大きく切るとは思いもしませんでした。
メインPCがアイドルでも150Wくらいですから、あまりの差ですね…
グリスの問題でOCしにくいというIvy Bridgeですが、こういった省エネPCの場合は22nmとトライゲートというメリットが生きてくるように思います。